資産運用を始める際のポイントの一つに、「資産運用に回せる資金があるかどうか」という点がある。当然だが、お金がない状態で資産運用はできない。では、どれくらいの収入があれば資産運用ができるのだろうか。一つの目安とされていた「年収500万の壁」の実情について見ていこう。

資産運用をめぐる「年収500万の壁」とは

年収500万の壁
(画像=PIXTA)

まず資産運用をめぐる「年収500万の壁」について確認していこう。「年収500万の壁」とは、簡単に言うと「年収500万円を超えないと資産運用は難しい」というものである。しかし実際は、どうだろうか。フィデリティ退職・投資教育研究所では、サラリーマン1万人を対象にした「サラリーマン1万人アンケート」を毎年行っている。

2019年に行われたサラリーマン1万人アンケートでは、年代別や年収別での投資家割合(アンケート回答者全体における投資をしている人の割合)についての結果が明らかになっている。

年代別の投資家割合を見ると最も高いのが「40代」の38.2%、最も低いのが「20代」の31.5%だった。この結果から年代別では、投資家割合にそれほど大きな差がないことがわかる。

次に年収別を見ていこう。年収別では、投資家割合が最も高いのが「1,500万~2,000万円未満」で75.0%、次いで「2,000万円以上」74.3%、「1,000万~1,500万円未満」65.2%だった。一方、投資家割合が最も低いのが「300万円未満」で21.5%、次いで「300万~500万円未満」37.0%、「500万~700万円未満」47.3%となっている。

年代別の投資家割合
(画像=ZUU online編集部作成)

アンケート結果から年収が高ければ高いほど投資をしている割合が高いことがわかるだろう。ここで注目したいのが「年収500万の壁」である。年収500万円以上の場合はおおむね半数以上の人が投資をしているのに対し、500万円未満の場合は40%以下の人しか投資をしていない。

2019年の「サラリーマン1万人アンケート」においても「年収500万の壁」は実際に存在することがわかる結果となっているのだ。

資産運用をめぐる「年収500万の壁」はなくなりつつある

2019年の「サラリーマン1万人アンケート」の結果では、資産運用に「年収500万の壁」は確かに存在することがわかる。しかし少し前の調査と比べてみると、近年この「年収500万の壁」はなくなりつつあることもわかるのだ。

それは今まで興味・関心がなかった人へも投資が広まっていった結果と考えられるだろう。2016年と2019年の「サラリーマン1万人アンケート」を比較すると、投資を始めている人が増えていることが如実にわかる。例えば年収「300万~500万円未満」の場合、2016年には29.9%にしか過ぎなかった投資家割合が、2019年には37.0%となり、3年間で7.1%の増加となった。また年収「300万円未満」の場合、2016年の投資家割合は17.7%だったが、2019年の投資家割合は21.5%と3年間で3.8%の増加となった。

これは、NISAやiDeCoのように税制上優遇される商品の広まりや、「100円投資」や「ポイント投資」など少額から始められる投資が増えてきたことが要因だろう。投資へのハードルが低くなり、結果として投資が身近になってきたと考えられる。こうした流れが進めば、「年収500万の壁」も徐々になくなっていくかもしれない。

資産運用を始めるなら、少額でできる投資商品がおすすめ

これまでデータを紹介してきたように、資産運用を始める人は年々増加傾向にある。まだ始めていなくても、これから資産運用を始めようと考えている人も多いだろう。投資未経験者は少額からできる投資商品からスタートした方が良い。少額から始められる投資商品には、以下のようなものがある。

●投資信託

投資信託とは投資家から集めたお金を投資のプロが株式や債券などへ投資・運用する商品のことである。少額から始められることや運用をプロに任せることができるなどの理由から、資産運用の初心者にも始めやすい投資方法の一つだ。最近では、数百円程度から始めることができるものもある。

●金銭信託

金銭信託も投資信託と同じように信託銀行などが投資家の代わりにお金を管理・運用する金融商品だ。信託銀行などの運用会社は、投資家から預かった資金をあらかじめ決定している方針に沿って運用、利益が出れば投資家に還元する。投資信託と違うところは、「単独運用ができる」「自分の資金がどこに投資しているのかわかる」といった点だ。また投資信託と異なり、商品によっては元本保証がある場合もある。

このほか金利の高い定期預金なども資産運用の一つだ。

少額から資産運用を始めよう

資産運用は、結婚や子育て、老後の生活など自ら描いた人生設計を実現するために必要不可欠なものとなっている。特に人生100年時代と言われる今、定年後の人生を考えるとぜひとも早いうちに資産運用のポイントをつかんでおきたい。

そのための第一歩として、最初から大きい金額を動かすのではなく、あくまでも余裕資金で少額から資産運用を始めていくことが重要と言えるだろう。