日本人が受賞するか否かが毎年注目を集める「ノーベル賞」。世界的に権威のある賞であり、受賞者には賞金として、日本円にして最大約1億円が贈られる。しかし、なぜ毎年このような高額を拠出しながらもノーベル賞は継続していけるのだろうか。

ノーベル賞と賞金:各賞で1,000万クローナを分け合う

ノーベル賞の賞金
(画像=PIXTA)

ノーベル賞といえば毎年10月の風物詩とも言える。「物理学賞」「化学賞」「生理学・医学賞」「文学賞」「平和賞」「経済学賞」の6つの部門があり、日本人の受賞が出るか、毎年メディアで注目される。

そんなノーベル賞は1901年に創設された国際的な賞だ。ダイナマイトの発明者であるスウェーデン人のアルフレッド・ノーベル氏の遺言に従い創設され、すでに歴代で1,000人近い個人と団体にノーベル賞が贈られている。

ノーベル賞の受賞者は世界各国の著名な研究者からの推薦によって選考される。受賞するのは1組3人以内と定められており、2020年の場合は各賞の賞金として1,000万クローナ(約1億2,000万円 ※クローナはスウェーデンの通貨)が用意されている。受賞者が複数いる場合は、この1,000万クローナを分け合う形となる。

そして、こうした賞金やノーベル賞の運営費用を拠出しているのは、主にノーベル財団(経済学賞の賞金のみスウェーデン国立銀行が拠出)で、経済学賞を除いた5賞の賞金だけでも2020年は5,000万クローナ(約6億円)が必要ということになる。

6億円といえば大金だ。ではなぜ、ここまでのお金を拠出しなければならないノーベル賞に、存続を危惧するような話が出てこないのだろうか。その理由は、ノーベル財団が「資産運用」をしているからだ。

ノーベル賞の原資:ノーベル財団の資産運用益から捻出される

ノーベル財団の原資は前述のアルフレッド・ノーベル氏が遺した巨万の富で、その資産を運用することで得られる運用益からノーベル賞の賞金や賞の運営費を捻出している。そのため、ノーベル賞は今後も半永久的に続けていくことが可能なわけだ。

もちろん、資産運用はある一定額の利益が約束されるものではないため、成果が良い年もあれば悪い年もある。そのため、ノーベル賞の賞金の金額もこれまで何度も変動している。

具体的には、2001〜2011年にかけては1,000万クローナだったが、2012〜16年は運用成果が芳しくなかったことから800万クローナに減額され、その後、2017〜2019年は900万クローナ、そして2020年は1,000万クローナに戻された。

このように賞金額が変動してしまうのは資産運用の性質上仕方ないが、注目すべきは、運用益を出し続けられているということではないだろうか。

ちなみにノーベル財団の資産は2018年末において43億3,800万クローナ(約470億円)で、資産の40%強を株式投資、15%程度を債券投資、そのほかをオルタナティブ投資などに充てているという。

資産運用は継続的な利益を生み出す

ノーベル賞といえば、日本人の受賞者や先端技術に注目したくなるが、ノーベル財団が運用益を出し続けている、資産運用の仕組みにもぜひ注目したいものだ。

資産運用は元手の資産さえあれば誰でも始めることができる。例えばいま日本国内で資産運用を始めようと思えば、銀行や証券会社で口座を作り、金額のスケールは違えどノーベル財団もしているような株式投資や債券投資を行うというのが1つの選択肢となる。

投資の初心者であれば「投資信託」(投信)もぜひ視野に入れたいところだ。投資信託とは、投資の専門家が運用しているファンドのことで、このファンドの一部を保有することで、運用方針によっては安定的な成果を出しやすい。

このように、株式や債券、投資信託など、資産運用を始めようとすれば選択肢は様々だが、どれか1つに集中して投資しなくてもよい。複数の選択肢を組み合わせて運用することで、「分散投資」の効果が生まれ、極端な損失を出すことを防ぐことができる。

こうした資産の組み合わせのことを「ポートフォリオ」と呼び、投資を始めたばかりの頃はなるべくリスクが小さくなるように、ポートフォリオを組んだ方がよいだろう。ノーベル財団もすでに紹介した通り、投資先を分散させている。

定年退職後の生活を見据え、早めの資産運用を

株式投資や投資信託は元金保証型の投資スタイルではないが、平均的には預貯金の利息よりも高い運用益が見込まれる。そのため、老後の生活費を確保するために若いうちから取り組み始める人は多い。

寿命が今より伸び、いずれ「人生100年時代」が訪れることを考えれば、定年退職後の生活を見据えてより多くの資産を築いておきたいものだ。ノーベル賞のニュースを見かけたならば、それをきっかけに資産運用を始めることを検討してみてはいかがだろうか。