近代セールス
(画像=PIXTA)

▼首相が銀行間の手数料にまで言及。自民党の金融政策の背景を探る。

安倍晋三首相が6月、銀行が他の銀行へ送金する際にかかる銀行間手数料の引下げを検討するよう指示した。銀行には厳しい〝ムチ〟の政策で、経済成長を促したい自民党政権がトップダウンで銀行の外堀を埋めた形だ。

その一方、足元では地域金融機関を念頭に置いた規制緩和などの〝アメ〟も目立つ。衆院選も見越し、新型コロナウイルスで地方の中小・零細事業者が倒れないよう、資金の出し手である銀行の経営を支える狙いだ。

首相が引下げ求めキャッシュレス促進狙う

近代セールス
(画像=近代セールス)

「40年以上不変の銀行間手数料について、合理的な水準への引下げを図りたい」

安倍首相は6月16日に開かれた政府の未来投資会議でこう述べ、銀行間手数料の引下げを検討するよう関係閣僚に指示した。政府は金融業界とも話し合いながら制度設計を進める考えだ。

首相が問題に踏み込んだ背景には、新型コロナで現金を触ることや外出を控える傾向が強まり需要が高まっているキャッシュレス決済を、さらに後押しすることにある。

現在、キャッシュレス事業者が加盟店の口座へ売上を送金するとき、銀行間の振込を利用するので、国内銀行のネットワーク「全銀システム」を介する。ここで必要となる銀行間手数料は、キャッシュレス事業者が振込手数料として負担する。

今後、銀行間手数料が引き下げられれば事業者の負担は軽くなり、キャッシュレス決済を利用する消費者にも恩恵が出る可能性がある。

金融業界にしてみれば手数料収入が減少する事態だが、政府や自民党に働きかけてひっくり返す力はない。安倍首相の周辺をはじめとして、自民党は経済産業省の影響力が強いうえ、永田町に詳しい関係者によると「今の自民党には、金融業界のために強い力を発揮してくれる金融族議員がいない」という。

出資規制の緩和は地方への配慮から