執筆者:株式会社ZUU
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新たなビジネスについて考える中で、少しでも未来のヒントを得ようとシリコンバレーの動向をチェックするビジネスパーソンも少なくありません。しかし今、ほかと差をつけるなら“中国トレンド”を押さえるべきかもしれません。「中国の今を知れば日本の未来がわかる」と情報発信する中国トレンドマーケターの黄未来(こう・みく)さんに、「なぜ今、中国トレンドなのか?」を語ってもらいました。

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中国トレンドマーケター 黄未来(こう・みく)さん(画像=UpU編集部)

US事業禁止でTikTokはどうなる?

――動画配信で言えば、TikTokは、「個人情報が中国に渡るのではないか」という危惧からアメリカでの事業が禁止される可能性が出てきています。黄さんは、TikTokを運営するバイトダンス北京本社に勤務した経験を持ち、『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』(ダイヤモンド社)という書籍も出版されていますが、今回の騒動をどのように見ていますか?

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(画像=UpU編集部)

黄さん:アメリカのモバイルアプリ調査会社「Sensor Tower」によると、TikTokの売り上げは中国市場が約89%を占め、アメリカは約6.2%、次がトルコで1.2%だそうです。つまり、国内の売り上げを世界中に投資している状態でした。そのためアメリカを筆頭とした国々で事業が禁止されると、これまでの投資が無駄になるというダメージはありますが、収益源は国内にあるので、会社自体が傾いてしまうような話ではありません。

私の予想としては、グローバル展開は政治リスクが大きいということで、今後バイトダンスは国内で新しい市場に力を入れていくのではないでしょうか。オンライン教育などにも手を広げていますし、事業の優先順位を変えていくんだと思います。とはいえ、バイトダンスは中国を飛び出してグローバルに活躍する企業になると期待していたので、現在の状況は残念ではあります。これは本を出した時点では予想できなかった未来でした。

――著書の中では、「アリババが将来、Amazonを超えるオンラインマーケットを展開するかもしれない」とも指摘されていましたね。

黄さん:そうなんです。実はAmazonが覇権を握っているのは、アメリカ、ヨーロッパ、日本と世界全体で見たらごく一部の地域だけ。アリババは、アフリカのデジタル化移行を支援するなど、そもそもEC自体が市場として立ち上がっていない地域に今から投資しています。ほかにもロシアや中東、メキシコなど、Amazonが入り込んでいないところに長期的な視点で手を伸ばしている。となると、10年後どっちが強いか考えたら、絶対アリババですよね。

中国製コスメが資生堂やコーセーを超える?

――今後、中国から日本に広がりそうなカルチャーは何でしょうか?

黄さん:メイクです。すでに“チャイボーグ”メイクが若者の間で流行していますが、さらに「メイクといえば中国」というイメージが広がって、中国製のコスメが流行すると予想しています。今の化粧品業界は資生堂やコーセーがアジアをけん引していますが、いずれは中国ブランドが取って代わるのではないでしょうか。

――よくTwitterでも「中国コスメのパッケージがかわいすぎる」とバズっている印象です。中国製コスメの魅力とは、容器のデザイン性などトータルの世界観が作りこまれていることでしょうか?

黄さん:たしかにパッケージのデザイン性は高いんですが、それはほかでも真似できる部分なんですよ。それよりも中国コスメは自由さがすごい!大英博物館や『ちびまる子ちゃん』とコラボしてみたり、なんでもありなんです。この自由さは、なかなか日本の大手ブランドには難しいところだと思います。

もちろんブランディングを鑑みて、攻めすぎたことは避けるというのはひとつの考え方ですし、間違いではありません。しかし、今の世の中で、格式とオリジナリティ、どちらが評価されるかというと、若い世代にとっては圧倒的に後者ではないでしょうか。

――逆に日本から中国に広がる可能性のあるものは何でしょうか?

黄さん:IP(知的財産)、ざっくり言えばキャラクタービジネスですね。中国や韓国もグラフィックのクオリティは高いんですが、作品の世界観やストーリーの作りこみとなると、まだ日本が圧倒的です。漫画『ONE PIECE』や『カイジ』のような作品を中国のクリエイターが生み出せるかというと、まだわからない部分があります。

――すでに日本のアニメや漫画は中国でも人気を集めていますが、まだ伸びしろはあるということでしょうか?

黄さん:アニメをアニメ、漫画を漫画として売る以外の手法があります。たとえばアパレルやコスメブランドとコラボした商品を作るとか……。そういった商品は国内のファン向けには存在しますが、諸外国に向けても力を入れていけばいいと思います。アニメ、漫画、映画というジャンルの枠を意識から取り払い、自由な発想を持てば販路はまだたくさんあるはずです。

――日本にいながら中国トレンドを押さえるには、どのような方法がありますか?

黄さん:自画自賛のようになってしまいますが、やはり「中国トレンド情報局」は有効だと思います。あとは私がフォローしているTwitterアカウントをチェックしてみてほしいですね。私も全ての領域に詳しいわけではないので、コスメやテクノロジーなどに特化して中国トレンドを発信しているアカウントをフォローして情報収集しています。

尖ったスキルがないなら、中国では話にならない

――ここまで聞いて、中国のビジネスシーンに興味を持った人も多いのではないかと思います。中国で求められる人材とは、どんなものでしょうか?

黄さん:一言で言えば、技術のある人です。「プログラミングで顕著な成績を残した」とか「こんなにクオリティの高いイラストが描ける」とか、わかりやすい武器が第一に求められます。日本だと年収800万円くらいのエンジニアが、中国に行ったら2,000万円稼げたなんて、ザラにある話です。

逆に日本で年収400万円くらいの人材は、中国に行っても100万円も稼げないかもしれない。日本は尖ったスキルを持っていなくても生きていける国ですが中国はそうではない。もし中国で働くことに興味があるならば、言葉というディスアドバンテージを抱えた上に何か明確な武器もないのであれば、人材として全く話になりません。

――黄さんが考える、中国のビジネスシーンの面白さとは?

黄さん:動きが速い。それに尽きますね。経済成長のスピードと、社会が進むスピードはある程度比例すると思います。それに中国は人口14億人もいるので、頑張らないと淘汰されてしまう。だから、国全体のスピードがどんどん速くなって、意思決定のスピードも速ければ、昇進のスピードも速いし、社会が変化していくスピードも速い。逆に実力がなければ淘汰されるスピードだって速い。だから中国のビジネスシーンに身を置けば、1年が10年のような濃い時間を過ごすことができますよ。

【黄未来 プロフィール】
1989年中国・西安市生まれ。6歳で来日。早稲田大学先進理工学部を卒業後、2012年に三井物産に入社。国際貿易及び投資管理に6年半従事したのち、2018年秋より上海交通大学ビジネススクールにMBA留学。マーケティングマネージャーとしてバイトダンス北京本社に勤務し、2020年1月に退職。現在は中国トレンドマーケターとして、ビジネス系オンラインサロン「中国トレンド情報局」を主宰。2019年10月、初の著書『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』をダイヤモンド社より出版。

(提供:20代、最高の自己投資メディア UpU

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