毎年9月1日は防災の日。2020年は新型コロナウイルス感染症の脅威に加え、九州や中国、東海、東北の各地方は豪雨による水害も発生した。近年、日本列島の各地で地震や大規模な水害、台風など自然災害が毎年のように発生している。そのため、防災グッズや食料品を用意するなど日ごろから災害に備えておくことの重要性を再認識しておくことが大切だ。

また、災害の対策としては備品だけでなく経済的な備えも必要になる。そこで今回は防災の日にあわせて、災害時に必要となるお金について考えてみよう。

災害時にはさまざまな給付金を受けられる

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(画像=PIXTA)

災害に遭った場合、さまざまなことが身の上に降りかかる。例えば、「災害時にケガを負った」「家族で亡くなった人が出た」「住居や家財道具が大きな被害を受けて生活基盤が失われた」とケースが考えられる。

こうした場合のために、国はさまざまな経済的な支援を用意している。詳細に知りたい場合は、市区町村や都道府県に問い合わせる必要があるが、ここでは3つの給付金について紹介する。

・災害弔慰金

災害によって亡くなった人の遺族に対して支給されるのが弔慰金だ。支給額は生計を維持する人が亡くなった場合は最大500万円、それ以外の人が亡くなった場合は最大250万円(いずれの場合も市町村条例で定められた額)が支給される。支給の範囲などは決まっており、亡くなった人の配偶者が最優先の給付対象となる。以下、子ども・父母・孫・祖父母と続く。

なお、一つの自治体で5世帯以上の住居が滅失した自然災害などが対象となる。

・災害障害見舞金

災害によってケガをしたり病気になったりして精神または身体に著しい障害が出た場合には、見舞金が支給される。この制度を活用するには、両眼を失明した人や咀嚼(そしゃく)および言語機能がなくなった人などいくつかの条件がありいずれかに当てはまることが必要だ。生活維持者が重度の障害を受けた場合は最大250万円、それ以外の人が同様の障害を受けた場合は最大125万円(いずれも市町村条例で定められた額)が支給される。

こちらも一つの自治体で5世帯以上の住居が滅失した自然災害などが対象だ。

・被災者生活再建支援制度

災害によって住宅が全壊、または大規模半壊した世帯を対象に支援金を給付。住宅の被害程度(全壊/大規模半壊)に応じて基礎支援金(最大100万円)、再建方法(建設・購入/補修/賃借:公営住宅を除く)に応じて加算支援金(最大200万円)が設定され、2つの支援金の合計額が支給される。住宅の状況によって支給される支援金だが用途は限定されておらず何にでも使うことが可能だ。

こちらは一つの自治体で住居が10世帯以上全壊した自然災害などが対象となる。上記3つの給付のほかにも「災害援護資金」や「生活福祉資金制度による貸付(福祉費:災害援護費)」などの貸付制度がある。

緊急資金を用意して公的支援の不足分に備える

支援制度を見て、「支給のための条件が厳しい」と感じた人もいるのではないだろうか。また、給付額を見ても十分とは言い切れない部分もある。「被災者生活再建支援制度」では住宅が全壊後、新たに建設した場合に300万円の給付が受けられるが、この金額で住宅を建てたり生活を再建したりするのは現実的には難しい。だからこそ、日ごろから災害時に備えて緊急資金を準備しておくことが必要だ。

準備する目安としては、毎月の生活費の3~6ヵ月が目安とされている。例えば、1ヵ月の生活費が20万円なら約60万~120万円は用意しておきたい。これは、避難生活を経て生活を再建するまでにかかる期間に相当する。緊急資金の使い道としては、避難先での食事や衣服、通信費、ホテルなどに避難する場合は宿泊費などが考えられる。

緊急資金は災害だけでなく病気や事故などで働けなくなった場合にも活用することが可能だ。これまで必要性を感じていなかった人もぜひ資金作りに取り組んでほしい。これから緊急資金を準備する人は、まず毎月の生活費の3ヵ月分相当額を目標にしたい。

緊急資金は預貯金をベースに 口座は分散化

緊急資金は災害時にすぐ使えるよう預貯金で貯蓄しておくことが望ましい。その際に生活費や他の用途のお金とは別に管理しておくのがポイントだ。金融機関によっては、災害時に引き出せる金額に制限をかけたりすぐに引き出せなかったりするところもあるため、緊急資金はいくつかの口座に分散させることをおすすめする。

以上のことを踏まえて緊急資金の貯め方の一例を挙げてみよう。緊急資金を管理するメイン口座として積立定期預金や定期預金の口座を作成する。これから緊急資金を貯めていく場合は、積立定期預金で毎月決まった額を目標額に到達する日まで預け入れすればよい。一度にまとまった額を用意できるなら定期預金がおすすめだ。

例えば、「2週間定期預金」のような短期間で満期を迎える定期預金を利用すれば短期間で利息が確保できるうえに、災害時に中途解約する際、元本割れするリスクを抑えることもできる。なお、災害に遭った場合、当該地域の金融機関は事情によって中途解約に応じたり定期預金を担保にした貸付を行ったりするよう特別な措置を講じるようになっていることも押さえておこう。

こうしたことも加味し積立定期預金や定期預金の口座をうまく活用したい。積立定期・定期預金の口座からお金をすぐに降ろせないときのことを考えて緊急資金用の普通預金口座にもいくらかのお金を入れたり電子マネーにお金をチャージしておいたりすることも有効な方法の一つだ。

「昔は使っていたが今は休眠している普通預金口座を持っている」という人は多いだろう。その場合は、緊急資金用に使うことをおすすめする。緊急資金を分散化して貯めていく場合は「どの口座にどれぐらいの額を預け入れしているのか」についてリストを作成しておこう。災害時のことを考えるならリストはクラウドなどにアップしておくと安全だ。近年は、日本で台風やゲリラ豪雨、地震などが頻発していることは、多くの人が感じているところではないだろうか。

非常用持ち出し袋や食料品の用意が「被災直後」の対策とすれば緊急資金は「被災数ヵ月後の生活再建」の対策だ。災害への備えは、中長期的なスパンで考えたいものである。また、中長期で考えるならば、緊急時の預貯金に加えて、資産運用も検討しておくべきだろう。

全体の資産に余裕があれば、もしもの時に不安を感じることなく現金を使うことができる。災害を含めた様々な「万が一」に備えて資産運用を検討してみてはいかがだろうか。