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新型コロナウイルスによる経済活動への影響は、拡大・長期化し続けている。取引先の資金繰りや経営支援にどう取り組むのか、地域金融機関のトップに聞く。

「人間関係の豊かさ」を根拠に支援を行い地域社会に貢献

金融
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東日本大震災で大きな被害を受けた福島県いわき市。このいわき市を営業基盤とするいわき信用組合は、震災をきっかけに担保等の資産よりも地域における人と人とのつながり・信頼関係を重視する「ソーシャル・キャピタル」を経営に取り入れ、地域社会に貢献してきた。

その取組姿勢は今年、新型コロナウイルスで多くの事業者が苦境に陥る中、改めて注目を集める。江尻次郎理事長に支援方針を伺った(以下、敬称略)。

──いわき信用組合では、ソーシャル・キャピタルを経営の中心に据えてお客様を支援していると聞きました。詳しく教えてください。

江尻 当組合は「誰もが金融サービスを受けられる仕組みづくり」「金融包摂」を目指し、『ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)』という考え方を経営に織り込んでいます。これは担保となる資産よりも、個々人が持つ「人間関係の豊かさ」、具体的には家族、親族、友人、知人に加えて職場や取引先、業界、さらには行政区や隣近所といったコミュニティの中での信頼関係や人間関係を重視するという考え方です。

当組合が地域で信頼がおける事業者から、あるお客様を紹介されたとしましょう。たとえそのお客様に資産がなくても信用力が高い事業者とつながりがあれば、当組合はその信頼関係を根拠に融資を行います。

お客様も紹介してくれた事業者の顔を潰さないように努力するでしょうし、いつか事業者が困ったとき、恩義に感じたお客様が事業者を助けることも期待できます。これは事業者の信用力アップにつながります。こうした社会的信頼、互酬性の規範に重きを置く考え方がソーシャル・キャピタルです。

──なぜそのような考え方に至ったのですか。

江尻 2011年の東日本大震災がきっかけです。地震、および原発事故により多くのお客様が建物を失ったり、県外に避難したりしました。そんな中でお客様を支援したいと考えたとき、担保にこだわっていては何もできません。

一方でお金を貸す以上、返してもらわなければいけません。そこで返済の根拠としたのがソーシャル・キャピタルです。この考え方は新型コロナ発生後の地域支援でも活かされており今もソーシャル・キャピタルに着目して融資を行っています。

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