新規上場(IPO)銘柄にはそれぞれ傾向があり、上場初日に人気が過熱する銘柄も、初値が公開価格を下回る不人気銘柄もある程度は事前に把握できるものです。ここでは初値が高騰する銘柄の見分け方や、上場初日以降から投資する場合の注意点についてまとめます。

短期投資家に人気なのは、ITやバイオ関連

【特集#4】「IPO株」投資の傾向と対策2020
(画像=ANA Financial Journal 編集部)

IPO銘柄の初値が高騰しやすいのは、限られた売り物を無数の短期投資家が欲しがるためです。手元資金に証券会社から借りた資金を足して株式を多く買う「一般信用取引」が買い手を増やす効果を発揮しています。

では、短期投資家が集まってくるのはどんな銘柄でしょうか?最もわかりやすいのは、業務内容に将来性を感じさせる企業です。IT関連株や自動運転技術、人工知能(AI)、遺伝子工学を応用したバイオ・創薬ベンチャーなどが該当します。独自技術を持ち、ライバル社のいない分野の先駆者なら理想的です。

一方、飲食店や小売店、不動産販売、建設業など旧来型産業に分類される企業は急成長シナリオを描きにくく、初値トレードは盛り上がりに欠ける傾向があります。ただ、不人気を前提に上場前に投資家に売り渡す際の「公開価格」をあえて低めに設定することが多いせいか、初値が公開価格を大幅に下回ることも少なく、上場初日は可もなく不可もなく通過する企業が大半です。

一方、業態よりも大切な要素があります。それは上場前に売りに出される株数です。これは、上場初日の人気に最も大きな影響を与えるといっても過言ではありません。

売り出し株数が少ない銘柄は、初値急騰の傾向あり

IPO株の売り出しには、上場前には新株を発行する「公募」と、創業者一族や取引先銀行などが持ち株を放出する「売り出し」があります。公募は株式を売った資金が企業に入り、設備投資や運転資金に充てられます。「売り出し」は創業者などの個人保有株が現金化されるだけで、企業の成長には関係ありません。

上場初日の株価高騰だけを考えれば、売られる株は少ない方が好ましいでしょう。最近は銀行やベンチャー投資ファンドから上場前に資金を確保しているため、新株発行を伴う公募は実施せず、上場前に創業者らの持ち株だけが売り出されるケースが目立っています。証券会社が大手の非上場企業を口説いたこともあり、上場企業が次第に小規模になり、上場に伴って市場に出てくる株式も減っているようです。

売り物が少ない銘柄に買い手が殺到したら株価が上がるのは当然でしょう。たとえば、2020年3月26日に上場したサイバーセキュリティクラウドは好例で、その名の通り、ネットワークを不正アクセスや情報流出から守るネットセキュリティ企業です。

在宅勤務の普及に伴うネットの安全対策強化は社会的な要請なので、成長期待は文句なしでした。しかも、上場前の抽選の当たり本数はわずか700本(1本100株)と超小規模でした。世界の株式市場が大荒れの中で上場したのですが、結果としてこの銘柄の初値は9,210円と公開価格4,500円の2倍を超えました。

初値の後は値下がり続ける「初値天井」も。上場初日の決算発表は要注意

一方、上場後の株価の動きはまちまちです。初値は絶好調でもその後は値下がりする一方の「初値天井」銘柄もあれば、公開価格割れでスタートした後、徐々に水準を切り上げていく銘柄もあります。

初値天井の銘柄は上場後の最初の四半期決算発表が分水嶺になります。上場初日に業績見通しを開示することになっているのですが、初の決算発表でいきなり業績不調が判明する企業は珍しくありません。

一方、初の四半期決算発表で好業績なら市場の懸念が晴れ、短期的にせよ株価が上がることが多いものです。上場初日で売る初値トレードと、上場してから買う通常のトレードは別物と考えた方がよさそうです。

(提供:ANA Financial Journal

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