モトリーフール米国本社、2020年6月18日投稿記事より

外出禁止令は解除されつつありますが、パンデミック(世界的な感染流行)中に普及したいくつかの習慣は今後も存続するでしょう。

これは、オンライン不動産会社大手のジロー(NASDAQ:ZG)と電子署名サービス大手のドキュサイン(NASDAQ:DOCU)にとっては朗報であり、アフターコロナの世界では両社に追い風が吹くはずです。

個人も企業もパンデミックが発生する以前から文書に電子署名をし、オンラインで家を購入することは可能でしたが、選択肢は他にもありました。

しかし新型コロナウイルスで外出が禁止されたことで、好むと好まざるとにかかわらず電子的なサービスを受け入れざるを得なくなりました。

世の中が新しい日常(ニューノーマル)に移行するにつれ、そうした需要は緩和されるかもしれませんが、なくなってしまうわけではなく、アフターコロナの世界でも両社は成長できる位置につけています。

PBSニュースアワー、米公共ラジオ局およびマリスト世論調査による最近の調査では、調査対象となった米国人の65%が、通常に戻るまでに6カ月以上かかると考えています。

電子取引
(画像=Getty Images)

オンライン・ショッピングの成長はジローの追い風に

オンライン・ショッピング全般が広く受け入れられるようになると、不動産業界にも波及する可能性があり、特にパンデミックで店舗の休業が増加するようであれば、ジローにとって大きな追い風となります。

結局のところ、家をオンラインで購入するのであれば、同社のような知名度の高い大手企業と取引したいと思うはずです。

同社のサイトを訪れる人は1カ月で3,600万人に上り、2位の(ジローの子会社である)トゥルーリアが2,300万人、3位のYahoo!ホームズが2,000万人です。

パンデミックで不動産業界の統合が進む可能性もあります。

2008年と2009年の大不況では、住宅バブルの崩壊により不動産業者の数は減少し、ある報告によると、ワシントン州だけで2007年から2009年にかけて27%、カリフォルニア州では、2007年から2014年の間に35%減少しています。

今回も業界再編が起きるとすれば、大手業者はビジネスを求め積極的な競争を展開する必要があり、ジローに入る広告収入が増えるかもしれません。

さらに、同社はFlexサービスでさらなる成長を追求しています。

同サービスでは、一流仲介会社が同社の住宅購入希望者情報に無料でアクセス可能で、取引が成立した場合にのみ、仲介手数料の一部を同社に支払います。

この戦略は住宅購入が再開され、とりわけ住宅価格が上昇を始めれば、同社に有利に働く可能性があります。

同社によれば、6月12日までの1週間の希望販売価格の中央値は、前週比1%、前年比4.2%増加したとのことです。

Flexサービスを含む同社のPremier Agent事業の第1四半期売上は、前年同期比で11%増加しました。

Flexサービスで手数料が後れて入る影響が4.6%あり、これを除けばPremier Agent事業の売上は16%近い増加になるとのことです。

1週間分のデータだけですべてを語るわけにはいきませんが、住宅購入のピークシーズンが完全に終わったわけではなさそうで、希望の光が差しています。

とはいえ、すべてが順調というわけではなく、パンデミックで住宅販売には大きな影響が出たため、同社は3月に全国で住宅購入を一時的に停止せざるを得なくなりました。

現在、状況は改善しつつありますが、完全に回復するにはまだ時間がかかります。

6月初め、同社は住宅購入を再開し、6つの新しい市場に参入すると発表しており、全米では現在15の市場で住宅の購入を行なっています。

同社はまた、住宅販売が成長を取り戻し、6月12日の週の新規登録数は前週比17%増加したと発表しました。

同じ時期に販売用在庫は2.6%減少しており、新型コロナウイルスで購入が先延ばしになった繰り延べ需要の存在が明確になりつつあります。

同社の株価は年初来で20%以上上昇しており、こうした好材料は既に株価に反映されているかもしれません。

しかし52週最高値の64.40ドルをまだ18%下回っています(執筆時点)。

不動産市場は成長軌道に戻る可能性があり、不動産のオンライン取引も普及しつつあるので、同社の株価には上値余地があります。

ただし、景気刺激策終了後に景気が回復しない場合や、新型コロナウイルスの感染者数が増加に転じ、外出禁止令が再度発令されれば、株価下落もあり得ます。

電子署名市場で圧倒的な存在のドキュサイン

契約の締結には、ほとんどの場合、直接の署名か公証人が必要ですが、どちらもパンデミックの間、姿を消しました。

そこで、パンデミックで注目を浴びるようになった電子署名企業ドキュサインの登場です。

同社は電子署名市場でシェア57.8%を占める圧倒的なリーダーであり、同社のサービスに対する需要は急増しています。

同社には60万以上の有料顧客と数億人の個人ユーザーがいて、契約やその他書類のオンライン締結に数多く利用されています。

パンデミック後の生活が始まっても、電子署名のニーズは拡大を続けています。

同社もこれは認識していて、遠隔患者登録や、遠隔学習、電子公証サービスといった、新型コロナウイルスをきっかけに登場した市場の獲得を狙っています。

新しいサービスでパンデミックが作り出した波に乗る以外には、同社はクラウドにも注力していて、契約のあらゆる側面をカバーする一連のアプリケーションで構成された契約書クラウドを最近立ち上げ、ビジネス顧客の獲得を狙っています。

人々が旧来の署名方法に戻れば同社サービスへの需要が激減する可能性があることは同社も認識しており、350を超える他社アプリケーションと連携が可能な契約クラウドを通じて、商取引をめぐる関連分野にも進出をはかっています。

また、同社はシール・ソフトウェア社の買収を最近完了しており、その結果、契約のいくつかの側面を自動化できるほか、リスク分析や顧客のビジネスチャンスの特定ができるようになります。

こうした付加価値サービスによって、既存顧客からの売上増加や新規顧客の開拓が可能となり、さらに業界トップの座を守ることができます。

2020年度末時点の同社顧客58万9,000のうち企業はわずか7万5,000でしたが、企業顧客は増え続けています。

2021年度第1四半期は、年間契約額が30万ドルを超える顧客数が46%増加しました。

顧客数としてはわずか473社であり、まだ同社顧客基盤のごく一部にすぎません。

しかし、企業顧客は同社の他のサービスも使用してくれるため、企業顧客数が増加するにつれ、同社が獲得できる売上も拡大します。

同社のダン・スプリンガー最高経営責任者(CEO)は第1四半期決算説明の電話会議で、「通常、電子署名は多くの顧客にとって、当社が提供するより広範なデジタル・トランスフォーメーションへの最初の一歩となる」

「したがって、財務的な観点から言えば、電子署名の採用急増は、将来契約クラウドを拡大するうえで良い兆候だと考えている」と述べています。

ジローと同様、ドキュサインの株価もパンデミックの最中に急上昇し、年初来で100%近く上げていますが、52週高値の155.14ドルは下回っています(執筆時点)。

今後の事業の拡大を考えれば、高値を更新する可能性もあります。

アフターコロナの世界では、変わらないものもあるでしょうが、大きく変化することも数多くあるはずです。

ジローとドキュサインの事業はソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)に強く、ニューノーマルの世界で成功を期待できるのではないでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Donna Fuscaldoは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、ドキュサイン 株、ジロー株を保有し、推奨しています。