多くの人が加入している生命保険。生命保険文化センターが発表した2019年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険加入率は男性が81.1%、女性が82.9%で、8割が加入しています。生命保険のなかには種類がいくつもあり、死亡保険、医療保険、介護保険、生存保険などに大別されます。死亡保険は最もメジャーであり、「終身保険に加入している」「検討したことがある」という人は多いのではないでしょうか。

その終身保険の中にも種類がいくつかあり、貯蓄型の終身保険は「貯蓄性が高い」というメリットがあるものの「物価の上昇には弱い」というデメリットがあります。また変額保険は物価上昇の備えにはなるものの元本割れのリスクが懸念材料です。

今回の記事では、インフレリスクに強く変動リスクが限定される「積立利率変動型終身保険」を紹介します。

積立利率変動型終身保険とは?

資産運用
(画像=andrey-popov/stock.adobe.com)

積立利率変動型終身保険は、保険金や解約返戻金などの受取額が変わる「変額保険」です。保険料と保険金の関係を決める積立利率が市場金利に合わせて変化する特徴があります。つまり「金利が上がれば受け取るお金も増える」というわけです。一般的な終身保険では、契約時に保険料と保険金額が決まり、保障される「保険金額」に対する「保険料」は予定利率によって逆算されます。

予定利率は一定なので「受取額も変わらない」というわけです。積立利率変動型終身保険では、予定利率にあたる数値は積立利率と呼ばれます。この積立利率が市場金利に合わせて変化するため、受取額が変わるのです。具体的には10年もの国債の利回りから一定率を差し引いた利率とする商品が多い傾向にあります。

一方「変額保険」は市場の動きによって受取額が変わる保険です。大きな違いは、積立利率変動型終身保険の積立利率には最低保証があること。このため元本割れのリスクを限定したうえで市場金利の上昇によるメリットを受けられます。積立利率変動型終身保険は、インフレリスクを回避するための保険として知られています。

なぜなら物価と金利は連動しやすいからです。一般的な終身保険では、先述したように予定利率が契約時にあらかじめ決まっているため、物価上昇時の受取額は実質的に減ってしまう可能性があります。また終身保険のため満期はありません。途中解約すると解約返戻金が支払った保険料を下回ることも少なくありません。

「必要な保障額を手に入れつつ、インフレにも備えたい」というニーズに合った保険といえるでしょう。

よく似た名前の別の保険

積立利率変動型終身保険には、名前がよく似た全く別の保険があります。混同しないように注意してください。

利率変動型積立終身保険

利率変動型積立終身保険は「アカウント保険」とも呼ばれます。特徴は保険料を積立部分と保障部分に分けて運用することです。積立部分は保障部分に振り替えたり将来的に終身保険や年金保険の原資として利用したりできます。語順が違うだけで内容もずいぶん異なると思うかもしれません。「積立利率が市場金利に合わせて変動する」という点では同じです。

利率変動型積立終身保険は、終身保険と定期保険を組み合わせた保険ともいえます。定期保険とはいわゆる掛け捨ての保険のことです。契約期間が終われば保障はなくなりますが、そのぶん割安な保険料で多くの保障を手に入れられます。家族構成や資産状況などの変化によって必要保障額が変わっても既存の保険を解約することなく移行できる便利な保険です。

ただし「保障部分の割合を多くすれば積立部分が少なくなってしまう」という点には注意しましょう。つまり名ばかりの「終身保険」になってしまうわけです。保険設計が複雑になるため、面倒くさく感じる人もいるかもしれません。

積立利率金利連動型年金保険

個人年金保険の一種です。「金利連動型」とありますが、契約後に積立利率が変動するわけではありません。契約時の利率が年金受取開始日まで適用されます。市場金利に合わせて細かく変わる(毎月2回ほど)ため、この名前がついているようです。一般的な個人年金保険同様、以下のような種類があります。

  • いつ亡くなっても受取額が変わらない「確定年金」
  • 年金を一生涯受け取れる「終身年金」
  • 一定期間は死亡保障がつく「保障期間付き終身年金」など

積立利率変動型終身保険とは名前の途中まで同じですが「利率が固定されている」という意味では全く異なる商品です。

積立利率変動型終身保険の注意点

積立利率変動型終身保険には、以下のような注意点もあります。

「積立利率=利回り」ではない

積立利率は保険料に対する利回りではありません。保険金のもととなる積立金が増えていく割合のことをいいます。保険料の一部は保険会社へ支払う手数料となり、残りが積立金として保険金や解約返戻金の原資となります。例えば積立利率の最低保障が0.6%だとしても資産が0.6%の割合で増えていくわけではありません。

そのため保険料と保障額の関係は、個別商品のパンフレットなどで確認しましょう。解約のタイミングによっては、返戻金がわずかになることもあります。積立利率が保証されているといっても元本が保証されているわけではありません。

外貨建ては元本割れリスクも

近年、販売停止された積立利率変動型終身保険が増えています。なぜなら日本ではマイナス金利政策が導入されるほどの低金利となっているからです。保険会社としては最低保証利率を確保することが困難な状況ということが想定できるでしょう。円建ての積立利率変動型終身保険を扱う保険会社はわずかですが、外貨建ての商品は比較的多く残っています。

ただし外貨で運用するタイプは為替レートが契約時よりも円高に振れることにより元本割れを起こす可能性があるため注意が必要です。リスクを理解したうえで加入を検討したほうがよいでしょう。

インフレリスクに対応する積立利率変動型終身保険

積立利率変動型終身保険は市場金利に合わせて積立利率が変化する保険ですが、最低保証があるためリスクが限定されているといえます。円建てのラインアップは多くはありません。また外貨建ては為替リスクがあることに注意が必要です。

ただし、長期運用することで変動幅が均されていくため、為替リスクを低減できる可能性はあります。将来のための資産形成を考えるのであれば、やはり長期運用というのは必須といえるでしょう。「老後資金の目減りを避けたい」「今後のインフレリスクに備えたい」と考えている人は検討の余地がある保険商品といえるのではないでしょうか。(提供:アセットONLINE


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