土用の丑の日といえば、「ウナギを食べる」というのが日本人の習慣になっている。これは健康長寿の願掛けとして、江戸時代から親しまれてきたといわれている。

では、今の日本人の健康寿命は、どれくらいなのだろうか。また長生きした場合にはどのぐらいのお金が必要なのだろうか。今回は、丑の日にからめて日本人の健康寿命とお金について見ていこう。

そもそも土用の丑の日とは

丑の日
(画像=PIXTA)

日本には、春夏秋冬といった四季がある。「土用」とは、その季節の変わり目のことをいう。具体的には、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」それぞれ前の約18日間のことを指しており、「土用」は季節の切り替わりをスムーズにする役割を担っていたと考えられている。

一方、「丑の日」の丑(うし)とは、十二支の丑のことだ。古来日本では日付にそれぞれ十二支を当てはめる風習があった。つまり「土用の丑の日」とは、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」前の約18日間の中にある丑の日のことである。

2020年の場合、7月21日が夏一番目の「土用の丑の日」だ。土用の丑の日にウナギを食べるようになった理由は諸説あるが、エレキテルで有名な江戸時代の蘭学者、平賀源内が広めた説が有力とされている。

これは、源内と親しかったウナギ屋の店主が、ウナギが売れず源内に相談したところ、「夏の土用の丑の日にウナギを食べれば体に良い」とアピールしたというもの。それが、現代まで続いていると考えると広告の効果は驚くほどだ。

ウナギには、ビタミンB1が豊富に含まれているため、「疲労回復に効果がある」といわれている。近年は絶滅が懸念されているが、かつては夏バテ防止や、健康長寿の願掛けを兼ねてウナギを食べるようになったようだ。

平均寿命と健康寿命

昔から、人々には健康長寿の願いがあった。では、今の日本人の健康、具体的には平均寿命と健康寿命はどのようになっているのだろうか。ちなみに平均寿命と健康寿命は、どちらも寿命に関する事柄だがその内容は異なっている。

「平均寿命」とは、生まれてから死ぬまでに何年生きるのかを平均した値だ。一方、「健康寿命」とは、心身ともに自立し健康的に生活できる期間のことを示している。2000年にWHO(世界保健機関)は、平均寿命だけでなく健康寿命の重要性を提唱している。その中で健康寿命を「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義した。つまり、健康寿命の間は健康的に生活することができるということだ。

しかし、それを超えると健康ではない、つまり入院や介護などが必要な期間ということになる。厚生労働省が公表している「平成30年簡易生命表の概況(2018)」によると2016年における平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳である。一方、厚生労働省の「健康寿命のあり方に関する有識者研究会報告書」によると、2016年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳だ。

平均寿命と健康寿命の差は、男性で8.84歳、女性で12.35歳となっている。平均寿命と健康寿命の差が長いと健康上の問題だけではなく医療費や介護費の増加による家計への影響も懸念材料の一つとなる。健康寿命が長くなれば問題ないが平均寿命だけが長くなると、医療費や介護費などの費用がますます大きくなってくる。

内閣府が2016年に公表した資料によると、2065年には平均寿命が男性84.95歳、女性91.35歳になるという試算もある。このままいくと、さらに健康寿命と平均寿命の差が大きくなり、老後に必要な資金が増えていくことが予想される。

老後の生活のためには、資産運用が必要

今後、ますます健康寿命と平均寿命の差が大きくなると予想され、老後に必要な資金は増加していくだろう。そのため、若いうちから老後の生活を考えて、資金を準備する必要がある。

では、老後の生活の実態はどうなっているのだろうか。金融庁が公表している「高齢社会における資産形成・管理」では、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿について以下のような内容が記載されている。

「収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補てんすることとなる」

出典:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」

健康寿命の間は、毎月約5万円の赤字については働くことで補うことが可能だろう。しかし、健康寿命を超え働けなくなってから平均寿命までの間は、赤字部分を勤労により捻出することはできない。そのため、貯蓄より捻出する必要がある。例えば、働けなくなってから平均寿命までの間が15年あったとすると約5万円×12ヵ月×15年=約900万円が必要だ。

これに加えて入院代や介護費用がかさむとなると数千万円の貯金は必要になるだろう。では、この資金を毎月の給料からの貯蓄だけでまかなえるのかというと難しいと言わざるを得ない。そこで必要となるのが資産運用だ。投資を行って資産額を増やすことで老後の資金を増やしていく。投資信託や確定拠出年金のように少額からでも始めることのできる投資も多くある。

長い人生に備えるために、まずは初心者でも始めやすい投資からスタートするなど資産運用を検討したほうが賢明だろう。今後、日本人の平均寿命が長くなるにつれて、健康寿命との差も大きくなることが考えられる。そうなれば、医療費や介護費などの負担金額が増えていくだろう。

老後に安心した生活を送るためには、多くの資金が必要だ。「丑の日にはウナギを食べて健康に……」と考えるのであれば、あわせて資産運用についても検討し、長い人生に備えてみてはいかがだろうか。