金融業界では、新型コロナウイルス感染症の流行によって「密を避ける」「接触を避ける」という考え方が消費者に広まったことから、FinTechサービスなどITを使った非接触型銀行へのニーズが高まっています。一方で、金融機関には融資先の経営悪化やそれに伴う貸倒れリスクの上昇など、深刻な影響が及んでいます。金融機関にとって、新型コロナウイルス感染症はどのような影響を与えるのでしょうか。金融業界が提供するサービスは、今後われわれ消費者の生活にも直結してくることも多く、要注目です。

新型コロナウイルスの影響が金融業界にもたらすポジティブな変化

金融業界
(画像=jacob lund/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスにより、金融機関で急速に需要が拡大したのが「オンライン取引」です。「3密」を避ける生活様式が普及したことで、人と対面することなく現金の引き出しや送金ができるサービスへのニーズが高まり、FinTechの成長にとって追い風になっています。

そもそも金融取引は信頼性などの理由により対面が基本でした。そのため、ITの活用による非対面の取引を前提とするFinTechは、日本において普及はこれからという状況でした。しかし、今回の新型コロナウイルの感染拡大によって、外出や人との接触を避けて取引が完結するFinTechに注目が集まっています。

成長が期待されるFinTechサービス

新型コロナウイルス感染症の影響により、主に以下3つのFinTechサービスの成長が期待されています。

成長が期待されるFinTechサービス1:キャッシュレス

キャッシュレスとは、現金以外の方法で決済することで、クレジットカードでの支払いやICカードでの決済が該当します。三井住友カードと顧客時間の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響により、人と接触せずに買い物ができるECの利用が、全世代で大幅に増加していることがわかりました。それに伴い、クレジットカードでの支払いも増えることで、キャッシュレスの需要が増加しているのです。

成長が期待されるFinTechサービス2:ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、ロボットがそれぞれ人のリスク許容度に応じて、投資ポートフォリオ(投資資産の組み合わせ)の構築や運用を自動で行うサービスです。新型コロナウイルス感染症の影響で、人と接触せずに資産運用を行えるオンライン投資の需要がさらに増えています。また、株式市場が乱高下する場面もあり、それをチャンスと捉える人、あるいはリスクと捉える人が、市場の細かい局面の変化に惑わされずに投資活動を続けられるロボアドバイザーの活用に注目しているのです。

成長が期待されるFinTechサービス3:eKYC

eKYC(electronic Know Your Customer)を直訳すると「電子的にあなたの顧客について知る」という意味です。つまりeKYCとは、オンライン上で顧客の本人確認を行うサービスです。本人確認に対応した2018年の犯罪収益移転防止法の改正によって導入が認められて以降、オンライン証券の開設やスマホ決済などで、緩やかに普及が進んでいました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、前述した通りオンラインでの金融取引の需要が大幅に増加しています。金融取引のサービスを利用するには本人確認が必須であるため、人と接触せず、かつ書面作成の面倒な手間をかけずに本人確認を行えるeKYCのニーズは、今後も必然的に増加するでしょう。

FinTechの拡大を妨げる要因も存在

FinTechの需要拡大を契機に、オンライン取引の拡大や非対面での顧客対応を中心としたデジタルトランスフォーメーションを推進する金融機関が増えています。デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術の浸透によって、人々の生活をよりよいものに変革していく動きを指します。いままで店舗へ出向き対面によって行っていた取引が、外出することなく自宅で、コンピュータやスマホによって、よりスピーディに、ストレスなく取引できるような変革が始まっているわけです。

一方で、FinTechの拡大を妨げる要因も存在します。新型コロナウイルス感染症はFinTechに限らず、企業の取り組み全体を妨げています。それは企業の業績悪化です。融資先の企業の経営が立ち行かなくなることで、連鎖的に関連する企業の業績が悪化する恐れがあります。各企業の資金繰り支援に追われてしまい、FinTechなどの先進的な取り組みにまで手が回らなくなってしまいます。

FinTechは進展するのか、それとも停滞してしまうのか

新型コロナウイルス感染症の影響で、金融業界にはFinTechなどの「先進的な取り組みによる進展」と、「企業の業績悪化による停滞」という2つの道が目の前に見えてきています。

アフターコロナ、あるいはウィズコロナの時代に勝ち残るのは、進展する者であるといえるでしょう。各金融機関はどちらに進むのか検討する必要に迫られています。厳しい環境を前にしながら、未来も見据えなくてはならないという意味でも、新型コロナウイルスの影響力の大きさを実感することになります。(提供:JPRIME


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