リスクの少ない資産運用の基本は「分散投資」です。良く言われる例えが、「卵は一つのカゴに盛るな」です。卵を一つのカゴに入れておくとカゴを落としたら全てが割れてしまうが、いくつかのカゴに分けておけばすべての卵を割ってしまうことは避けられるというものです。

分散せずに1つの投資先に集中した場合、思惑通りになれば大きな利益を生む一方で、思惑とは逆になった場合に大きな損失となることがあります。ハイリスク・ハイリターンを許容できる体力(資金力)があれば問題ありませんが、まずは投資先を分散させる運用方法をしっかりと押さえることが必要です。

株式投資に関して、様々な銘柄がある中で投資先を分散させるのは簡単ではありません。そこで近年注目を集めているのが、選んだテーマに沿った10銘柄程度に分散投資できる「テーマ株投資」です。今回は決まった予算内で分散投資できる新しい投資法の概要とメリット・デメリットを紹介します。

テーマ株投資とはどんな仕組みか

資産運用
(画像=watchara/stock.adobe.com)

はじめにテーマ株投資の仕組みを、SBI証券「テーマキラー!」を例にとって確認してみましょう。「テーマキラー!」は、「テレワーク」「5G」「キャッシュレス決済」など話題のテーマごとに、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドの独自の銘柄分析によって選定されたポートフォリオが提示されます。基本は10銘柄ですが、テーマへの関連性が高い順に並んでいるのが特徴です。

テーマは30種類用意されており、投資家は好きなテーマと予算別のコースを選択し単元未満株取引のルールに準じて買い付けを行う仕組みです。買い付けた銘柄はすでに保有している他の銘柄と一緒にSBI証券の口座で保管され、売却する際は一括または個別に行うことができます。手数料は単元未満株取引に準じて「約定代金×0.5%(税込み0.55%)」で算出、最低手数料50円(税込み55円)です。

テーマ株投資のメリット・デメリット

テーマ株投資の最大のメリットは、少額で簡単に分散投資ができることです。SBI証券の「テーマキラー!」では「5万円」「10万円」「20万円」「30万円」の4つのコースから選択できます。しかもNISA口座で買い付けができるため、得た利益がまるまる非課税になるのは魅力です。

また、投資信託のように信託報酬や諸経費はかからないため、コスパの良い投資が可能です。
2020年4月末時点で行ったモーニングスターの調査によると、アクティブ型株式投資信託とパッシブ型株式投資信託の信託報酬平均は以下の通りです。

投資対象信託報酬等平均
アクティブパッシブ
新興国株式1.87%0.68%
先進国株式1.77%0.58%
国内株大型1.52%0.51%

上表と比較して、単元未満株取引の手数料0.55%(税込み)は割安と考えてよいでしょう。テーマ株投資は言ってみれば単元未満株の集合体のため、投資信託のような運用期間はありません。購入した10銘柄のうちの1銘柄が急騰した場合は個別に売却できるのがメリットです。

一方デメリットは、売買手数料が銘柄ごとにかかることです。合計金額に対してかかるわけではないため、株価の低い銘柄は手数料が割高になります。株価1,000円の銘柄を1株購入した場合、上記の最低手数料55円が適用されるため、手数料比率は5.5%と大きなハンデを負います。それでもテーマ株採用銘柄を平均すれば、アクティブ型株式投資信託よりもコスパは優れているといえるでしょう。

テーマ株投資採用銘柄の実例

テーマ株投資の採用銘柄の実例を見てみましょう。2020年の大きなテーマになった「テレワーク」では、以下のような銘柄が組み込まれています。銘柄は決まっていますが、購入株数は注文画面で増減させることが可能です。

テーマキラー!「テレワーク」5万円コース組み入れ銘柄・株数(株価は2020年7月7日終値)

証券コード銘柄名株価購入株数構成比
4776サイボウズ3,335円2株15.74%
3040ソリトンシステムズ1,458円2株6.95%
3681ブイキューブ1,262円2株6.10%
3774インターネットイニシアティブ3,690円1株8.60%
3565アセンテック3,785円1株8.82%
3694オプティム3,475円1株8.42%
4726SBテクノロジー3,660円1株8.54%
4768大塚商会5,950円1株13.42%
3962チェンジ8,030円1株18.50%
3021パシフィックネット1,815円1株4.25%

テレワーク関連の有力銘柄が選出されていますが、このテーマは前年比で87.44%(2020年7月7日現在)の値上がりです。例えば10万円コースの場合は、平均して1年で18万7,440円に資産が増えたことになります。

配当金、株主優待の受け取りも可能

投資信託とは異なり、テーマ株投資では配当金や株主優待を受け取ることができるのも魅力です。SBI証券の単元未満株投資では、1株でも株主として登録されるため、配当金と株主優待の権利を得られます。株主優待は単元株の100株以上を基本とする企業が多い傾向ですが、中にはジャパンベストレスキューシステム<2453>、上新電機<8173>など1株以上の保有で株主優待がもらえる企業もあります。

ごく少数ではありますが、それらの企業がテーマ株投資の採用銘柄に入っていた場合は、株主優待を受け取ることが可能です。ただし、単元未満株を保有する株主は株主総会に出席したり議決権を行使したりすることはできません。日ごろから新聞を読んだりテレビのニュースを見たりする中で、「この業界はこれから伸びる」「この商品は普及する」と感じることがあるのではないでしょうか。

その場合、個別の銘柄に投資すると「テーマとしての予測は当たったが、買った銘柄は負け組になり株価が伸びなかった」というケースも十分に考えられます。その点、テーマ株投資であれば10銘柄程度に分散投資するため、テーマの読みさえ合っていれば十分値上がりが期待できるのです。そのためテーマ株投資は投資初心者に向いているといえるでしょう。

なお、株式会社FOLIOが運用する「テーマ投資」やLINE証券の「ミニテーマ」(FOLIOが基盤)は、スマホを使ってテーマ株への投資ができます。「本業で忙しいけど、リスクを抑えた分散投資を経験してみたい」というビジネスパーソンは、検討してみるのもよいでしょう。(提供:アセットONLINE


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