国民年金の未納者数は、2019年度末で125万人に上っている。2015年度末の206万人から約4割減ったものの、いまだに100万人を超えている状況だ。国民年金保険料を未納し続けるとどうなってしまうのか、また国民年金の未納者に待ち受ける未来とは?

菅野陽平
監修者・菅野陽平
日本最大級の金融webメディア「ZUU online」編集長。株式会社ZUUM-A取締役。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)

目次

  1. 国民年金の未納者数は2019年度末で125万人
  2. 国民年金保険料の未納によって起こり得る4つのケース
    1. 未納1年あたり「老齢基礎年金」が年額約2万円少なくなる
    2. 障害を負ってしまったとき「障害基礎年金」を受け取れない場合がある
    3. 亡くなったとき、遺族が「遺族基礎年金」を受け取れない場合がある
    4. 納付義務のある人の財産が差し押さえられる場合がある
  3. 納付を忘れても、2年以内であればさかのぼって納付が可能
  4. 年金はいざというときや老後のための備え

国民年金の未納者数は2019年度末で125万人

国民年金保険料
(画像=pomupomu/stock.adobe.com)

厚生労働省が2020年6月に公表した「令和元年度(2019年度)の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、国民年金の未納者数は2019年度末で125万人となっている。

2015年度末は206万人、2016年度末は179万人、2017年度末は157万人、2018年度末は138万人と減ってはいるものの、100万人以上という状況からはいまだに抜け出せていない。

ここでいう「未納者」とは、24ヵ月にわたって保険料が未納となっている人のことを指し、未納期間が24ヵ月未満の人も含めれば国民年金の未納者数はさらに多くなる。ちなみに全額免除・猶予者の承認を受けている人はこの数に含まれていない。

国民年金は受給の資格期間10年を満たしていないと、そもそも老後に年金を受け取ることができない。現在もこれだけ多くの人が国民年金を納付していない状況があるが、それ以外にもデメリットやリスクはあるのだろうか。

国民年金保険料の未納によって起こり得る4つのケース

日本年金機構によれば、国民年金保険料の未納によって起こり得るケースは主に4つあり、未納者に送付される納付勧奨通知書(催告状)にもその内容を明記している。それぞれについて解説していこう。

未納1年あたり「老齢基礎年金」が年額約2万円少なくなる

老齢基礎年金は国民年金に10年以上加入していれば受け取れる年金だが、国民年金の未納が続くと、未納1年につき年金額が年額約2万円少なくなってしまう。この減額は一生涯続く。

減る金額は「未納1年につき」約2万円のため、2年間未納の場合は受け取れる年金額が年額約4万円、3年間未納の場合は年額約6万円少なくなる。

障害を負ってしまったとき「障害基礎年金」を受け取れない場合がある

障害年金は、国民年金に加入している期間中などに障害者となった場合に支給されるものだ。ただし、加入期間の3分の1以上にわたって保険料を滞納していたり、直近の1年間で保険料を滞納していたりすると、年金を受け取ることができない。

障害を負うと仕事をするのが困難になるケースもあり、障害基礎年金を受け取れるか受け取れないかでは、生活の苦しさが随分と変わってくる。

亡くなったとき、遺族が「遺族基礎年金」を受け取れない場合がある

遺族基礎年金は、国民年金に加入中の人が亡くなった場合に遺族が受け取ることができる年金だ。

ただし障害基礎年金のケースと同様、加入期間の3分の1以上にわたって保険料を滞納していたり、直近の1年間で保険料を滞納していたりすると、年金を受け取ることができなくなってしまうため注意が必要だ。

納付義務のある人の財産が差し押さえられる場合がある

日本年金機構によると、国民年金の滞納を続けていると、納付義務がある人の財産が差し押さえられる可能性がある。ここでいう「納付義務がある人」とは、本人や本人の配偶者、本人が属する世帯の世帯主のことだ。

日本年金機構は2014年度から財産の差し押さえなどの取り組みを強化しており、例えば2017年4月から2018年3月にかけては、1万4,344件の財産差し押さえを行った。所得金額によって未納期間が7ヵ月以上あると督促の対象となり得るため注意が必要だ。

納付を忘れても、2年以内であればさかのぼって納付が可能

このように、国民年金の未納は本人を思わぬ事態に陥らせる可能性がある。こうした事態になることを防ぐためには、納付に遅れが生じないようにすることが一番だ。しかしながら、仮に納付忘れが発生してしまった場合はどうすればよいのだろうか。

結論からいえば、国民年金は納付期限から2年以内であれば納めることができる。そのため、納付忘れが発生した場合は近くの年金事務所に速やかに連絡し、納付書を発行してもらおう。

ただし、納付忘れから2年を超えてしまうと、免除や納付猶予の承認を受けていない限り、追納することはできない。そのため、経済的な理由で国民年金の支払いが難しい場合は、免除や納付猶予を申請しておくことが望ましい。

一方、免除や納付猶予の承認を受けた場合でも追納は10年までしかさかのぼることができないため、注意が必要だ。

年金はいざというときや老後のための備え

年金はいざというときや老後の備えとなる。そのため、経済的な理由などがなければ、しっかりと納付をしておくのが賢明だ。

この記事で説明したように、納付を忘れている場合でも2年以内であればさかのぼって納付が可能なため、経済的に納付が可能な人は早めに年金事務所に連絡することをおすすめする。