行動経済学
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新型コロナウイルスの影響を受けて、 個人のお客様の中で今後の家計を見直そうという関心が高まっている。その一方で、NISAやiDeCoといった金融関連の知識は十分ではない。そこで金融機関の担当者はいかに声をかければよいのか、アプローチのノウハウを解説する。

お客様の資産形成に向けて「金銭的な健康度」の充実を支えよう

家計を見直すことへの関心が高まっている今は、預かり資産担当者にとって積極的に提案すべき機会と言えよう。ただし、商品ありきの提案ではお客様の信頼を損ないかねない。退職準備に向けた資産形成・資産活用に造詣の深いフィンウェル研究所の野尻哲史代表に、行動経済学の観点を含めた金融機関に求められる資産形成アドバイスを伺った(以下、敬称略)。

──コロナ禍を機に、家計の見直しに対する関心が高まっています。家計の改善についてはどのような考えをお持ちですか。

野尻 世界中で高齢化が懸念されている中で、消費者の資産形成は十分な水準になっていないという分析が多く出されています。ただ、資産形成を進めようにも、家計管理がうまくできないとか、学生ローンの負担が重くて資産形成まで手が届かないといった課題も知られています。

そうした中、欧米で「フィナンシャル・ウェルネス」(金銭的な健康度)と呼ばれる考え方が注目されています。近年は企業の金融教育や資産形成の場にも活用が進んできました。

私がこの言葉を略して社名に冠したのは、特に高齢者を対象としてその金銭的な健康度を、単に資産運用だけではなく、資産の引出し方、生活コストを引き下げる地方都市への移住、そして長く働くことなどから考えていくことを念頭に置いているからです。

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