早期リタイアを望んでいる人は多い。ある調査によれば、その比率は18〜29歳においては7割近くに上る。そこで気になるのが、退職金をもらえるタイミングと受け取れる金額だ。今回は早期リタイア後に定期収入を得る方法とともに、退職金について考えていこう。

菅野陽平
監修者・菅野陽平
日本最大級の金融webメディア「ZUU online」編集長。株式会社ZUUM-A取締役。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)

目次

  1. 早期リタイアを希望する若者たちが増えている
  2. 退職金をもらえるようになるタイミング
    1. 自己都合の場合は「3年以上」が企業の半数以上
  3. 退職金として受け取ることができる金額の目安
    1. 退職金が1,000万円に達するのは勤続25〜30年程度
  4. 早期リタイアに必要な金額を計算し、不労所得を得る方法を考える
  5. 早期リタイアのために株式投資や不動産投資を視野に入れよう

早期リタイアを希望する若者たちが増えている

不労所得
(画像=vegefox.com/stock.adobe.com)

冒頭で紹介した調査は、ポータルサイト運営のMSNがアメリカ人を対象に実施したものだ。アメリカでは「FIRE(ファイヤー)」という動きも最近盛んになっている。FIREは「Financial Independence, Retire Early」(経済的に自立して早く引退しよう)を略した言葉だ。

このように早期リタイアを希望する人は、日本国内でも増えつつあるといわれている。ただ、早期リタイアをするためには当然、早期リタイア後の生活費について考えなければならない。無計画なままでは、早期リタイア後に厳しい現実が待ち受けている。

企業勤めの人が早期リタイア後の生活資金について考える際には、「退職金」と「定期収入」に分けて考えるのが賢明だ。ある程度まとまった金額として退職金を受け取った上で、退職後も定期収入を得ることができれば、お金の面での苦労を回避できる。

まずは、退職金をもらえるようになるタイミングと受け取れる金額について調べていこう。

退職金をもらえるようになるタイミング

国の中央労働委員会が公表した「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」を参考にする。

退職金については企業によって最低勤続期間(所要年数)が設けられており、この調査によると、会社都合の場合は「1年未満」、自己都合では「3年以上」と規定されている企業が最も多い。

<会社都合>
1年未満:83社(52.9%)
1年以上2年未満:50社(31.8%)
2年以上3年未満:9社(5.7%)
3年以上:15社(9.6%) ※括弧内は全体における比率

<自己都合>
1年未満:10社(6.4%)
1年以上2年未満:38社(24.2%)
2年以上3年未満:27社(17.2%)
3年以上:79社(50.3%)
※括弧内は全体における比率

自己都合の場合は「3年以上」が企業の半数以上

早期リタイアは基本的には自己都合での退職となることが多い。そう考えると、およそ半数以上の会社では、3年以上勤めていないと退職金の受給資格が付与されないことになる。ただ2017年の前回調査と比べると、受給に必要な年数はやや短くなっている傾向にある。

退職金として受け取ることができる金額の目安

つづいて、退職金として受け取ることができる金額の目安について解説する。こちらについても、引き続き中央労働委員会の調査結果を参考にする。

例えば、大学卒の事務・技術労働者で総合職相当の人が自己都合で退職する場合、勤続3年では退職金の総額は32万8,000円となっており、勤続年数が長くなるにつれて退職金の総額も大きくなっていく。

<「大学卒、事務・技術労働者、総合職相当、自己都合」の場合の退職金>
勤続3年(25歳):32万8,000円
勤続5年(27歳):63万4,000円
勤続10年(32歳):186万1,000円
勤続15年(37歳):407万6,000円
勤続20年(42歳):801万8,000円
勤続25年(47歳):1,287万円
勤続30年(52歳):1,898万3,000円
※括弧内は22歳で就職したと仮定したときの退職時の年齢

退職金が1,000万円に達するのは勤続25〜30年程度

もちろん企業によって異なるが、退職金が1,000万円を超えるのは勤続25〜30年程度と考えておくとよいだろう。勤続10年程度では退職金が200万円に満たない企業が多い。

早期リタイアに必要な金額を計算し、不労所得を得る方法を考える

このように退職金として受け取れる金額の目安が分かったら、早期リタイアしたい年齢を設定した上で、リタイア後に必要なお金を計算する。すると、当然だが退職金だけでは十分ではないことが分かるだろう。そのため、退職後も何らかの方法で収入を得る必要がある。

せっかく早期リタイアをするのだから、できれば「不労所得」を得たいところだろう。不労所得として考えられるのが、株式投資や不動産投資による収益だ。売却益のほか、株式投資であれば「配当金」、不動産投資であれば「家賃収入」が定期収入的な位置付けとなる。

早期リタイアのために株式投資や不動産投資を視野に入れよう

株式投資も不動産投資も、元本保証型の資産運用の方法ではない。つまりリスクも十分にある。ただ平均的な利回りは銀行に預けておくより高いとされているため、早期リタイアを考えるなら株式投資や不動産投資はぜひ視野に入れておきたい。

ちなみに投資においては「複利効果」という考え方がある。収益を再投資することで利益がどんどん膨らんでいくというもので、複利効果の観点からは早めに投資を始めた方がよい。

早期リタイアを考えるのであれば、20代や30代から投資を始めても決して早すぎることはないだろう。