所得と健康には密接なつながりがあり、お金持ちの人のほうが「健康投資」を重視する傾向があります。なぜなら健康維持のための投資は、長い目で見れば、生涯資産の最大化につながる合理的なお金の使い方だからです。

今回は、お金持ちが健康を重視する理由と、所得と健康の関係、病気になった場合の自己負担額のシミュレーションを通じて、健康投資の重要性について解説します。資産運用のリスクマネジメントと同様、私たちの“健康資産”に対するリスクマネジメントを考えてみましょう。

お金持ちはなぜ健康を大事にするのか?

健康投資の価値
(画像=PIXTA)

ビジネスにおいても投資においても、最大限のパフォーマンスを発揮するには、健康が不可欠です。そのため、一般的に所得が高い世帯のほうが所得の低い世帯より、健康を重視し、健康にお金をかける傾向があります。

「病気になっていないのに、予防にお金をかけるのはちょっと……」と考える人もいます。しかし、目先の利益を優先して健康投資を怠った場合、結果的に病気を発症して治療に高額な医療費がかかってしまうことも少なくありません。

自分が将来病気になるリスクを考慮し、「病気になってから治療にお金をかける」のではなく「病気になる前の予防にお金をかける」のがお金持ちの発想です。

所得と健康の密接な関係とは?

近年、世帯ごとの経済状況の違いが健康格差を生んでいるという指摘があり、社会的に問題視されています。

健康格差が生まれる理由として、厚生労働省生活保護受給者の健康管理に関する研究会の「社会経済的要因と健康・食生活(2014年)」では、世帯収入と生活習慣の関連について報告しています。

報告内容によると、世帯収入が低い世帯では、世帯収入が高い世帯と比較して「習慣的な朝食欠食割合」や「運動習慣のない人の割合」が高いことがわかりました。

また、大和総研の「人々の所得や雇用から見る健康格差(2017年)」によると、世帯収入200万円未満の世帯では、世帯収入600万円以上の世帯と比べて、男女とも肥満度と健康診断の未受診率が高いという結果も報告されています。

このように、所得と健康には密接な関係があり、生活習慣の違いや健康診断の受診率といった要因によって、健康格差が生じているのです。

シミュレーションでよくわかる、健康リスクの資産価値

次に、実際に病気を発症して入院した場合、医療費としてどのくらいの費用を自己負担することになるかシミュレーションしてみましょう。

下記に、2019年度の1年間に集計された「疾患別入院医療費の平均値」とそれぞれのケースにおける自己負担額の概算をまとめました。

▽疾患別入院医療費の平均値と自己負担額の概算比較

 病名  1入院あたりの平均医療費  自己負担額の概算
 胃がん  953,595円  286,079円
 気管支および肺のがん  855,040円  256,512円
 急性心筋梗塞  1,775,492円  532,648円
 脳梗塞  1,597,077円  479,123円
 脳出血  2,252,783円  675,835円
 糖尿病  653,191円  195,957円
 胃潰瘍  680,205円  204,062円

(引用:公益社団法人全日本病院協会の「医療費(重症度別)【年間】(2020年)」より) ※自己負担額は、1入院あたりの平均医療費の3割として計算しています。実際の自己負担額とは異なる場合がありますので、参考としてご覧ください。

上記データの通り、万一がんや心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった病気を発症した場合、1入院あたりの自己負担額は20~60万円以上にものぼります。

また、上記の自己負担額はあくまで目安であり、病気の重症度や状況によってはさらに多額の費用がかかることも十分に考えられるでしょう。さらに、持病として長く病気と付き合っていくことになったら、継続的に医療費の負担が発生します。

多くの場合、病気の発症は予想外のトラブルです。そのため、突然の医療費請求は家計に大きな負担としてのしかかります。また、一時的に仕事ができない状態に陥ることで、キャリアに深刻な影響が出ることも少なくありません。

このように、健康が損なわれた場合のことを想定すると、人生で失うものの大きさははかり知れません。病気によって、ライフプランそのものの見直しを迫られるケースもあるのです。

資産をどこに投資するかと考えた時、金融商品にばかり投資するのは、バランスのいい投資先選定とはいえません。資産形成は、豊かで不安のない将来の人生のためのもの。健康の価値を正しく認識し、病気になる前に健康投資をしておくことが大切なのです。

健康投資の価値を知り、正しく将来に備える

たとえ自分の体であっても、普段生活する中ではなかなか病気の兆候に気づきにくいものです。ある日突然予期せぬ病気が見つかると、医療費のために思わぬ金銭的負担が発生し、時には思い描いていたライフプランの変更を余儀なくされることもあります。

この自分では気づきにくい病気の兆候を知るために、健康診断の重要性が指摘されています。定期的な診断や検査は、健康の異変を早期に発見でき、病気を未然に防げる可能性が高まります。そのため、会社で実施される健康診断にとどまらず、さらに詳細な健診を、自ら進んで受ける人も増えています。

健康投資は、予測できる範囲内の金銭的負担で病気のリスクを大きく減らせる、費用対効果の高い投資です。健康資産に対するリスクマネジメント策であり、将来を見据え、資産運用に努めるお金持ちにとって、合理的な投資といえるでしょう。あなたも健康で失うものの大きさに気づき、早いうちから健康に対して適切な投資を始めましょう。