マンション経営における必要経費のなかで、とくに金額が大きいのが減価償却費です。マンション経営において大事な減価償却費の概要と計算方法、そして減価償却費を上手に活用して利益を圧縮する方法について解説します。

マンション経営には減価償却費というものがある

税金
(画像=vitalii-vodolazskyi/stock.adobe.com)

マンション経営を始めるには物件を購入しなければなりません。マンションは高い買い物であり、中古でも好立地の物件は3,000万円以上するのが少なくありません。もし、それだけの金額を初年度に経費として計上したらどうなるでしょうか。初年度のみ大赤字となり、2年目以降は経費として計上できなくなります。マンションは購入後、数十年にわたり収益を得るために使われていくのですから、経費も毎年対応して計上されなければおかしいはずです。

そこで用意されているのが「減価償却」という制度です。マンション経営でも、この制度を利用することができます。

減価償却費の概要

はじめに、減価償却費の概要を確認しましょう。減価償却費とは、建物や機械などの有形固定資産を耐用年数に合わせ、取得費用を毎年少しずつ必要経費として計上する会計上の勘定科目のことです。耐用年数は国税庁によって、建物の構造ごとに下表のように定められています。

マンションの耐用年数

構造・用途細目耐用年数
木造・合成樹脂造のもの店舗用・住宅用のもの22年
木骨モルタル造のもの店舗用・住宅用のもの20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの住宅用のもの47年
れんが造・石造・ブロック造のもの店舗用・住宅用・飲食店用のもの38年
金属造のもの店舗用・住宅用のもの
骨格材の肉厚が
4㎜を超えるもの
34年
3㎜を超え4㎜以下のもの27年
3㎜以下のもの19年

参考:国税庁ホームページ「耐用年数(建物/建物附属設備)」

近年建てられたマンションはほとんどが、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のものと思われます。したがって、新築で購入した場合の耐用年数は47年になります。その場合、購入費用を47で割った金額を毎年の減価償却費として計上できます。

「定額法」と「定率法」の違い

減価償却の方法には、大きく分けて以下の2つがあります。

定額法

定額法とは、毎年決った額を減価償却処理する計上方法です。計算式は、「取得原価×定額法の償却率」となります。たとえば100万円の資産を4年間定額法で償却する場合、償却率は25%です。1年分の減価償却費は、100万円×0.25=25万円という金額が算出されます。

定率法

定率法とは、残存価格を決まった割合で減価償却処理する方法です。上記の例では4年間の償却率は0.625%となります。1年目の減価償却費は、100万円×0.625=62万5,000円という金額が算出されます。2年目は100万円から62万5,000円を引いた残存価格の37万5,000円に0.625%を掛けた23万4,375円が減価償却費になります。初年度の金額が大きくなるのが特徴です。

なお、建物の償却は定額法を使うことが定められています。

(参照:国税庁ホームページ「減価償却資産の償却率表」

中古マンションの耐用年数の計算方法

では、中古マンションを購入した場合、減価償却費はどのように計算すればよいのでしょうか。中古マンションの場合は築年数によって、以下の2つに計算方法が分かれます。

【中古マンション耐用年数の計算式】
新築時の耐用年数 - 築年数 × 0.8 = 取得時の耐用年数

築20年のマンションを購入した場合の耐用年数は、47年-20年×0.8=31年となります。

【耐用年数を過ぎた場合の計算式】
新築時の耐用年数 × 0.2 = 取得時の耐用年数

築50年のマンションを購入した場合の耐用年数は、47年×0.2=9年(小数点以下切り捨て)となります。

お金は支出しないが経費計上可能な費用

減価償却費は、他の必要経費に比べると特殊な性格を持った経費です。たとえば、マンション経営に関する本を購入すれば代金相当のお金を支払い、その金額を全額経費として計上します。ところが減価償却費は、お金を支出しないのに経費として毎年計上されるため、キャッシュアウトを伴わずに内部留保として積みあがっていくことになります。

仮に物件(建物)購入費と諸費用の合計が4,700万円で耐用年数が47年のマンションの場合、毎年100万円ずつ47年にわたり経費として計上されます。キャッシュアウトを伴わないので、償却期間が終了したときには4,700万円が内部留保として貯まった状態となります。すると、あたかも積立貯金をしていたかのように次の物件購入費用を用意できたことになります。これを会計学上では「自己金融効果」といいます。

自己金融効果の問題点

自己金融効果は、その年の収益状況によっては効果が発揮されない場合があります。内部留保は収益が黒字である場合に発生するものです。赤字の場合は減価償却費を利益から差し引けるわけではないので、自己金融効果は発揮されません。

また、キャッシュアウトを伴わない減価償却費を計上しても、その分を事業資金として使ってしまっては自己金融効果のメリットがなくなります。償却期間終了後に次の物件の購入費とするには、専用の銀行口座にきちんと積み立てておく必要があります。

もう一つ考慮する必要があるのは、自己金融効果があるからといって実際にお金が増えるわけではないことです。上記の例でいえば、償却期間終了時に4,700万円の内部留保が貯まっていますが、その金額はもともと購入時に現金支出されています。会計処理上は購入時に(借)建物4,700万円(貸)現金4,700万円という仕訳がされているので、内部留保4,700万円が貯まったとしても、現金の増減自体はプラスマイナスゼロでお金は増えていないのです。

減価償却費を上手に活用して利益を圧縮する仕組み

次に、減価償却費を上手に活用して利益を圧縮する仕組みについてみてみましょう。

不動産所得を圧縮する

不動産経営では年間の家賃収入から毎月の諸経費や、ローンがある場合は返済利息などを差し引いた額が不動産所得となります。ローン返済のうち、元本分は差し引くことができません。年間家賃収入からすべての経費を引いた結果が黒字であれば、所得税の支払いが必要になります。しかし、減価償却費が黒字額を超えれば不動産所得は赤字となり、所得税は非課税となります。

不動産所得と給与所得を両方圧縮する

副業としてマンションを経営している場合は、減価償却により不動産所得と給与所得の両方を圧縮できる場合があります。

たとえば、その年の不動産所得が300万円で減価償却費が500万円ある場合、マンション経営は200万円の赤字となります。しかし、一方で給与所得が500万円あるというケースでは、「損益通算」の制度を利用し、不動産所得の赤字分200万円を差し引くことができます。結果的に、給与所得は300万円に圧縮され、所得税の節税になります。

美術品を購入して節税する

絵画などの美術品を購入してマンションのエントランスや共用ラウンジなどに展示するのも有効な節税方法です。美術品は、以前は20万円未満(絵画の場合号あたり2万円)のものしか減価償却が認められませんでした。しかし、2015(平成27)年に税制改正が行われ、減価償却の対象が100万円未満に広がりました。美術品の法定耐用年数は国税庁によって以下のように区分されています。

  • 室内装飾品のうち主として金属製のもの(金属製の彫刻など)……15年
  • 室内装飾品のうちその他のもの(絵画・陶磁器・金属製以外の彫刻など)……8年

エントランスやラウンジに飾っているのが絵画の場合、償却期間は8年となります。購入した絵画が80万円であれば、毎年10万円ずつ減価償却費として計上できます。

ここまでマンション経営における減価償却の概要と、利益を圧縮する方法についてみてきました。減価償却費は建物だけでなく、マンション経営に使う絵画や自家用車なども使用条件を満たしていれば計上できます。物件の経営状況に合わせ、利用できるものは取り入れ、少しでも多く節税につなげていきましょう。

(提供:THE Roots

>>【無料小冊子】高所得者のための不動産投資バイブル

>>【年収900万円以上の方にお勧め】損をしない確定申告(不動産を活用した税金対策・資産形成)オンライン個別セミナー

【あなたにオススメ】
新型コロナ関連の給付金。それぞれの税務上の取り扱いはどうなる?
年収600万円を超えたら検討しよう!不動産投資で節税する方法
家賃収入があるときの「ふるさと納税」はアリ?
富裕層が高級車に乗る3つの理由とは?
不動産投資は賃貸管理が命!優秀な賃貸管理会社の4つの特徴