2020年に入ってから、日経平均株価やNYダウ(ダウ工業株30種平均)といった日米を代表する株式指標が乱高下しています。2月6日に年初来高値の2万3,995円を付けていた日経平均株価は、3月6日には1万6,358円まで売られ、NYダウも高値から安値まで1万ドル以上も値を下げました。ただ、その後はどちらの指標も大きくリバウンドに入り、ほぼ年初来高値水準まで戻っています。なぜ、景気減速が懸念される中、株式市場が上がり続けたのでしょうか?

実体経済と株価の乖離がどんどん広がっている

【連載#1】常識が通用しない 激動の「2020年マネー市場」
(画像=ANA Financial Journal 編集部)

日米にかかわらず、2020年は世界的に大きなGDP(国内総生産)の落ち込みが予測されています。世界銀行が6月8日に公表した世界経済見通しによると、2020年の世界成長率はマイナス5.2で戦後最悪の落ち込みとしています。それなのに、なぜ日米の株式市場は高値近辺まで値を戻しているのでしょうか?

経済評論家や株式評論家などが、「実体経済と株式市場の乖離」を指摘しています。本来、経済が悪化すれば、株式市場も下がるのが方程式でした。では、なぜこのような値動きになったのでしょうか?

答えは、株式市場の「需給」にありそうです。たとえば、業績が悪い銘柄は一般的に売られて株価が下落しますが、逆に買う人が多ければ、企業業績にかかわらず株価は人気化し、上昇していきます。

「株式市場には現物取引のほかに、日経平均など株価指標の下落で収益を狙える先物市場があります。また、最近ではインバース型に代表される株価の下落を狙ったETF(上場投信)も登場し、個人投資家に大人気となっています。今回の底値からの日経平均のリバウンドには、これらの損失覚悟の買い戻しが大きく影響したと言われています」とは、株式市場を30年以上に渡ってウォッチし続けてきた株式マーケットアドバイザーの天野秀夫氏の解説です。

株価下落を目論んでいた多くの投資家が“担がれた”5月相場

特に日経平均先物には外国人投資家、インバース型ETFには日本の個人投資家が株価下落を狙って投資していたと言われています。さらに日経平均先物には決済の期日(SQ)があり、先の上昇局面では6月の第2金曜日が期日になっているものが活発に売買されていたのです。

過去の経験則から下落すると思われていた日経平均株価がどんどん上昇することで、下落を目論んでいた投資家の含み損が拡大していきます。身動きの取れなくなった投資家が損失覚悟で先物やインバース型ETFを決済することで、それらが上昇のパワーとなり、さらに株価の上昇に拍車をかけたわけです。

その証拠に6月のSQ以降は、株式市場の上昇がいったん収束しています。ちなみに、ショート(売り)している投資家が株価の上昇で含み損を出している状態を「担がれている」と表現します。特に5~6月上旬までの株価上昇局面では、担がれている投資家がたくさんいたわけです。

では、実体経済の悪化が避けられない中、今後、株式市場はどのような方向に動くのでしょうか?前述したように株式市場はファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)だけでなく、需給やその他の要因でも変動します。ですので、株式市場の将来の値動きをズバリ的中させるはとても困難です。

一番危険なのは、自分の考えを曲げず、「株価はいつか戻るはず」とか「こんなに上がっているのはおかしい」と含み損を放置してしまうことです。投資の格言に「ついた値段は正しい」というものがあります。実体経済と株価が乖離していたとしても、まずは「ついた値段は正しい」として、あらためて分析してみることが重要なのです。

(提供:ANA Financial Journal

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