株式投資において次の上昇銘柄を探すとき、多くの投資家が注目しているテーマを研究することも、リターンを得られる銘柄選びのテクニックです。このシリーズでは、この数年にわたり注目を集めることが予想される4大テーマについてご紹介します。シリーズ3回目は、機関投資家の動きもみられる「親子上場株」をテーマに考えます。

あらためて親子上場株が注目を集める理由

【特集#3】投資家大注目!テーマから考える株式投資入門
(画像=ANA Financial Journal 編集部)

投資のために物色されるテーマは、個人投資家の個別株物色の一環で生まれる相場的な現象とみられがちですが、需給的にはファンド運用者など機関投資家も重要な役割を担う場合があります。

投資信託(ファンド)の新規設定にあたっては、「インド関連」や「アフリカ関連」といった国別のファンドや社会資本整備の「インフラ関連」、フィンテックやセキュリティなど「テクノロジー関連」が続々と生まれています。近年では人工知能(AI)関連のファンド設定が顕著です。

一般的に、ファンドに組み入れられる銘柄は流動性の高い大型株が中心ですが、テーマ的には中小型株が組み入れられることもあり、その場合、株価へのインパクトも大きくなります。そして、6月には「親子上場」関連株も組み入れ対象とする国内初、そして世界でも類を見ない公募投資信託が設定されました。あらためて、親子上場株に対する注目が集まっています。

ガバナンス問題が指摘される親子上場

親子上場とは、親会社株式と子会社株式がそれぞれ取引所に上場しているケースです。子会社の独立性やモチベーションの向上、資金調達の多様化などから、親子上場は現在でもよく見られます。

代表的な親子上場の例では、大規模総合スーパーマーケットを運営するイオンがグループ会社として15社を東京証券取引所に上場させています。このほか総合IT系企業のGMOインターネットも、自社を含めて10社の上場を実現させています。また日本電信電話(NTT)は、NTTドコモとNTTデータ、日本郵政はかんぽ生命保険とゆうちょ銀行という子会社を上場させています。

そして2018年12月にはソフトバンクグループが、子会社でメガキャリアの一角を占めるソフトバンクをIPO(新規上場)させたことが話題ともなりました。三菱商事や伊藤忠など総合商社も、複数の子会社が上場しています。

親子上場の問題点を見すえ、企業はどう動いているのか

しかしこの親子上場は近年、問題点が指摘され議論が進展しています。企業統治(コーポレート・ガバナンス)が重視されるなか、親会社と子会社間での取引価格や配当といった経営政策において、基本的に利益相反関係が生じる可能性が懸念されているのです。また、親会社の連結決算には主要子会社の業績が反映されるため、親子が上場している意味合いは少ないともいえます。

こうした流れを受けて、東京証券取引所は、親子上場の統治ルール策定で有識者らによる研究会を設置し、親子上場の問題点や上場子会社の少数株主保護の枠組みなどを議論しています。

自動車大手のホンダもグループの主要自動車部品企業3社を、TOB(株式公開買付)で完全子会社化の方針を打ち出しています。2020年7月には伊藤忠商事が大手コンビニのファミリーマートを、同じくTOBで完全子会社化することを発表しています。親子上場問題を先取りし、企業サイドではすでに動き出していることが伺えます。

親子上場解消時のTOB価格にはプレミアムが上乗せ

こうしたなか2020年6月には、マネックスグループが変革期を迎える日本の上場企業を中心に投資対象を選定。個人投資家を巻き込んだエンゲージメント(対話)を行うことを目指す、国内初そして世界でも類を見ない公募投資信託「マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)」を新規設定しました。

アクティビスト(モノ言う株主)は従来、発行体(上場企業)に、直接インタビューや取材、効果的なエンゲージメント(対話)を行うことのできる機関投資家に限られてきたといっても過言ではありません。これをファンド参加の個人投資家にも広げようとする新たなファンドの試みです。

このファンドのポートフォリオのイメージ構成比(案件数ベース)では、「事業計画の見直し」40%、「親子上場等」25%、「株主還元強化・IR強化」20%、「その他」15%が示され、「親子上場」にスポットが当たっていることが特徴です。

株式マーケットが大きな変動を示す過程では、親子上場の株価から計算できる親会社の価値が低くなるケースも出てきます。こうしたことから、アクティビスト・ファンドの運用対象テーマとして親子上場が含まれることは、企業サイドへの提案材料としては有力なものとなっています。

一般的に、親子上場が解消される際には、親会社が子会社をTOBで完全子会社化する手法が採用されます。そして完全子会社されると、子会社の上場は廃止されます。その場合のTOB価格は、TOB発表時の株価からプレミアムが付くケースがほとんどです。つまり高い価格で株を売却できる可能性が高くなるわけです。親子上場銘柄はターゲットが絞りやすいことから、有力なテーマといえそうです。

(提供:ANA Financial Journal

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