安全資産

安全資産とは何か?

新型コロナウイルスの影響による経済/社会の混乱を受けて、あらゆる局面で「安全性」に対するニーズが高まってきています。先行き不透明な時代だけに、資産運用においてもこれまで以上に安全性に注目が集まるのも当然でしょう。

そこで今回は、安全資産とリスク資産について解説し、コロナ禍における資産運用の在り方の一端を紐解きます。

安全資産とは、一般的に「預貯金」「国債」「貯蓄型保険」などの元本割れしてしまう可能性が極めて低い資産のことです。安全性が高い代わりに利息などのリターンは低く(ローリスク/ローリターン)、お金を増やすということには向きませんが、「とにかく減らしたくない」という人にとっては資産運用の中心となる資産と言えます。

安全資産は安全なのか?

安全性についてはピカイチの安全資産ですが、それでも「リスクが無い」わけではありません。例えば、預貯金の場合、利用している金融機関が破綻した際は、1,000万円までの預貯金とその利息は預金保険制度で保護されますが、それ以外については保護されません。

また、例え預貯金100万円が額面通りそのまま減っていなかったとしても、インフレで物の価値が上昇した場合、実際に100万円で買えるものは減ることとなり、実質的に100万円の価値は目減りしていることになります。

国債の場合で言えば、デフォルト(債務不履行)に陥ると元本や利息の一部や全部が受け取れない等のリスクがあります。

少ないリターンでも安全性に期待して安全資産を持っているのに、それでもリスクがあるなんて、なんだか釈然としないですね。

資産形成にはリスク資産も必要?

資産運用、資産形成という点においては、一般的に安全資産はリターンが低いためメインの投資対象には向きません。安全資産はあくまで低リスクでお金が減る可能性を低く抑えたい場合に向いています。

「資産を増やしたい」と考えるのであれば、求めるリターンに応じたリスクを負う必要があります。残念ながら「絶対損したくないけど増やしたい」といった都合の良い話はありません。資産を増やすためには、ハイリスク/ハイリターン、ミドルリスク/ミドルリターン等、リスク資産への投資が欠かせないのです。

何も「安全資産か?リスク資産か?」の二択ではありません。マーケットや経済の状況やご自身の目的に応じて、両方をバランスよく活用しましょう。安全に行きたいときは安全資産の比率を上げ、積極的に行きたいときはリスク資産の比率を上げるなど、適宜調整することも出来ます。

安全資産に近いリスク資産ってあるの?

気になるのは「安全資産に近いリスク資産ってあるのか?」だと思いますが、その際によく名前が出てくるのがゴールド(金)です。ゴールドはそのもの自体に貴金属としての価値がある世界共通の資産です。市場規模も大きく、経済状況や信用不安などにも強く、インフレにも強いという特徴があり、価格変動リスクを持つリスク資産にもかかわらず、安全資産的な側面で注目されることが多い資産です。

同様に、暗号資産(仮想通貨)である「ビットコイン」も、昨今では「デジタル・ゴールド」と呼ばれるなどゴールドに似た特性を持ち、安全性に注目されることが増えてきました。コロナ禍での経済や社会情勢への不安が高まる状況下にあってもゴールド以上に続々と高値を更新するなど力強い動きを見せています(2020年11月9日現在)。

ゴールドは希少性の高い貴金属ですが、それでも年間3,000トン前後のペースで産出されているのに対し、ビットコインは予め発行上限が2,100万枚と決められていて、すでにその内の約88%が発行済みであり、残りは2140年に向けて少しずつ計画的に発行されていきますので、希少性という点においてゴールドと同等以上と言うことも出来ます。

コロナ禍で注目される資産形成とは?

そして今、新型コロナウイルスへの対策や影響により、多くの法定通貨は増刷されインフレが懸念される状況にあり、従来の安全資産ではなく、ゴールドやビットコインへの注目度が高まっています。ここまでの背景や流れは【株式投資家に勧めたい「ポートフォリオに〇〇〇を加えるべき3つの理由」】にも記載していますのでご参照ください。

なかでもビットコインは、コロナショックの2020年3月の約50万円を底値に、11/3に行われた米大統領選の結果が判明する前から年初来高値を更新し続け、11/6現在約170万円まで上昇しています。これはひとえに過剰流動性によるマーケット全体への上昇要因と共に、安全資産に近いリスク資産と見られるビットコインに対するニーズの高まりが背景でしょう。コロナウイルスによる国家や社会への不安が、法定通貨や従来資産への不安にも繋がり、新しいデジタル資産の必要性を際立たせているようです。ウイルスの伝搬という側面からも非接触であるデジタル資産の利用は注目されていくでしょう。

また、様々な金融資産の価格が上昇を続けている中での資産形成において、下落に転じた場合の備えも考えておきたいところです。そういう点でもリスクヘッジ的な意味合いで安全資産に近いリスク資産としてビットコインが注目されているというのは興味深いところです。新たな投資対象の1つとして検討してみる価値は充分あると言えるのではないでしょうか?