購入時に投資家が負担する販売手数料がかからない投資信託「ノーロードファンド」が増えてきている。投資家のコスト意識の高まりもあり、コストが抑えられた投資信託が人気を集めている。

ただし、販売手数料が無料だからといって、それだけで選んでしまうことは避けたほうがいいだろう。ノーロードファンドにも注意すべき点があるからだ。

「ノーロードファンド」とは?

ノーロードファンド
(画像=PIXTA)

投資家が投資信託を購入する際には「販売手数料」(購入時手数料などと呼ばれることもある)が徴収されるケースが少なくない。

だが、この販売手数料を負担せずに購入できる投資信託も増えつつある。こうした販売手数料が無料の投資信託のことを「ノーロードファンド」や「ノーロード型投資信託」と呼ぶ。

「ノーロード」というと、あまり聞き慣れないワードかもしれない。アメリカは投資信託の販売手数料「Load(負荷)」が徴収されないことを「No-load」と呼ぶ。このことから、日本では販売手数料無料を「ノーロード」と表現している。

ノーロードファンドの何がいいのか?

投資信託の販売手数料が無料であることは、投資家にとって大いに意味のあることだ。

・販売手数料は投資の負担になる

販売手数料がある投資信託を購入しようとすると、投資家に負担が発生する。

販売手数料は、投資信託の購入金額に対して1~4%程度徴収されることが多い。例えば、「販売手数料」が購入金額に対して3.3%(税込)と定められている投資信託を100万円分購入したとする。

100万円(購入金額)× 3.3%(手数料率)= 3万3,000円(販売手数料)

投資家は100万円の投資信託を購入する場合には、3万3,000円の販売手数料を負担しなければならない。

・ノーロードファンドなら運用がマイナスからスタートしない

販売手数料が高いと投資信託を購入するだけで資産が減る。

前述の例だと、100万円の投資信託を購入するために3万3,000円の販売手数料を支払っている。投資信託を購入して運用を始めるだけで、一時的に資産を減らしたことになる。実質的にマイナスからの運用スタートとなってしまうのだ。

ノーロードファンドなら、購入時に投資家のこうした負担は生じない。

ノーロードファンドが増えている背景

日本の投資信託では、販売手数料が高いと指摘されることも少なくなかった。だが近年、日本でも販売手数料無料のノーロードファンドが増えつつある。

・インターネットなどが普及したことによるコスト削減

ノーロードファンドが増えてきた要因の一つは、インターネットの普及により販売会社がコスト削減を図れるようになったことだろう。

かつては、金融機関の店頭や販売員を通じて投資信託を購入することが一般的だった。だが、現在では多くの投資家がインターネットで投資信託を購入するようになっている。インターネットを介した投資信託の販売であれば、販売会社は店舗や販売員のコストを削減することができる。

・競争の激化によりノーロードファンドが増加

販売会社間の競争が加熱していることもノーロードファンドが増えつつある要因の一つだ。

特に、インターネット証券各社は熾烈な競争を続けており、販売する投資信託のすべてを販売手数料無料にするという動きも見られるようになった。

このように、コスト意識の高い投資家のニーズを取り込むため、販売手数料の無料化に舵を切る金融機関が増えているのだ。

ノーロードファンドのメリット

増えつつあるノーロードファンドだが、どのようなメリットがあるのだろうか。

・やはり「販売手数料無料」

最大のメリットはやはり販売手数料が無料であることだ。

すでに説明したとおり、販売手数料がゼロあれば、投資信託の購入時に投資家の負担は発生しない。初期負担なく投資信託が購入できるのであれば、経験が浅い投資家でも購入しやすいだろう。

もちろん、経験豊富な投資家にとっても、販売手数料の有無は投資のリターンにかかわる重要な点だ。

・販売手数料以外も低コストに抑えられている可能性も

ノーロードファンドは低コストをセールスポイントとしているものが多い。名称に「ノーロード」という単語を組み込んでいる投資信託もあるほどだ。

投資信託には販売手数料のほかに、信託報酬、解約手数料、信託財産留保額などの投資家が負担すべきコストがある。低コストをセールスポイントとしている投資信託の場合、こうした販売手数料以外のコストも低く抑えられているものが少なくない。

これらは、コストを重視する投資家のニーズに応えるものであり、運用成績にもプラスに作用するはずだ。

ノーロード自体にデメリットはない

では、ノーロードファンドにデメリットはあるのだろうか。

「ノーロード」、つまり販売手数料が無料であること自体にはデメリットはないと言える。誰も好き好んで手数料を払いたいと思わないからだ。

確かにノーロードファンドの販売手数料が無料であることはいいことだ。しかし、ノーロードファンドであっても、選ぶ際に注意したい点はいくつかある。

ノーロードファンドの注意点

販売手数料無料だからといって、安易に選べば後悔することにもなりかねない。ノーロードファンドを選ぶ際の注意点を考えたい。

・手厚いサポートは期待できない

ノーロードファンドでは、販売会社からの手厚いサポートは受けられないかもしれない。

そもそも、投資信託の販売手数料とは、銀行や証券会社といった販売会社が投資家に行う商品説明、運用相談、販売受付事務などの対価として支払われるものである。

ノーロードファンドを販売する販売会社は、投資家に対する商品説明や運用相談といったサービスに対する対価は受け取れないのだ。もちろん、ノーロードファンドの販売会社が商品説明をせず、一切の相談を受け付けないわけではない。だが、サービスの対価が受け取れない分、サービス内容が削減されると考えるのが自然だろう。

実際、ノーロードファンドは店頭で販売されるものよりも、インターネットで販売されるものが多い。インターネット取引のほうが商品説明や相談業務の手間を削減できるからだ。

・保有時にかかる手数料「信託報酬」が高いことも

ノーロードファンドは購入時の手数料がかからないのが最大の特徴だ。だが、投資信託において投資家が負担するコストは購入時手数料だけではない。投資信託を購入した後、保有している期間中に継続的にかかる「信託報酬」も意識しておきたい。

信託報酬とは、投資信託の運用・管理の対価として支払うものであり、信託財産から日割計算で日々少しずつ差し引かれていくため、間接的に投資家が負担するコストとなる。

信託報酬は信託財産の額に応じて一定率を徴収するものが多い。年率0.1%未満という低い投資信託もあれば、年率2%を超えるような投資信託もある。

ノーロードファンドで初期の手数料が抑えられたとしても、この信託報酬が割高に設定されていれば、トータルでは投資家が負担するコストは高くなってしまうかもしれない。

・「解約手数料」や「信託財産留保額」も確認したい

投資信託を手放す換金時に手数料がかかる場合もあるので注意したい。「換金手数料」や「信託財産留保額」を徴収する投資信託もあるからだ。

換金手数料を徴収する投資信託はあまり見かけないが、実質的に換金時の手数料といわれるものとして「信託財産留保額」を徴収する投資信託は少なくない。

信託財産留保額は運用会社の収益にはならず、厳密にいうと手数料ではない。しかし、換金時に投資家が負担することになるので、投資信託の換金時のコストとして語られることが多い。

信託財産留保額は、信託期間の途中に投資信託を換金した場合に徴収する金額のことで、換金する際に必要な事務手数料を投資家がまかなう考えに基づくものだ。いわば、換金を申し込んだ投資家に課せられるペナルティ料である。

例えば、信託財産留保額が解約代金の0.5%と定められていれば、100万円分の投資信託を換金しても99万5,000円しか受け取ることができない。

100万円(評価額)- 5,000円(信託財産留保額)= 99万5,000円(受取金額)

低コストに魅力を感じてノーロードファンドを選び、初期の費用を抑えられたとしても、投資信託を保有して売却するまでのコストがかさんでしまっては本末転倒だ。

・販売会社が違えば販売手数料がかかることも

ある金融機関でノーロードファンドとして販売されている投資信託でも、他の金融機関で購入すると販売手数料がかかるケースもあるので注意したい。

全く同じ投資信託であったとしても、販売会社によって販売手数料が異なることがあるからだ。例えば、A証券ではノーロード(販売手数料ゼロ)で販売されている投資信託が、B銀行では販売手数料3%で販売されていることもしばしばだ。

また、ノーロードで販売されている投資信託を同じ金融機関で購入する場合でも、購入方法(販売チャネル)が違えば販売手数料がかかってくることもあるので注意したい。

例えば、インターネットで購入する場合は販売手数料が無料だが、店舗での対面販売の場合は、販売手数料がかかるケースがある。

ノーロードファンドとして販売されている投資信託でも、どこでどのように購入するかで販売手数料がかかるかもしれないことを覚えておきたい。

「ノーロード=お得」だけで飛びついてはダメ

投資家もますます投資信託のコストに敏感になってきている。そして、金融機関の間の競争も激しくなる中、今後も多くの投資信託がノーロードで販売されるようになるだろう。

確かに、ノーロードファンドは購入時にかかる手数料は無料となるためお得感が高い。だが、「ノーロード=お得」だけで、その投資信託に飛びついては後悔することになりかねない。

もっとも、大前提として、自分の納得のいく運用方針の投資信託を選ぶのはいうまでもないが、ここで考えてきたような注意点も考慮してノーロードファンドを選ぶことが重要だろう。