年収1,000万円以上の世帯では、「子どもにお金の使い方や増やし方を学ばせる必要がある」と考えている親が多い傾向にあるという。ただ、子どもにマネー教育を施すには、親自身にもマネーリテラシーがなければならない。

今回は高年収世帯の子どもに対するマネー教育事情を紹介するとともに親が身につけておきたいマネーリテラシーについて解説する。

子どもにマネー教育をしている高年収世帯は66%

マネー教育
(画像=PIXTA)

2020年5月「一般社団法人日本こどもの生き抜く力育成協会」が4~12歳の子どもを持つ世帯年収1,000万円以上の保護者1,000人あまりを対象に「子どものマネー教育に関する調査」を実施した。アンケートの結果によると「子どもにマネー教育を行っている」と答えた人は66.8%にのぼった。「具体的にどのような方法でマネー教育しているか」の回答の上位は以下の通りだ。

 回答内容  割合
 お小遣い帳をつけさせる  46.4%
 新聞や専門書を読ませる  46.4%
 バーチャルゲームをプレイさせる  15.5%
 実際に株式投資や外貨取引などをさせる  2.7%

お小遣い帳をつけさせて「まずはお金をやりくりする力を身につけさせたい」と考えている親が多い傾向だ。また他の回答から「子どものうちから資産形成について知っておく必要がある」と考えている親も少なくないことが分かる。高収入世帯の親の多くが家庭で小学生までの子どもにマネー教育を行っているのは「お金の使い方は幼いころから教えなければならない」と考えているからだろう。

また子どものころから資産形成について教えたいと考えている親は「労働の対価としてお金を得たらそれを増やす」ことの重要性を認識しているといえる。

親こそマネーリテラシーを身につける必要がある

子どもにマネー教育をするには、親自身がマネーリテラシー(お金の使い方や増やし方に関する知識)を備えている必要がある。しかし親世代でも、実際にマネー教育を受けた人がどれぐらいいるだろうか。近年、金融機関などが学校へ出張授業に出かけるなどして、マネーリテラシーや金融リテラシーを身につけさせる動きはある。しかし学校の授業の中で多くの時間を割くことは難しく不十分な状況だ。

最低限身につけておきたいマネーリテラシーとして「家計把握」「生活設計」「金融や経済に関する知識・金融商品の適切な選択」「専門家など外部の知見の活用」の4つがある。なかでも日本人に不足しているのは「金融や経済に関する知識・金融商品の適切な選択」だ。2020年8月に日本銀行が公表している「資金循環の日米欧比較」では各国の家計資産構成が記載されている。

日本の家計で最も多い金融資産は、現金・預金で54.2%だった。次いで保険・年金・定型保証が28.4%、株式等9.6%、投資信託3.4%と続く。一方、米国の家計資産構成を見ると最も多いのは保険・年金・定型保証で32.6%、次いで株式等が32.5%、現金・預金は13.7%、投資信託12.3%となっている。

日本の家計資産は預貯金が半分を占めている一方で、株式や投資信託といったリスクのあるものの割合が小さい。これは日本人が堅実という見方もできる。しかし、正しい知識を持っていれば資産運用ができるのにもかかわらず、知識が十分でないため機会を逃しているともいえるのではないだろうか。

低金利時代では貯金をメインに据えて資産形成を行うことは困難だ。そのため、消費者はさまざまな金融商品について商品の特徴やリスクを理解することが必要になる。さらに現金や貯金だけでなく株式や投資信託などにも分散して投資するスタイルに転換する必要があるだろう。

マネーリテラシーを養う一環で資産運用を始めてみる

親が身につけるべきマネーリテラシーとは、具体的にどんなことなのだろうか。それは、今後のライフイベントを想定し必要な費用をどのように捻出するか考え、目標に向かって資産管理を行うことだ。例えば、子どもの進学費用のために学資保険を積み立てたり住宅購入に必要な資金を貯蓄したりすることも一つの方法である。

住宅購入資金をすべて自力で確保できない場合は、住宅ローンの利用も考えなければならないだろう。疾病や死亡、災害など万が一に備えて貯蓄や保険に加入しておくことも必要だ。一方で日々の家計をチェックし赤字の場合は黒字に転換できるよう改善を進めることも大切になる。すぐに使わないお金に関しては、株式や投資信託などによる資産運用を検討することも有効だ。

資産形成をする際、さまざまな金融商品や金融サービス(ローンやクレジットなど)を利用することになる。しかし「目的が合っているか」「リスクに備えることができるか」など商品・サービスの内容について理解・吟味したうえで選ばなくてはならない。子どもにマネー教育をすることは大切である。ただ子どもに教育をするにはまず親がマネーリテラシーを身につけていることが不可欠だ。

投資を行うことで、日本国内の経済の動きはもちろんのこと、日本の株式市場に影響を及ぼすアメリカの経済や株式市場にも目を向けざるを得ない。政治や経済のニュースに触れるときの意識は資産運用をする前よりも高くなるだろう。学校ではしっかりと教わる機会が少ないマネー教育。子どもにマネー教育を施すためにも親子が一緒になってマネーリテラシーを磨きたいものである。