コロナ禍において、不動産市場を取り巻く環境は大きく変化しました。コロナ禍における働き方の変化、三密回避などが影響し、住まい探しのトレンドにも変化を生じさせています。

LIFULL HOME'Sが行った「コロナ禍での問合せ数増加率ランキング」によると、賃貸ユーザーからの問合せ数の増加率を2019年・2020年の4月〜8月で比較したところ、「八街」「姉ヶ崎」「大網」など、千葉県郊外エリアの街がトップ3を占める結果となりました。コロナ禍における賃貸ユーザーの「郊外化志向」が明確に表れた結果と言えるでしょう。

この記事では、コロナ禍における都心5区の賃貸市況・エンドユーザーのニーズなどから、都心5区の賃貸市況・都心居住ニーズについて検証・分析しています。都心賃貸市況の「今」を理解していただくことで、投資判断の一助としていただけましたら幸いです。

都心5区の賃貸市況分析

都心居住ニーズ
(画像=tiquitaca/stock.adobe.com)

まず、東日本不動産流通機構(レインズ)のデータから、都心5区の賃貸マンションの現況を確認します。

2020年7月〜9月期のマンション成約数・成約賃料・平方メートル単価

2020年7月〜9月期のマンション成約数・成約賃料・平方メートル単価は以下の表の通りです。

成約数 (件)前年同期比(%)成約賃料(万円)前年同期比(%)平均面積(㎡)前年同期比(%)㎡単価(円)前年同期比(%)
千代田区19342.96%13.1-17.09%31.26-17.54%4,1870.41%
中央区41713.01%13.6-12.26%34.73-12.16%3,9170.00%
港区625-13.07%18.2-4.71%41.01-5.42%4,4410.66%
新宿区1,3283.59%11.0-2.65%29.99-2.57%3,656-0.57%
渋谷区655-2.53%14.62.82%35.42-0.17%4,1163.08%
5区合計(平均)3,2181.29%14.1-7.12%34.482-7.84%4,0630.73%

出典:東日本不動産流通機構「首都圏賃貸居住用物件の取引動向(2019年・2020年7〜9月度)」

都心5区の賃貸居住用マンションの概況は、成約数は前年同期比で1.29%とほぼ横ばいとなりました。成約の内容を見てみると、昨年に比べて平均面積がマイナス7.84%と縮小していることからコンパクトな物件の成約が増加していると考えられます。平均面積の縮小に伴って成約賃料もマイナス7.12%と下落していますが、1平方メートルあたりの単価でみると前年同期比0.73%とほぼ横ばいとなっています。

ちなみに、緊急事態宣言が発令された4〜6月期は、都心5区の賃貸居住用マンションの成約数が前年同期比マイナス17.49%と大幅減となりましたが、今期は前年同期でほぼ横ばいまで回復しており、コロナショックからは脱却しつつあると言えるでしょう。

住まい探しのトレンドは、都心から郊外へ

一方、首都圏全体で見ると郊外エリアの成約数の増加が顕著となっています。同じく東日本不動産流通機構のデータから考えてみます。

「成約数」

2019年2020年増加率
東京23区16,45016,03197.45%
東京都他2,2222,377106.98%
横浜・川崎3,7213,37490.67%
神奈川県他1,0191,087106.67%

出典:東日本不動産流通機構「首都圏賃貸取引動向(2019年・2020年7〜9月度)」

上表を見ると、東京23区の成約数が前年より減少しているのに対して、都下の成約数は増加しています。神奈川県も同様に、横浜・川崎に比べて県内その他のエリアで成約数を伸ばしています。

これはニューノーマル・ウィズコロナにおける新しい住まい探しのトレンドで、コロナ禍における働き方の変化、感染リスクの低減などを目的に、都心から郊外へと住まいを移す流れが進んでいると言えるでしょう。

アンケートから分かった!住まい探しにおけるテレワーク

では、この新しいトレンドにおいて、都心賃貸の住まい探しニーズは縮小の一途をたどるのでしょうか? 国交省のトレンド調査を元に考えてみます。

Q.仮に住まいを変えるとしたら、自宅周辺の居住環境に関して何を重視しますか(択一)

「職場に近接する地域」

コロナ前割合コロナ後割合
当てはまる
(とても当てはまる+やや当てはまる)
4,55435.38%4,06031.54%
当てはまらない
(あまり当てはまらない+全く当てはまらない)
3,05223.71%3,28725.54%
どちらでもない5,26640.91%5,52542.92%

(出典:国土交通省「新型コロナによる生活や意識への影響とその変化-新型コロナ生活行動調査」)

国交省の調査によれば、住み替えにおいて職場に近接することを重視する傾向がコロナ前と比較してコロナ後は減少する一方、「どちらでもない」と回答する人の増加幅が最も大きくなっています。

Q.様々な活動をリモートで行うことにより、以下のような現象が生じると考えられます。以下の現象をあなたはデメリットだと思いますか(択一)

思う思わないどちらとも言えない自分の生活にはあてはまらない
自宅では作業スペースがないため効率が低下する 27.66%17.46%29.49%25.39%
自宅は集中しづらい環境のため作業効率が低下する 29.89%16.28%28.68%25.15%
仕事とプライベートの境界が曖昧で、メリハリが付けづらい 42.07%10.12%23.85%23.96%

(出典:国土交通省「新型コロナによる生活や意識への影響とその変化-新型コロナ生活行動調査」)

同調査でリモートワークについて聞いたところ、自宅での仕事について「スペースがない」「集中しづらい」「メリハリが付けづらい」などの理由から、効率が下がると指摘する声が多く挙げられました。

Q.仮に住まいを変えるとしたら、自宅周辺の居住環境に関して何を重視しますか(択一)

コロナ前割合コロナ後割合
当てはまる
(とても当てはまる+やや当てはまる)
1,82314.16%2,03115.78%
当てはまらない
(あまり当てはまらない+全く当てはまらない)
4,74336.85%4,51235.05%
どちらでもない6,30648.99%6,32949.17%

(出典:国土交通省「新型コロナによる生活や意識への影響とその変化-新型コロナ生活行動調査」)

次いでサテライトオフィスやコワーキングスペース、通勤環境の充実などについて聞いたところ、大きな変化は見られませんでしたが、「当てはまる(とても当てはまる+やや当てはまる)」が微増という結果になりました。

リモートワークを好感しつつも、自宅での仕事にはまだまだ戸惑いがあり、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどの活用も十分に進んでいない過渡期であることが垣間見える結果と言えるでしょう。

また、実際に地方へ移住し、テレワークを行った経験者からはさまざまなネガティブな意見が漏れ聞こえてきています。

  • 仕事へのモチベーションが維持できない
  • ずっと家にいることで家庭内の空気が悪くなった
  • 移住先の人間関係に馴染めない

地方への移住には上記のようなデメリットがあります。そもそも、週に何日か出社しなければならないなど一部のテレワークではなく、全面的にテレワークとならない限り、地方への移住まではできません。職種によっては全面的なテレワークが難しいものも少なくありません。

仮に、通勤圏内である千葉県や神奈川県に移住すると、出社日はこれまで以上に通勤時間がかかってしまう、通勤コストがかかる、といったデメリットも出てきてしまいます。テレワークへの評価は分かれているのが現状と言えるでしょう。

都心は都心、郊外は郊外といった棲み分け

コロナ禍において先行きがなかなか見通せず、投資行動の判断に迷ってしまう不動産オーナーも多いことと思います。

各種データの結果からは、都心から郊外への流れが鮮明になっているものの、このまま順調にリモートワークが浸透し、すべての労働者が職場との位置関係を気にすることなく住まいを選ぶことができるようにはならないと考えられます。

住まい探しにおいては、都心は都心、郊外は郊外といった棲み分け(≒二極化)が進むものと考えられ、都心居住においては「都心への憧れ」「都心の利便性」「職住近接(自転車通勤)」などは今後もニーズとして残り続けていくでしょう。

そういった多様化・細分化した居住者ニーズを所有物件への入居に結びつけるためには、それらニーズを発見し、1to1のコミュニケーションで課題解決できる不動産のプロの「提案力」が重要となります。

不動産オーナーにおいては、資産の見直しや新たな投資のご一考と共に、パートナーの不動産会社の「不動産力」も併せてご検討されてみてはいかがでしょうか?

(提供:THE Roots

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