経済的な自立によって早期の引退を目指す「FIRE」というムーブメントが、アメリカのミレニアル世代の間で広まりつつある。賃金労働から解放された自由な日々を、老後を待たずに手に入れられるからだ。ただ実現には引退後を見据えた資産形成が不可欠となる。

アメリカで話題の「FIRE」というムーブメント

資産形成
(画像=PIXTA)

FIREという言葉は「Financial Independence, Retire Early」の略語だ。このムーブメントは、お金に関する著書をもつアメリカ人作家ヴィッキー・ロビン氏などによる「Your Money or Your Life」という書籍などが火付け役となり、アメリカの若い世代で広がった。

FIREの考え方は、投資による収益とコストを減らした生活によって経済的な自立を手に入れるというものだ。若い頃から取り組むことが重要で、日本でも早期リタイア(アーリーリタイア)に向けて投資に取り組む若者世代を報道などで目にする機会も増えている。

アーリーリタイア実現のための費用は?

ただ実際のところ、アーリーリタイアを実現するためにはどれくらいのお金が必要になるのだろうか。早期退職を目指す年齢ごとに単純計算でどれくらいの貯蓄が必要になるのか、考えてみよう。

日銀が事務局を務める金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2017年)のデータを基にりそな年金研究所がまとめた資料によると、日本の60歳代以上の最低生活費(2人以上世帯)は平均で月28万円となっている。

仮に60歳になる前に早期リタイアしても1ヵ月に同じくらいの生活費がかかるとすると、90歳まで生きた場合(日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳 ※厚生労働省の2018年データ)はどれくらいのお金が必要になるだろうか。具体的に計算してみよう。

・40歳で早期退職し、90歳まで生きた場合

40歳でアーリーリタイアした場合、90歳までは50年間ある。1ヵ月の生活費が28万円の場合、必要な金額は以下のとおりだ。

28万円×12ヵ月×50年=1億6800万円……①

老後に年金を受け取ることを考えれば、必要な金額はもう少し少なくなる。厚生年金は金額に幅があるので、仮に夫婦2人とも65歳から国民年金(満額)を受け取るケースを考えてみると、65歳から90歳までに受け取ることができる年金額は次のようになる。

6万5141円×12ヵ月×(90歳-65歳)×2人=5471万8440円……②

今後の年金の給付額の上下や厚生年金のケースを考慮していないものの、最終的に①から②を差し引くと、40歳にアーリーリタイアした場合に必要な大体の金額の目安が見えてくる。実際に計算すると以下のように約1億1300万円となる。

1億6800万円-5471万8440円=1億1328万1560円……①-②

・50歳で早期退職し、90歳まで生きた場合

続いて50歳まで働いてアーリーリタイアした場合を考えてみよう。①と②、そして①から②を差し引いた金額は以下のとおりだ。

28万円×12ヵ月×40年=1億3440万円……①
6万5141円×12ヵ月×(90歳-65歳)×2人=5471万8440円……②
1億3440万円-5471万8440円=7986万1560円……①-②

50歳で早期退職した場合、約8000万円がその後の生活に必要ということになる。

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「資産運用」を始めるという選択肢

90歳まで生きることを想定して40歳と50歳で早期リタイアした場合の必要な金額を計算したが、いずれ来るといわれる「人生100年時代」においては、必要なお金はより増える形となる。

こうしたことを考えると、高年収の人を除けば、貯蓄だけではアーリーリタイアのためのお金の確保に限界がある。そこで一つの選択肢として考えたいのが資産運用だ。

早い時期から投資による資産運用を始めれば「複利効果」によって収益もどんどん大きくなっていくほか、退職後もサラリー(給料)のように定期収入が見込める。長期投資をすると金融商品の値動きのリスクも小さくでき、安定的な成果につなげやすい。

もちろん投資にはリスクがつきもので、預貯金と違って元本割れの可能性も少なからずある。ただ、自身の許容可能なリスクを踏まえたうえで「ハイリスク・ハイリターン」の投資を避ければ、徐々に自らの資産を増やすことにつながっていく。

アーリーリタイアもしくは理想の老後に近づくために

日本政府も「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げて経済政策に取り組む中、投資優遇税制も国内で充実しつつある。アーリーリタイアもしくは自分が理想とする老後の生活に近づくために、この機会に資産運用を始めることを検討してみてはいかがだろうか。

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