基本的に1つの証券会社では証券口座を1つしか開設できません。しかし、異なる証券会社であれば、複数の証券口座を持つことは可能です。

複数の口座を持つことで得られるメリットがある一方、デメリットがあることも忘れてはいけません。 この記事では、証券口座を複数持つ意味や証券口座の種類、目的に合った証券口座の組み合わせなどについて解説します。

証券口座を複数の証券会社で開設できる?

証券口座,複数
(画像=PIXTA)

前述のとおり、証券口座は複数の証券会社で開設できます。証券口座を複数開設することは法規制の対象にもなっていません。

証券口座は最大いくつまで保有できるのか

証券口座の保有数に制限はなく、多く保有することで税法上の問題となることもありません。また、証券口座は保有するだけなら費用もかかりません。

複数保有することに問題がないからこそ、メリットとデメリットを正しく知り、しっかり比較したうえで決めることをおすすめします。

NISA口座は1人1口座しか作れないので注意

複数の証券口座を開設する際の注意点として、少額投資非課税制度のNISAがあります。

NISAでは、個人が開設できる口座は1つとされています。NISAの口座で取引すれば一定額の利益が非課税になるので、主に取引する証券会社で開設するようにしましょう。

また、NISA口座は1年単位でしか証券会社を変更できません。途中で変更できないからこそ慎重に選びましょう。

家族で複数口座を持つことも可能?

家族で複数口座を持つことは可能で、メリットもあります。

例えば「株主優待」です。100株で株主優待を受けられる企業の場合、300株を自分1人で持っていたとしても受け取れる株主優待は1つだけです。一方、3人家族全員が口座を開設して100株ずつ投資した場合、株主優待は3人分になるので、家族の協力を得て複数の口座を持つほうがお得です。

未成年者でも口座開設できる証券会社も多く、学生でも口座は作れますが、仮名や借名での取引は禁止されているので注意しましょう。

証券口座には種類がある

1つの証券会社で口座開設する場合、「一般口座」と「特定口座」の2種類があります。一般口座と特定口座の違いについて解説します。

・口座の申し込みで必ず開設される「一般口座」

証券口座の開設を申し込むと必ず、「一般口座」が開設されます。一般口座で株式や投資信託、債券などの取引を行った場合、1年間の損益を自分で計算して確定申告を行わなければなりません。

資産や損益の管理、申告の手続きなどを自分で行う一般口座は、投資や税金などの知識や経験がある程度必要となるでしょう。

・開設を選択できる「特定口座」は2種類

特定口座は、開設するか否かを選択できる口座です。特定口座には「簡易申告口座」と「源泉徴収口座」があり、いずれかを開設することになります。

損益管理や確定申告を自身で行う一般口座とは異なり、特定口座は資産管理や申告、納税手続きなどを簡単にするための口座です。

・損益管理が不要となる「簡易申告口座」

特定口座の「簡易申告口座」では、損益管理が不要です。この口座内で発生した損益は、一般口座の所得として計算されます。

計算自体は証券会社が行うため、一般口座のように取引ごとの損益管理が不要です。さらに1年間の取引は「特定口座年間取引報告書」によって毎年交付されるため、年間の損益計算も必要ありません。報告書の提出をもって確定申告したこととなり、申告にかかる手間を大幅に軽減できます。

・確定申告が不要となる「源泉徴収口座」

特定口座の「源泉徴収口座」では、原則として確定申告が不要となります。この口座内で利益が出た場合、所得税や住民税を合わせて20.315%が自動的に源泉徴収され、残った額が利益として口座に残ります。もし損失が出た場合、それまでに徴収された税金が還付されます。

このように譲渡益と譲渡損との通算が取引のたびに行われるのが源泉徴収口座で、1年間の取引内容は「特定口座年間取引報告書」にまとめられます。

年間の収益がプラスであれば取引のたびに税金を納めているため、原則として確定申告が不要となります。

証券口座を複数作ることで得られるメリット

複数の証券口座を作ることで証券会社ごとの特徴を活用できます。1つの証券会社では得られないサービスや情報なども入手できるでしょう。

・新規公開株の当選確率が上がる

IPO株(新規株式公開株)とは、未上場の会社が東京証券取引所に初めて上場した株式のことです。新規公開される会社の株式は、証券会社ごとに割り当てられる株数が異なります。

中でも幹事となる証券会社に口座があれば、抽選によって新規公開の株式が購入できます。この際、主幹事証券会社には株数が多く割り当てられるため、当選確率も高くなります。もちろん、主幹事以外の証券会社にも割り当てられるので、複数の証券会社から申し込めばさらに当選確率を上げられるでしょう。

・購入できる商品の幅が広がる

証券口座を複数作ることで購入できる金融商品の種類や幅が広がります。なぜなら、証券会社ごとに取り扱っている商品の種類や数に違いがあるからです。

投資信託や債券、外国株式、ETF、金など、金融商品には多くの種類があります。どの商品に投資をしたいのか、投資したい商品の取り扱いがあるかなどを検討したうえで、多くの選択肢の中から目的に合った証券会社を選びましょう。

・各証券会社の強みを生かせる

証券会社は独自の運用、分析ツールを提供しています。無料で利用できたり、条件があったりなど、その内容はさまざまです。

複数の証券口座を開設することで、自分に合ったツールを見つけやすくなります。メルマガやセミナー、投資レポートなど一般投資家では収集できないような貴重な情報も得られるでしょう。

・システムエラーのリスクを低減

1つの証券会社だけで口座を開設している場合、その会社のシステムが利用できなくなると取引が行えなくなる可能性があります。同時に機会を損失する可能性も高まります。

複数の口座を持つということは、そのようなリスクの対策にもなるでしょう。

複数の証券口座を作るデメリット

複数の証券口座を持つことにはメリットがある半面、デメリットもあります。

・払う必要のない税金が徴収される

複数の証券口座を作ることで、本来払う必要のない税金を徴収される可能性があります。1つの口座で取引をした場合と2つの口座で取引をした場合では、手元に残る金額に差が生まれる場合があるのです。

例えば、複数の源泉徴収口座で取引を行うと、各口座から源泉徴収されることとなり、他の口座の損益は一切考慮されません。その結果、1年間の総利益に対して多く税金を払っていたということにもなりかねないのです。

・IDとパスワードの管理が大変

証券口座を複数作るとIDとパスワードの管理が大変になる場合があります。IDやパスワードを忘れてしまうと再発行に手間もかかります。

また、IDとパスワードを厳重に管理するには定期的な変更が必要となったり、同じパスワードを転用できなかったりなど、セキュリティー面での苦労が増えるかもしれません。

・証券会社ごとの損益計算が複雑

複数の口座を使う場合、全体の資金状況を把握するためには、自分で計算をしなければなりません。金融資産の合計を把握するには、各口座の資産を合算する必要があるでしょう。

また各口座での投資成績が、プラスかマイナスかを管理する必要もあります。このように自分で管理するべき項目が増えるので、口座が増えるほどに複雑さが増すでしょう。

・確定申告が必要となる場合も

各証券口座を源泉徴収がある特定口座にしていれば、確定申告の心配は不要です。しかし源泉徴収ありの特定口座にしていない場合や損益通算や損失の繰越控除を行う場合は、確定申告が必要です。

損益通算で注意すべきは、配偶者や扶養控除との兼ね合いです。控除対象になる人が確定申告すると、その所得額次第では控除されなくなります。

控除の対象から外れると、損益通算でプラスとなっても税負担がアップして損をする可能性もあるでしょう。総合的に見てどちらが得なのかを判断し、確定申告をするか否かを決める必要があります。

目的に合った証券口座の組み合わせとは?

複数の証券口座を開設する場合、どこがいいだろうと悩む人も多いでしょう。そこで目的やニーズに合わせた組み合わせを紹介します。

・外国株投資なら取扱銘柄数と手数料

外国株投資を行うなら、取扱銘柄数と手数料が重要なポイントとなります。中でも米国株取引に興味があるならマネックス証券がおすすめです。なぜなら、マネックス証券では米国と中国の取扱銘柄数が他社を圧倒しているからです。

手数料で選ぶなら、DMM.com証券が優位でしょう。米国株の取引手数料が無料という独自の強みを持っています。

DMM.com証券とマネックス証券の組み合わせは、外国株投資に強いと言えるでしょう。

・手数料を安くしたいなら割引サービスを確認

取引手数料の安さが際立つのが松井証券です。国内における現物株式の1日の約定代金合計額が50万円以下であれば、手数料が無料です。少額取引が多い人は、松井証券は外せないでしょう。

auカブコム証券は、手数料が無料のETFが豊富にあります。さらに「シニア割」や「NISA割」「auで株式割」などの独自の手数料割引サービスも充実しています。

手数料を安くし、割引サービスもフル活用するなら松井証券とauカブコム証券の組み合わせがよいでしょう。

・IPO株へ挑戦するなら取扱実績数が重要

IPO株に挑戦するなら、取引実績数がものをいいます。中でも、必ず持っておきたいのがSBI証券の口座です。

また、IPO当選確率も重要です。この点では、SMBC日興証券がおすすめです。SMBC日興証券は、ネット証券の中でもIPO取扱実績数がSBI証券に次いで多くなっています。

これからIPO株に挑戦する人は、SBI証券とSMBC日興証券の組み合わせがベストです。

・少額投資をスタートするならミニ株

通常、日本の株式は100株単位の売買しかできません。しかし、一部の証券会社ではミニ株と呼ばれる1株単位での取引ができるサービスもあります。

大企業の株でも数千円程度から投資できることがミニ株の魅力です。ミニ株を取引できるおすすめの証券会社は以下の3社です。

 ・SBI証券
 ・SBIネオモバイル証券
 ・LINE証券

各社で新規口座開設のキャンペーンやプレゼントなども実施しているので、そのタイミングで口座開設するのもおすすめです。

証券口座を一括管理できるツールもおすすめ

複数の証券会社に口座を持つと、管理が大変だと感じる人も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、複数の証券口座を一括管理できるツールやアプリです。

また、一括管理するだけでなく、分析ができるアプリもあります。

事前にどのようなツールやアプリが自分に合うかを調べてみましょう。

各証券の強みを最大限に活用しよう

今回は、複数の証券口座を持つメリットやデメリット、証券口座の種類、おすすめの組み合わせなどを紹介しました。

証券会社ごとの強みや特徴を最大限に活用することで、複数の証券口座を開設しても失敗する可能性は低くなります。

投資の目的に合った戦略を立てるためにも、しっかりと事前対策をしておきましょう。