多くの医療機関の待合室に、飾られているのが絵画です。絵画は人の心を和ませ、患者にとっては癒し効果もあるからでしょう。そして、もう1つ大きな理由に法改正によって100万円以下の絵画が減価償却できるようになったことがあります。減価償却資産になり、場合によってはキャピタルゲインも得られる絵画投資のメリットを紹介します。

法改正で100万円までの絵画が減価償却できる

資産運用
(画像=seventyfour/stock.adobe.com)

絵画はかつて20万円以下の作品しか減価償却資産にすることはできませんでした。しかし、平成26年12月19日付で法令改正が出され、平成27年1月1日以降に取得する100万円未満の美術品等は原則として減価償却資産に該当することとされました。

これはとても意味のある改正です。改正前は以下の2つの基準で判定され、減価償却のハードルは高いものがありました。

  • 美術関係の年鑑に登載されている作者による制作であるかどうか。
  • 取得価額が20万円(絵画の場合は号あたり2万円)以上であるかどうか。

この基準ではいくら有能な作家の作品でも、美術年鑑に登載された作家でなければ減価償却の対象になりませんでした。また、20万円以下という基準で作品を探した場合、市場価値のある本格的な美術品を購入することは難しいデメリットもありました。

法改正によって号数や美術年鑑掲載の有無に関係なく100万円までの絵画を購入できることになったのは、作品の選択肢を大幅に広げることになります。100万円近い絵画であれば市場での換金性も高く、減価償却期間終了後の売却によるキャピタルゲインも期待できるでしょう。

さらに、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」であれば、100万円以上の美術品でも減価償却資産の対象になる場合があります。国税庁ホームページによると、該当するケースを以下のように規定しています。

  • 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として取得されるものであること。
  • 移設することが困難で当該用途のみ使用されることが明らかなもの。
  • 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

以上のケースにすべて該当する場合は100万円以上であっても減価償却できる場合があります。壁画のように移設できない美術品が想定されますので、通常の絵画は対象外と考えられます。

大変有利な美術品の減価償却制度ですが、例外として「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は100万円未満の美術品であっても、減価償却資産にはなりません。この規定に該当するのは、古美術品、古文書、出土品、遺物などです。したがって、絵画が該当することはないと考えてよいでしょう。

絵画を減価償却する方法

次に、絵画を減価償却する方法を確認します。絵画の耐用年数は8年です。償却方法は、平成27年1月1日以降に購入した場合、定額法または200%定率法から選ぶことができます。定額法は、100万円の絵画を購入した場合、100万円÷8年=12万5,000円を毎年計上します。

一方の200%定率法とは、通常の定率法の2倍の償却率で償却していく方法です。通常の定率法は耐用年数8年の場合、1/8で12.5%の償却率になります。200%定率法では2倍の25%を毎年の未償却残高に応じて償却します。100万円の絵画を定額法と200%定率法で償却した場合の比較は下表のとおりです。

定額法
償却率0.125
200%定率法
償却率0.25 改定償却率0.334
経過年数償却額未償却残高償却額償却率未償却残高
1年目125,000円875,000円250,000円0.25750,000円
2年目125,000円750,000円187,500円0.25562,500円
3年目125,000円625,000円140,625円0.25421,875円
4年目125,000円500,000円105,468円0.25316,407円
5年目125,000円375,000円79,101円0.25237,306円
6年目125,000円250,000円79,260円※10.334158,046円
7年目125,000円125,000円79,260円0.33478,786円
8年目124,999円1円78,785円※20.3341円

※1 5年目の未償却残高に0.334を掛けて算出(7年目も同様に計算)。
※2 7年目の残高から1円(残存簿価)を引いて算出。

定率法は3年目までは定額法よりも多くの金額を償却できるメリットがあります。ただ、200%定率法は途中の年度から改定償却率に変わるなど、計算がわかりにくいため、国税庁のホームページで確認するとよいでしょう。もっとも、法人であればたいてい顧問税理士に依頼すると思われますので、あまり心配する必要はないかもしれません。

参考:国税庁ホームページ「減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)

耐用年数を過ぎればキャピタルゲインも

購入した絵画は、耐用年数経過後は売却してキャピタルゲインを得ることも可能です。上の償却表にあるように、耐用年数を経過すると残存簿価は1円となりますので、帳簿上の価値はほぼなくなります。100万円で購入した絵画を仮に50万円で売却した場合、買値との比較ではキャピタルロス(売却損)となりますが、購入費用の100万円はすでに減価償却されていますので、実質的な損失は発生しません。

上表の例では、100万円の絵画を定額法で減価償却すると、毎年12万5,000円ずつ経費として利益から差し引くことができます。その場合、現金の支出は伴わないため、12万5,000円は毎年内部留保されることになります。つまり、8年後には約100万円が手元に残る(別途積み立てた場合)ので、その資金で100万円までの新しい絵画を購入することが可能です。売却を耐用年数経過まで待ったほうがよい理由は、たとえば、未償却残高が75万円ある段階において50万円で売却すると本当のキャピタルロスになってしまうからです。耐用年数経過まで待てば、たとえ20万円でも売れればその分が実質的なキャピタルゲインになります。

絵画投資の注意点

絵画投資には注意点もあります。最も難しいのは価格形成が不透明である点です。株式や不動産のように投資指標があるわけではないので、いくらが適正かを判断することが難しい投資といえます。ある程度の目利きがないと将来値上がりする作品や作家を発掘するのは容易ではないでしょう。

もう1つ、株式のような市場がないため、流動性が低いデメリットがあります。現金化したいときにすぐ買い手が見つかるという保証はありません。

また、贋作への注意も必要です。テレビ『開運!なんでも鑑定団』でも自信満々で持参した商品が贋作で、数千円の鑑定価格しか付かなかったというケースはよくあります。購入する場合は百貨店の企画展や、信用の高い画廊など贋作の可能性が低い場所を利用することで、リスクを軽減できます。

さながら画廊のような医療機関もある

ここで、医療機関は絵画をどのような形で展示しているのかをみてみましょう。全国には、画廊のように多くの絵画を展示している医療機関があります。

神奈川県平塚市にある平園クリニックは、「絵のある待合室」と題し、2つの待合室に常時30点の絵画・彫刻・書を展示しています。同クリニックの公式サイトによると、「力ある忘却・埋没作家の発掘顕彰を目的としたコレクション」というコンセプトを掲げています。

病院では、埼玉県北本市にある北里大学メディカルセンターが「絵のある病院」として知られています。絵画に造詣が深い、ノーベル賞を受賞した大村智特別栄誉教授の提案により、廊下や病室に約300点の絵画が展示され、画廊を超えて美術館のような趣になっていると評判です。

「四国こどもとおとなの医療センター」(香川県善通寺市)では、病室やギャラリーに「祈る」「寄り添う」「待つ」をテーマに多くの絵画を展示しています。こちらの病院では、全国各地の画家だけでなく、美術大学学生の作品も展示するなど、本格的なホスピタルアートを展開しています。しかも、病室に飾る絵は患者の好みを反映するという方式をとっているのがユニークです。

このように、医療に取り入れる芸術のことを「ホスピタルアート」や「ヒーリングアート」と呼びます。いずれも、患者に癒し効果を与え、沈んだ心を元気にすることを目的に展示します。絵画投資は、患者への癒し効果と経営上の節税効果を両立できる投資として今後も注目を集めそうです。

(提供:THE Roots

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