インターネットが日常生活に欠かせなくなったいま、「デジタル資産」が相続のテーマの1つとして注目されています。デジタル資産は便利な反面、その存在がわかりにくいため、相続時に問題になることが少なくありません。

ネット時代の相続問題は「デジタル資産」

放っておくと後が怖い……。親の「デジタル資産」はしっかり確認しておきたい4つの理由
(画像=Maksim Kabakou/stock.adobe.com)

土地や建物などの現物資産以外の資産を持つことが一般的になった昨今、デジタル資産が相続問題の1つとして浮上しています。デジタル資産とは、以下のようなものを指します。

  • ネット銀行の預金(外貨預金を含む)
  • ネット証券で取引している株式・投資信託・FX(海外のものを含む)
  • 仮想通貨(暗号資産)
  • プリペイド式の電子マネー
  • QRコード決済の残高
  • 収益性のあるYouTubeアカウントやブログ、ウェブサイト

このようなデジタル資産を持つのは、若者だけではありません。スマートフォンやパソコンを使いこなす中高年も、これらを保有することが多くなりました。

デジタル資産はパソコンやスマートフォンだけで管理できるため利便性が高いのが特徴です。反面、現物資産ではないため保有者以外に存在が見えにくいという点もあります。また、以下のような注意点があります。

デジタル資産の注意点1:IDとパスワードは本人でなければわからない

ネット上の財産にアクセスするためには、本人確認のためIDとパスワードが必要になりますが、通常これらは本人でなければわかりません。

ひと昔前なら、誕生日や電話番号などから推測できることも不可能ではありませんでした。しかしハッキングリスクが懸念されるようになった昨今では、パスワード生成ツールなどを使ってより推測しにくいパスワードを設定する人も増えました。そのため、家族でも本人の財産にアクセスするのは極めて困難になりました。

デジタル資産の注意点2:持ち主が認知症になると把握が難航する

本人が心身ともに健康であれば、IDやパスワードを聞き出したり、メモを残すようお願いしたりすることもできるでしょう。しかし本人が認知症になってしまうと、IDやパスワードを思い出すこと自体が難しくなります。また、本人が事故や病気で意識不明になってしまった場合も、財産の把握が難しくなります。

このように、デジタル資産は所有者が元気に日常生活を送っているうちはメリットが大きいのですが、非常事態になると家族がそれを把握できず、困ることになります。

デジタル資産を放置した時のデメリット4つ

このようなリスクがあることを知りながら、家族のデジタル資産の存在やそのID・パスワードを調べないまま放置しておくと、資産の持ち主が亡くなった時に以下のような問題が発生します。

デジタル資産放置のデメリット1:後からわかると、遺産分割協議のやり直し

相続が始まると、相続人による遺産分割協議が行われます。これは「誰がどの財産を引き継ぐか」についての話し合いです。遺言書で承継者や承継財産がすべて指定されていない限り、この協議は行わなくてはなりません。そうでないと、財産の名義変更や相続税の申告ができないからです。

相続人全員で協議を行い、遺産分割の内容について全員が合意したとしても、後でデジタル資産の存在が発覚すると、遺産分割協議をやり直さなくてはならなくなります。

デジタル資産放置のデメリット2:過少申告加算税を支払わなくてはならない

後でデジタル資産が見つかると、遺産分割協議だけでなく、相続税の申告もやり直さなくてはなりません。当初の申告時よりも財産額が増えているので、相続税額も増えることになります。支払うのは、追加の相続税だけではありません。税金を少なく申告してしまったことによって、過少申告加算税というペナルティも支払うことになるのです。

デジタル資産放置のデメリット3:後で莫大な財産が発覚しても相続放棄の撤回ができない

最近は、相続放棄を選択する人が増えてきました。相続放棄とは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく借金などのマイナス財産も含めて、一切の遺産相続を放棄することです。

相続放棄は、一度選択すると原則として後で撤回できません。したがって被相続人の借金を懸念して相続放棄をした後で、ネット銀行やネット証券に莫大な財産があることがわかったとしても、相続放棄を撤回してそれらを相続することはできないのです。

デジタル資産放置のデメリット4:存在はわかってもアクセスできなければ名義変更ができない

デジタル資産の存在や金額がわかっても、IDとパスワードがわからなければアクセスできません。アクセスできないということは、名義変更が行えないことを意味します。現在、ほとんどの金融機関が本人確認を厳重に行っているため、親族であることや相続開始があったことを証明できても、その先の名義変更で難航するおそれがあります。

まずは普段の会話で探ってみよう

デジタル資産の相続リスクを知ったからといって、親に「デジタル資産のIDとパスワードを教えて」と聞くのは気が引けるものです。「死」は、日本ではデリケートなテーマといえます。単刀直入に聞くと、普段は穏やかな親でも「親のお金をアテにしているのか」「私の死を期待しているのか」と機嫌を損ねる懸念もあります。

そこで、日常会話の中でさりげなくデジタル資産について探ってみましょう。「最近デジタル資産っていうのが問題になることが多いらしいよ。知ってる?」と持ち掛ければ、親もデジタル資産のリスクを感じて、少しずつ話してくれるようになるかもしれません。

(提供:ANA Financial Journal

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