iDeCoを始めたいけれど、どの商品を選べばわからない……。そう思う人は多いはずです。今回は、iDeCoの商品の種類や商品選びにおけるチェックポイントについて解説します。また、代表的な証券会社別に選択できる商品の特徴を紹介し、よくある失敗例を通し、商品選びのコツを解説します。iDeCoを始める人はぜひ参考にしてください。

iDeCoには元本保証型と元本変動型がある

iDeCoで注目の商品は?よくある失敗例から商品選びをしっかり学ぶ!
(画像=lovelyday12/stock.adobe.com)

iDeCoの商品は、元本保証型と元本変動型の2つに分けられます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

iDeCoの元本保証型商品とは

元本保証型の投資先は、定期預金や保険です。「iDeCoなのに定期預金なの?」と感じる人もいるでしょう。iDeCoは、いわば国が推奨する「私的年金を積み立てる枠組み」なのです。そのため、iDeCoという枠組みを通じて、定期預金や保険で資金を運用することも可能です。

「iDeCoで定期預金を選ぶのと、普通に定期預金をするのとでどう違うの?」と思う人もいるでしょう。iDeCoと普通の定期預金との違いは節税効果です。iDeCoは支払った金額の全額が所得控除の対象となり、高い節税効果を得られるのがメリットです。

ただし、iDeCoを通して定期預金をする以上、iDeCoの要件に則る必要があります。つまり、60歳まで資金を引き出すことができず、好きなタイミングで解約することはできません。それも普通の定期預金と異なる点です。

iDeCoの元本変動型商品とは

元本変動型の投資先は、投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家がまとめて運用し、得られた収益を投資家に再分配する商品です。投資信託によって、投資先は異なります。「iDeCoと投資信託どっちを始めるべきか……」という悩みもよく聞きますが、iDeCoを通して投資信託を買えるということは押さえておいてください。

元本保証型商品と同様、iDeCoを通して投資信託を購入するということは、60歳まで資金が引き出せない反面、高い節税効果が得られます。60歳まで資金が引き出せなくても問題ないと思える範囲でiDeCoに加入し、万一の場合に引き出せるようにしておきたい分は投資信託で運用しましょう。

たとえば、節税重視なら「iDeCo2万円、投資信託1万円」という配分でiDeCoの毎月の掛金を厚めにし、引き出しの自由度を優先するなら「iDeCo1万円、投資信託2万円」など配分にする方法が考えられます。

元本保証型と元本変動型のどちらを選ぶべきか

その名の通り、元本保証型は、投じたお金を下回らないことを保証する商品です。手堅い運用を特徴とするため元本割れする可能性はまずありません。ただし、定期預金や保険と同様に、大きなリターンも望めません。

一方、元本変動型は元本割れの可能性こそありますが、期待できるリターンがぐっと高くなります。「絶対に元本割れが嫌だ」という人は元本保証型で運用することになると思いますが、多少のリスクも承知の上というのなら、基本的には元本変動型の方が望ましいといえます。

元本変動型の方が望ましい理由としては、iDeCoの運用で発生する手数料の存在があります。手数料と相殺されてしまうほどのリターンしか得られなかった場合、何のために運用しているのかわかりません。高いリターンが期待できる元本変動型の方が望ましいのはそのためです。また、口座を維持する手数料が発生する以上、手数料が安い金融機関を選ぶことも大切です。

さらに、元本保証型の定期預金や保険は日本円で運用されるため、インフレ(物価上昇)に対するリスクヘッジができません。

こういった点を踏まえると、元本割れのリスクは覚悟したうえで、元本変動型を選んだ方がメリットを得られる傾向があります。元本変動型なら手数料を上回るリターンが期待でき、インフレへのリスクヘッジもできるためです。

iDeCoの元本変動型商品の選び方

元本変動型を選ぶうえで、投資先・投資商品・運用スタイルの違いを押さえておきましょう。

iDeCoの投資先の選び方

iDeCoの投資先は、国内外に分けられます。国内は日本の債券や日本の株式、海外は外国の債券や株式で運用することになります。

国内の商品を選ぶメリットは、情報が入ってきやすい点です。海外では特に新興国の場合、政治的な混乱によって、運用成果が影響を受けることも少なくありませんが、そのような情報を事前にキャッチすることは困難です。一方、国内の商品なら、金融や投資関連のニュースなどを意識的にチェックしなくても、テレビやインターネットから一般的な情報を得ることができます。

海外の商品を選ぶメリットは、インフレ(物価上昇)のリスクヘッジになる点です。極端な話、インフレによって物価が2倍になると、日本円で貯めた資産は半分の価値しか持たなくなります。その時、海外の商品を保有していれば、資産を守ることができます。

iDeCoの投資商品の選び方

iDeCoの投資商品には、主に債券・株式・REITがあります。

債券とは、国にお金を貸して利息を受け取る商品です。株式よりもリターンが少ない分、リスクも低い傾向があります。

株式は、企業が資金調達の際に発行するものです。投資家は株式を取得することで、企業の利益に応じて配当金を受け取ったり、株式が値上がりするタイミングで売却して売却益を得たりできます。債券よりリターンが期待できる分、リスクも高いといえます。

REITとは、不動産投資信託と呼ばれ、投資家から集めた資金をオフィスビルやホテルなどの不動産に投資し、運用益を投資家に再分配する商品です。

また、iDeCoには、債券・株式・REITを組み合わせた「バランス型」と呼ばれる商品もあります。バランス型のメリットは、1商品だけで国内外のさまざまな商品に投資できる点です。細かな運用をせず、一度預けた後はほったらかしにしたい人にはバランス型が向いています。

iDeCoの運用スタイルの選び方

iDeCoの運用スタイルには、インデックス型とアクティブ型の主に2種類があります。

インデックス型とは、日経平均など市場全体の動向を表す指標との連動を目指す運用スタイルです。一方アクティブ型とは、平均を超えた投資効果を目指す運用スタイルです。

一般的に、長期投資になるほど、インデックス型は運用成果が上がりやすいといわれています。また、インデックス型とアクティブ型では、インデックス型の方が信託報酬は安い傾向があります。

・iDeCoの元本変動型商品を選ぶ時のチェックポイント

iDeCoの元本変動型商品を選ぶなら、投資先や投資商品以外にもチェックポイントがあります。

(1)信託報酬をチェック
iDeCoの元本変動型商品では、運用をプロに任せることになります。プロに任せる以上、管理手数料が発生します。それが信託報酬です。

信託報酬の計算式は、「純資産総額×〇%」です。純資産総額に対する割合ということは、積立額が大きくなるほど、運用が長期に渡るほど、信託報酬は高くなります。

iDeCoで運用するなら、間違いなく長期投資になるため、信託報酬は低いに越したことはありません。信託報酬は商品によってさまざまで、0.1%~2%程度の幅があります。

iDeCoで運用するなら、0.5%以下の商品が望ましいといえます。

(2)過去の運用実績をチェック
iDeCoでは、商品ごとに過去のリターンを確認できます。たとえば「〇年で元本の〇%」といった数字が商品ごとに公開されています。こういった運用実績を参考に選ぶのも1つでしょう。

しかし、リターンが高い商品のほとんどはアクティブ型です。アクティブな運用では、高いリターンが期待できる一方、大きな損をするリスクがあります。今後もリターンが続くとは限らないため、リターンの高さだけで商品を選ぶことのないよう注意しましょう。

(3)純資産総額の規模をチェック
純資産総額とは、その商品が持つすべての債券や株式などの評価額を合計したものです。つまり、純資産総額の規模は、多くの人がその商品を買っているという1つの目安です。

iDeCoの商品を選ぶ時は、純資産総額もチェックしましょう。あまり純資産総額にこだわる必要はありませんが、純資産総額が増えているか減っているか、極端に少なくないかといった点は知っておいた方が安心です。

では、ここからは人気の証券会社4社を例に、iDeCoで運用できる商品ラインナップの違いや、その特徴を見ていきましょう。

SBI証券の特徴とiDeCo商品を紹介

SBI証券の特徴は、iDeCoで運用できる商品数の多さです。口座管理料が0円なのも魅力です。

また、加入者診断や節税シミュレーション、ロボアドバイザーなど、iDeCoで資産運用するうえで役立つコンテンツも充実しています。スマートフォン用に最適化されたサイトがあるため、移動が多いサラリーマンや、スマホで運用実績を小まめにチェックしたい人も安心です。

SBI証券には、セレクトプランとオリジナルプランという2つのコースがあり、どちらかを選択します。セレクトプランは2018年にスタートした新しいプランで、商品数は2020年5月現在で37本です。オリジナルプランは昔からあるプランで、商品数は2020年5月現在で38本です。

プランによって取り扱い商品が違うので、商品ラインナップを見て、自分が投資したい商品がある方のプランを選びましょう。それぞれのプランで取り扱っている投資先は下記の通りです。

<オリジナルプラン>
国内株式
先進国株式
新興国株式
国内債券
先進国債券
新興国債券
国内REIT
先進国REIT
バランス
コモディティ
ターゲットイヤー
定期預金

<セレクトプラン>
国内株式
全世界株式
先進国株式
新興国株式
国内債券
先進国債券
新興国債券
国内REIT
先進国REIT
バランス
コモディティ
ターゲットイヤー
定期預金

商品数も多いだけあって、SBI証券では豊富な投資先を取り揃えています。投資先ごとにインデックス型・アクティブ型の商品があるため、運用スタイルに合わせて商品を選ぶことも可能です。

コモディティでは、金価格の値動きとの連動を目指す純金ファンドがあります。また、「安定運用を始める年」をあらかじめ決めておけるターゲットイヤーというタイプの商品もあります。退職後に安定運用に切り替えたいと考えている人に最適です。

楽天証券の特徴とiDeCo商品を紹介

楽天証券も豊富な商品数を取り揃えています。2020年5月現在でiDeCo商品は32本あり、SBI証券より数が少ないものの、コストの低い商品が取り揃えられています。また、SBI証券と同じく口座管理料が0円なので安心です。

2018年には、スマートフォンに最適化されたiDeCoサイトをリリース。iDeCoの資産状況等を、移動中も気軽にチェックできます。資産推移の画面では、グラフ形式・リスト形式の好きなタイプで状況を確認できます。

楽天証券には確定拠出年金コールセンターがあるため、気軽に電話相談ができます。土曜日も電話相談を受け付けているため、平日忙しいサラリーマンも安心です。また、24時間対応のAIチャットがあり、年末年始や土日も相談できます。AIチャットにはPCからもスマホからもアクセスできます。

楽天証券のiDeCo商品の投資先は下記の通りです。

国内株式
国内債券
国内REIT
海外株式
海外債券
海外REIT
国内外株式
コモディティ
バランス
ターゲットレイヤー
定期預金

国内外の株式や債券、REITなどさまざまな投資先がバランスよくセレクトされています。コモディティやターゲットレイヤーといった商品もあります。商品数は国内株式が最も多く、続いて海外株式とバランスが多くなっています。

マネックス証券の特徴とiDeCo商品を紹介

マネックス証券のiDeCo商品数は26本です。商品数はSBI証券や楽天証券と比べると少なくなりますが、運用コストの低い商品が厳選されているため、投資初心者にとって安心です。口座管理料も無料です。

マネックス証券では、5つの質問に答えるだけで、iDeCo専用ロボアドバイザーが最適なプランを提案してくれます。また、電話問い合わせではiDeCo専用スタッフが対応してくれるうえ、土曜日も電話相談を受け付けています。

また、iDeCoを始める人の中には、つみたてNISAとiDeCoのどちらを選ぶべきか悩んでいる人も多いでしょう。マネックス証券では、つみたてNISA・iDeCoシミュレーションがあり、条件を指定してシミュレーションができます。どちらを選ぶか悩んでいる人は必見です。

マネックス証券のiDeCo商品の投資先は下記の通りです。

国内株式
国内債券
国内REIT
海外株式
海外債券
海外REIT
コモディティ
バランス
定期預金

国内外の株式や債券、REIT、コモディティなど代表的な投資先が網羅されています。商品数では、国内株式と海外株式がそれぞれ7本と最も多くなっています。

野村證券の特徴とiDeCo商品を紹介

野村證券のiDeCo商品数は27本です。口座管理料は、掛金が月額1万円以上または残高100万円以上という要件を満たせば無料です。

公式ホームページでは、新しく加入する場合の加入ケース診断や、企業を転職する場合の移換ケース診断といったサービスを受けられます。

また、野村證券の問い合わせ窓口やWebサポートは、HDI-Japanが提供するサポートサービス格付け調査で高い評価を獲得しています。野村確定拠出年金ダイヤルは、土曜日も受付を行っています。

野村證券のiDeCo商品の投資先は下記の通りです。

リスクコントロール
バランス
国内株式
国内債券
外国株式
外国債券
不動産投信(REIT)
定期預金

リスクコントロール型とは、資産配分比率を変更することで、一定水準以下のリスクになるよう調整しながら運用するタイプの商品です。その他、国内外の株式や債券、REITもあります。

iDeCoの商品選びでよくある失敗例

最後に、iDeCoの商品選びでよくある失敗例を紹介します。モデルケースを参考に、後悔のない商品選びをしましょう。

iDeCoの失敗事例①元本保証型のみを選択した

Aさんは40代で、そろそろ老後に向けて本格的に資金を積み立てなければと考え始めました。iDeCoについて知ったAさんは、節税効果が高いことにもメリットを感じ、口座開設を決意。

とはいえ、これまで全く投資経験がなかったことから、元本割れは絶対に避けたいと考えました。iDeCoには元本保証型の商品もあったため、Aさんは深く考えずに元本保証型の商品を選択しました。口座開設した証券会社の元本保証型の商品は定期預金で、利率は0.01%でした。

そのまま、Aさんは27万6,000円を数年間積み立てました。ある日、証券会社から送られてきた未来の運用予測レポートを確認したところ、20年後の運用益は5,546円しかなく、Aさんは驚きました。 もし、多少リスクがあっても利回り5%の元本変動型の商品を選んでいた場合、iDeCo を始めてからの数年の運用益は元本保証型の定期預金より当然高くなります。仮に20年間、平均利回り5%で推移した場合の運用成果は約385万円です。Aさんは当時、元本割れのリスクを嫌って元本保証型を選びましたが、今後はリスクの高い商品など投資のバランスを考える必要性を強く感じました。

「元本割れは嫌」「投資は嫌い」という理由で、元本保証型の商品を選ぶ前に、一度シミュレーションをしてみることが大切です。シミュレーション結果を踏まえて、自分に最も合った選択をすることが大切です。

iDeCoの失敗事例②アクティブ型の商品にかたよっていた

Bさんは20代のビジネスマンで、社会人になってから投資に関心を持ち始めました。株式やFX、投資信託などさまざまな商品に興味がありましたが、まずは節税効果の高いiDeCoに加入しようと決意。口座開設し、商品を選びました。

Bさんはまだ若いため、リスクを積極的にとってでもリターンを求めたいと考えました。また、せっかく商品を選ぶなら、自分で選びたいと考え、ランキングなどを見つつすべての商品を自分で選びました。

運用を開始したものの仕事が忙しくなり、資産配分を見直すことなく気づけば3年が経過していました。

Bさんが久しぶりに運用状況を見ると、一部大きく値下がりした商品があり、資産全体でも元本割れしていました。また、よくよく見ると、Bさんが選んだのは信託報酬の高い商品ばかりのため、利益が積み上がっていないこともわかりました。

Bさんは、商品選びの際に安易な判断をしたことを後悔しました。その後、資産配分を見直すことで資産をプラスに転換させることに成功しました。

「積極的に投資を」という気持ちがあっても、実際にニュースを見たり、運用状況をチェックしたりする時間を確保できなければ、資産配分を見直すこともできず、期待するリターンは得られません。仕事の状況なども踏まえ、現実的にどれくらい時間を割けるかを考えることが大切です。

また、アクティブ型の商品は、信託報酬が高い傾向があります。リターンの高さだけにとらわれず、信託報酬とのバランスも考慮して商品を選びましょう。

さらに、アクティブ型の商品を選んだ場合は定期的に運用状況をチェックし、資産配分を見直すことが何より大切です。そうすることで初めて、高いリターンを実現できるでしょう。

iDeCoを始めるなら自分に合った商品選びを

iDeCoを始めるなら商品の種類や、商品選びのチェックポイントを確認し、きちんと商品を選択することが後悔のない資産運用につながります。

本文でお伝えしたポイントを簡単にまとめると、下記の通りです。iDeCoの商品を選ぶうえで、参考にしてください。

  • 元本保証型と元本変動型なら、元本変動型の方が望ましい。
  • 初心者はインデックス型を選ぶと安心。
  • ほったらかしで運用したいならバランス型を選択するのも1つ。
  • 海外に投資することはインフレへのリスクヘッジになる。
  • 信託報酬は0.5%以下が望ましい。

「まずは適当に商品を選んで、運用状況によって見直そう」と考えていても、現実的にはなかなか時間を確保できず、そのままになってしまうことが多々あります。だからこそ、最初の商品選びは特に重要です。

資産運用の目的に沿った商品を選び、将来に対する不安を払拭しましょう。

※当記事は、あくまで一般論として各商品の特徴を紹介するものであり、特定の銘柄を推奨するものではありません。

(提供:ANA Financial Journal

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