現在の居住者を引き継ぐ形で物件を購入する、いわゆるオーナーチェンジ物件。購入したその日から家賃を受け取れるなど、メリットも大きい一方で、デメリットやリスクにも注意が必要です。

今回は、オーナーチェンジ物件の購入を検討している投資家に向けて、チェックポイントや失敗事例を紹介します。

オーナーチェンジ物件とは?

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(画像=PIXTA)

オーナーチェンジ物件とは、賃借人が入居している状態で売買される物件のことです。1部屋ずつ契約するワンルームマンションのほか、一棟丸ごとオーナーチェンジするケースもあります。また、戸建てや店舗の場合も、オーナーのみ代わる場合はオーナーチェンジ物件と表現されます。

売買によって物件のオーナーが変わったとしても、賃貸借契約は引き継がれます。なお、入居者がいない場合、オーナーチェンジ物件とはいいません。

オーナーチェンジ物件の3つのメリット

まず、オーナーチェンジ物件のメリットを3つ紹介します。

その日から家賃収入が発生する

入居者がいない状態なら、物件を購入したあと、まずは入居者確保に向けて行動を起こさなければなりません。入居者が見つかるまでは、当然家賃収入はゼロです。

しかしオーナーチェンジ物件の場合、物件を購入したその日から、家賃収入を受け取ることができます。空室期間の心配をすることなく、すぐ家賃収入を得られることは、オーナーチェンジ物件の大きなメリットといえます。

家賃収入がすぐに発生するということは、投資額に対するリターンを計算しやすいということでもあります。「不動産投資ローンを組んで物件を取得したものの収入を得る見通しが立たない」という状態はオーナーにとっては大きな負担です。オーナーチェンジ物件なら、こういったストレスは少ないでしょう。

不動産投資ローンの審査に通りやすい

不動産投資ローンでは、住宅ローンなどとは違い、勤務先・年収といった本人の属性に加え、物件の収益性が審査結果に大きく影響します。オーナーチェンジ物件の場合、すでに入居者がいるため、現実味のある収支計画を立てることができます。

入居者がいない場合は、「入居者がすぐに見つかるとして、家賃を毎月〇万円と仮定した場合……」という予測のもとに収支計画を立てます。これに対して、オーナーチェンジ物件では、実際の数字をもとに収支計画を作れるため、審査を通りやすい傾向があります。

分譲マンションなら修繕積立金を引き継げる

分譲マンションの場合、経年劣化で修繕が必要になる場合に備え、修繕積立金を積み立てることが一般的です。オーナーチェンジ物件なら、これまで積み立てられてきた修繕積立金を引き継ぐことができます。そのため、購入後に突然修繕が必要になったとしても、あわてず対処できます。

しかし、逆にいえば、修繕積立金が貯まっていない、あるいは十分に積み立てられない物件を買ってしまうと、いつか“つけ”を払わされることになるということです。修繕積立金の金額もしっかりチェックしたうえで、物件を購入するかどうか、慎重な投資判断をすることが大切です。

オーナーチェンジ物件の3つのデメリット

家賃収入をすぐに受け取れることをはじめ、メリットの多いオーナーチェンジ物件ですが、当然デメリットもあります。続いては、オーナーチェンジ物件のデメリットを3つ紹介します。デメリットをしっかり理解したうえで、オーナーチェンジ物件を検討しましょう。

室内の状況が確認できない

オーナーチェンジ物件の場合、すでに入居者が生活しているため、物件の内覧ができません。可能なのは、周辺環境のチェック、外観やエントランスのチェック、共用部分のチェックなどです。内装や設備などは、書面上で確認したり、売り主に尋ねたりするしかありません。

不動産投資において、物件の価値を正確に見積もったうえで投資判断をすることは非常に重要です。室内の状況が確認できないことは、オーナーチェンジ物件のデメリットといえるでしょう。

家賃を変更しにくい

賃貸借契約が引き継がれる場合、家賃の金額もそのまま引き継がれます。そのため、購入後に家賃収入が周辺相場と比べて低いことが判明しても、家賃をあげることは困難です。契約更新の際に、入居者との交渉によっては認められることもありますが、そう簡単なことではありません。

家賃収入がすぐ得られるのはメリットですが、その反面、すでに決まっている家賃の金額設定を変更しにくいことは、オーナーチェンジ物件のデメリットです。

購入後すぐに退去されるリスクがある

オーナーチェンジ物件で賃貸借契約が引き継がれるといっても、入居者が必ず住み続けなければならないというわけではありません。入居者の都合で退居してしまうことは、当然起こります。

せっかくオーナーチェンジ物件を購入したのに、購入後すぐ入居者が退去してしまっては、メリットをほとんど享受できません。いつかはかかる費用とはいえ、購入直後に原状回復や入居者募集にまとまった出費が必要となると、金銭面はもちろん気持ちの面でもつらいところ。退居されるリスクがあることについては、きちんと認識したうえでオーナーチェンジ物件を購入しましょう。

オーナーチェンジ物件の4つのチェックポイント

これまで解説してきたように、オーナーチェンジ物件にはメリットも多い反面、デメリットもあります。デメリットに悩まされることがないよう、オーナーチェンジ物件を購入する前は、しっかり契約内容や物件をチェックしましょう。

続いては、オーナーチェンジ物件を検討するにあたって、チェックすべきポイントを4つ紹介します。

家賃相場を確認する

オーナーチェンジ物件を購入する前に、周辺相場と比較して家賃設定が極端に高かったり、低かったりしないか、必ず確認しておきましょう。購入後に気づいても家賃の変更は難しいため、購入前にチェックすることが大切です。

また、利益が出ているように見えても、家賃設定が周辺相場と比較して高すぎるケースも注意が必要です。入居者が退去したあと、新たな入居者を募集するにあたって、現状の家賃設定では入居者が見つからないリスクがあるからです。

入居者を見つけるため家賃設定を下げたところ、利益が出なくなってしまう可能性もあります。このようなことがないよう、妥当な家賃設定になっているかチェックしたうえで、収支計画としっかり照らし合わせることが大切です。

管理状態(修繕の有無、設備)を確認する

オーナーチェンジ物件では室内を実際に見ることができないからこそ、見えない部分については積極的に質問をしましょう。どのような内装なのか、どのような設備があるのか、前回の修理交換はいつ行われたのか、など、気になる情報を確認してみてください。

また、オーナーチェンジ物件の売買においては、瑕疵担保責任を設定できます。瑕疵担保責任とは、物件に隠れた欠陥が見つかった場合の責任について定める条項です。不安が残る場合は、売り主の瑕疵担保責任の期間を長めに設定できないか交渉してみましょう。

サクラ入居者に注意

悪質なケースに限られますが、オーナーチェンジ物件の場合、サクラ入居者に注意が必要です。

たとえば、売り主の親族がサクラとして入居しているケースがあります。オーナーチェンジ物件だからすぐに家賃収入が得られると買い主にアピールし、売買契約が成立したあと、サクラ入居者は退居します。買い主は、改めて入居者を探さなければならなくなります。

極端に生活感が見えない場合、いつ見てもカーテンが閉め切られている場合などは、サクラ入居者かもしれません。疑惑がある時は、早めに確認しておきましょう。

売却理由を確認

売り主の売却理由を知っておくことも、オーナーチェンジ物件を判断するうえで重要なポイントです。入居者がいて家賃収入も入っている状況で物件を手放すのは、何らかの理由があるからかもしれません。

売り主の個人的な事情によるものなら問題ありませんが、物件や入居者に問題がひそんでいるケースもあるため、売却理由はきちんと確かめておいた方がよいでしょう。

オーナーチェンジ物件の失敗事例

最後に、オーナーチェンジ物件を購入したAさんの失敗事例を紹介します。

不動産投資を始めようと考えたAさんは、すぐに家賃収入が得られることに魅力を感じ、オーナーチェンジ物件の購入を検討し始めました。

Aさんは、不動産仲介会社の営業マンから、地方のとあるオーナーチェンジ物件を紹介されます。都心に住んでいるAさんは、現地に物件を見に行くことは難しいと考え、書類上で家賃収入や利回りを確認しただけで、物件の購入を決めてしまいました。

しかし、物件を購入したものの、なかなか家賃収入が振り込まれません。入居者に連絡をしたところ「来月払います」といわれるのですが、その後も滞納が続きます。Aさんには、まだ多額の不動産投資ローンの返済も残っています。

しびれを切らしたAさんが、家賃を支払うよう強く入居者に迫ったところ、入居者は行方をくらます形で退居してしまいました。おまけに、いやがらせでクロスや床に傷痕が残っていました。

その後は、保証人に連絡をとったり、修繕を業者に依頼したり、Aさんは対応に追われます。そのうえ、新たな入居者はなかなか見つかりません。周辺の家賃相場を確認したところ、家賃設定はかなり高めの設定だとわかりました。

やむを得ず家賃を引き下げて募集したものの、入居者が見つかったとしても、当初想定していた利回りをはるかに下回る結果となってしまいました。

Aさんの失敗は、営業マンに言われるがまま、よく確認もせずに物件を購入したことです。失敗を避けるためには、周辺の家賃相場や入居率など賃貸市場の環境を、自身で調べられる範囲でも調べることです。

また、仲介会社は「売って終わり」になる可能性が高いことも念頭に入れておく必要があります。購入した後の管理トラブルは基本的に自己責任なのです。

信頼できる不動産会社を選ぶことが大切

不動産投資で成功するには、信頼できる不動産会社との出会いが不可欠です。特にオーナーチェンジ物件では、購入後までしっかりサポートしてくれる不動産会社の重要性はより高まります。

不動産会社といっても、売買の仲介のみを手がける会社と、販売した物件の管理まで行う会社があります。後者の会社なら、売却後も不動産管理において付き合いが続くため、オーナーからクレームを受けるような物件を売りつけられる心配は少ないと言えるでしょう。

不動産会社を選ぶ時は、不動産管理も行っている会社を選ぶとよいでしょう。そうすれば、失敗を防ぎつつ、不動産投資で着実に資産形成ができるはずです。