新型コロナウイルスのパンデミックが世界を騒がせていることでその影が薄くなりがちですが、米国大統領選挙も株価に大きな影響を与えます。

そこで本記事では米国大統領選挙の現状や前回選挙の際の株価の推移、トランプ氏が再選を果たした場合のシナリオとバイデン氏が当選を果たした場合のシナリオについて見ていきます。

米国大統領
(画像=Getty Images)

大統領選挙の現状

米国大統領選挙まで3か月となった現在の状況について見ていきます。

現時点での有権者投票意向調査では民主党のバイデン氏が現職・共和党のトランプ大統領をリードしており、バイデン氏は50%前後、トランプ大統領は40%強の支持を得ています。

バイデン氏がリードしている状況はずっと続いており、通常であればバイデン氏が当選し、トランプ大統領の再選はなくなるとの見方ができるものの、トランプ大統領は前回選挙で多くの予想を裏切り当選した経緯があるため、どちらが当選するのかを明言することは非常に困難であると言えます。

また米国大統領選挙は州ごとに割り当てられた選挙人団の得票数で勝敗が決定するため、米国全体での支持率が必ずしも選挙結果に反映されているわけではないという点も、大統領選挙の先行きを不透明にしていると言えるのではないでしょうか。

さらにバイデン氏の優勢は同氏の掲げる政策や個人的な魅力によって支えられているというよりは、トランプ氏が問題視されるような言動などを行っていることに起因していると言えます。

バイデン氏に関しても討論などにおける不安定さが指摘されており、選挙終盤での波乱は十分考えられると言えるのではないでしょうか。

いずれにしても米国大統領選挙は依然として予断を許さない状況にあると言えますので、今後の動きに関しては注視していく必要があると言えます。

最後に米国大統領選挙に関する今後の動向について確認していきます。

2020年米国大統領選挙に関する日程一覧は以下の通りです。

  • 2020/08/24-27 …共和党全国大会
  • 2020/09/29…第1回大統領候補討論会
  • 2020/10/07…副大統領候補のテレビ討論会
  • 2020/10/15…第2回大統領候補討論会
  • 2020/10/22…第3回大統領候補討論会
  • 2020/11/03…大統領選挙
  • 2021/01/20…次期政権発足

前回選挙の際の株価の推移

2016年11月に行われた前回選挙では多くの予想を裏切り、トランプ氏が勝利しました。

この予想外の結果を受けて、選挙翌日9日の日経平均株価は前日比5.36%の下落となりました。

これは米国だけでなく、世界経済の先行きの不透明感が高まったとの見方が強まったことによる急落であると考えることができました。

またダウ・ジョーンズ工業株平均も時間外の先物で一時5%程度下落していました。

当初は不透明感から株価が大きく下落したものの、その後の記者会見などを通してトランプ大統領が普通の大統領のような振る舞いを見せたことや、議会上下院も共和党が多数を制したことで、ビジネスを考慮した親ビジネス的な政策が行われるのではないかとの期待が高まり、9日の終値は前日比1.40%の上昇となっていました。

このように一時はアブノーマルな大統領の誕生に対して先行きの不透明感を市場は覚えたため株価は下落したものの、前述の理由に加えて大幅な減税政策などを掲げていることや、トランプ大統領が実業家であったことなどを市場は好感したため、株価は次第に上昇したと考えることができるのではないでしょうか。

トランプ氏が再選を果たした場合のシナリオ

まずトランプ氏が再選を果たした場合のシナリオについて見ていきます。

トランプ氏は対中政策において強硬な姿勢を示しています。

また貿易問題に関して、大統領の権限で変更できる事項は非常に多く、例えば関税は大統領が変更することが可能です。

しかしながら中国製品に対して関税を課すことは、中国企業が米国政府に関税を支払うことを意味するのではなく、中国製品を輸入しているアメリカの業者やその商品を購入する消費者がその影響を受けることになります。

米国市民が持つ中国に対する感情などを考慮すると、対中政策で強硬な姿勢を示すことは政治的にはプラスの影響があるものの、一般的に経済に対してはマイナスの影響が大きくなるのではないかと予想することができます。

とはいえ、現在はコロナ禍にあり、人々の消費行動は通常時よりも少なくなっています。

このような状況下において、日用品を含む中国製品の関税引き上げが行われるのかどうかは疑問です。

また民主党が下院を押さえたままのねじれ議会が続く可能性が高いため、予算の変更などを容易に行うことができなくなると考えることができます。

したがって総合的に判断するとトランプ大統領が強硬な姿勢を実際の政策に反映させることは難しい状況下にあり、トランプ氏の再選による世界経済や株価に対するマイナスの影響はあまり大きくなく、むしろ親ビジネス的な政策を行うトランプ大統領の続投による先行きの見通しやすさを好感し、株価は堅調な推移をしていくものと思われます。

トランプ氏が落選し、バイデン氏が当選を果たした場合のシナリオ

続いてバイデン氏が当選した場合のシナリオについて見ていきます。

バイデン氏が掲げている経済政策で特徴的なものとして、法人増税があり、株式市場での懸念材料となっています。

しかしながら短期的にはコロナショックからの回復に集中することが予想されるため、いきなり増税されるシナリオは想定し難いと言えるでしょう。

また増税が行われたとしても、増税分の予算が社会保障や学費補助などに使用されるのであれば、GDPの観点から見ると分配が変わるだけに過ぎません。

バイデン氏の当選およびトランプ・ロスにより一時的な株価の下落が発生する可能性はあるものの、法人増税を掲げるバイデン氏の当選が株価に対して長期的なマイナス影響を与えると考えることはできないのではないでしょうか。

大統領選挙によって大きく変わる投資すべきセクター及び銘柄

またトランプ氏・バイデン氏のどちらが当選したとしても、マーケットに対する長期的な影響はあまり変わらないものと思われます。

むしろ大きく変わるのは投資すべきセクターや銘柄であると言えるのではないでしょうか。

バイデン氏は政策として環境保護のためにパリ協定に復帰したいと主張しています。

これは米国のシェール関連を中心として石油業界にとって、効率化・増産投資を踏みとどまらせる要因となり得ると言えるでしょう。

健康保険制度の強化が行われれば、医薬品を製造する企業が市場の期待を集めるほか、トランプ氏であればインフラ投資の強化策に石油業のパイプラインなどを含む可能性があると言えるでしょう。

またバイデン氏であれば国際協調路線を掲げており、貿易の活発化が起こる可能性があると考えることができますので、貿易の活発化により恩恵を受ける船舶を保有する銘柄などに対して投資を行う戦略などが有効であると考えることができます。

トランプ氏が再選するのであれば、対中貿易競争激化のリスクにより中国企業との関係が深い企業の株式が下落する可能性があると言えるでしょう。

このようにどちらが当選したとしても長期的なマーケット全体の動きは変わるとは言えません。

しかしながら投資すべきセクターなどが変わるため、今のうちからトランプ氏が再選した場合に投資したいセクター及びバイデン氏が当選した場合に投資したいセクターをまとめておくとよいかもしれません。

新型コロナウイルス感染症に大きな関心が集まりますが、今後4年の動きに影響を及ぼす米国大統領選挙に対しても注視していくべきであると言えます。(提供: The Motley Fool Japan


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