不動産投資戦略を立案するにあたってマーケティングのフレームワーク「3C分析」が有効なことは、過去の記事で紹介した通りです。今回紹介するSWOT分析も3C分析と同様のマーケティングにおけるフレームワークとして幅広く利用されています。そのため3C分析とあわせて活用することで意思決定における指針とすることが可能です。

この記事では、SWOT分析の概要やSWOT分析の手順などを解説しつつ「SWOT分析を不動産投資戦略の立案にどのように活用するか」について紹介します。

SWOT分析とは何か?

「SWOT分析」を活用した投資戦略立案のポイント
(画像=Andrey Popov/stock.adobe.com)

マーケティングにおいて「3C分析は現状把握」「SWOT分析は戦略決定を行う」といったように使い分けされることが一般的です。SWOT分析によって自社の状況と自社を取り巻く環境要因を客観的に認識し市場機会や事業課題を発見していきます。以下の表は、SWOTそれぞれの項目を表にまとめたものです。

プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み

Strength

弱み

Weakness

外部環境 機会

Opportuiity

脅威

Threat

SWOTとは、以下の4つの頭文字をとったものです。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

では、それぞれの項目について見ていきましょう。

Strength(強み)

強みは、目標を達成するにあたってプラスとなる要素を指します。不動産投資戦略においては、所有する物件の強み・長所などが該当します。

Weakness(弱み)

弱みは、目標達成の障害となる要素を指します。不動産投資戦略においては、所有する物件の短所が該当します。

Opportunity(機会)

機会は、自分や所有物件にとってビジネスチャンスや競争優位になる可能性がある要素を指します。

Threat(脅威)

脅威は、自分もしくは所有物件にとって強みを打ち消すような環境要因や競争劣位・激化になる可能性がある要素を指します。

SWOT分析では、各項目を整理・分類したうえでそれぞれを掛け合わせた以下の組み合わせで考察していきます。

  • 強み×機会:強みを活かし機会を攻略する戦略の立案
  • 強み×脅威:強みを活かし脅威に対抗する戦略の立案
  • 弱み×機会:弱みを克服し機会を攻略する戦略の立案
  • 弱み×脅威:弱みを克服し脅威に対抗する戦略の立案

SWOT分析の進め方

SWOT分析の進め方は「強み」「弱み」「機会」「脅威」をマトリックスで組み合わせ解釈をすることで多面的な分析を行います。マトリックスを掛け合わせることで同じ事象を違ったアプローチで解釈することになり結果的に弱みを強みにすることや脅威を機会に変えられる場合があるのです。マーケティング戦略の立案でさまざまなアプローチで可能性を見出し整理・統合して最終的な戦略目標の立案を行っていきましょう。

1.強みから考える不動産投資戦略

実際に不動産投資戦略にあてはめた場合のSWOT分析を行っていきます。まずは、物件の強み(Strength)について考えてみましょう。想定されるのは、以下のようなものです。

<強み>

  • 周辺相場よりも低い家賃設定
  • 初期費用が周辺物件よりも安い
  • 築年数が浅い
  • 設備、仕様が良い
  • 周辺環境が良い(駅近/商業施設が多いなど)

次に強みと機会・脅威を掛け合わせるために機会と脅威の洗い出しを行います。想定されるのは、以下のようなものです。

<機会>

  • 市外からの人口流入が継続している
  • 住まい探しにおけるスマホ利用者の増加
  • 子育て世帯が多い(幼保の充実、公園が多い)
  • 単身者向けの物件が少ないエリア

<脅威>

  • 設備やインテリアのトレンドの変化
  • 自然災害の激甚化
  • 周辺の空室率の上昇により家賃が下落傾向にある

ここまで整理・分類が完了したら次に強みと機会・脅威の掛け合わせを行ってみましょう。

・強み×機会

このケースの場合は、市外からの人口流入が継続しているエリアのため「どういった属性の人が流入しているか」を確認することが大切です。仮に学生が増えている場合は、ここ数年で近隣や沿線に学校の移転があったことが想定されます。そのため中長期的な不動産投資対象としては優良といえるでしょう。

学生の場合、親御さんの意向も無視できないため、特に女子学生の入居が想定される場合は安心・安全な住まいがポイントです。オートロックやモニター付きインターフォンの完備、また所在階が2階以上といった点などに留意して物件選定を進めると良いでしょう。

・強み×脅威

近年、インターネット利用料無料や宅配ボックスなどのニーズが高まっています。学生をターゲットにするのであれば今やインターネット利用料無料は必須です。またインターネット通販の利用拡大や昨今はコロナ禍の影響もあって宅配ボックスの需要も高まっています。当該物件は、賃料や初期費用が相場よりも安いことが強みです。

そのためその分でインターネット利用料無料や宅配ボックスを導入していないことで競争劣位になるとは言い切れません。しかしこれらの設備を導入している物件が増加しているため、近隣物件の設備・仕様動向を注意し続ける必要があるでしょう。

2.弱みから考える不動産投資戦略

続いて弱み(Weakness)について考えていきます。想定されるものは、以下の通りです。

  • 周辺物件よりも専有面積が狭い
  • 駅近で商業施設が多いのでにぎやか
  • 駅近で物件が密集していて日当たりが悪い
  • 駐車場がない

では、次に弱みと機会・脅威の掛け合わせを行ってみましょう。

・弱み×機会

駅近物件で電車やバスなどの騒音、住宅地に比べて比較的にぎやかな生活環境となるため、閑静な立地を希望するエンドユーザーの検討対象からは外れる可能性が高いでしょう。しかし駅から近く遅い時間でも人通りがあるため、一人暮らしの女性にとっては夜道の危険性が低減されます。さらに単身の社会人であれば日中は家を空けることが多い傾向です。

そのため日当たりが良くなかったり周辺が日中に騒がしかったりする弊害も最低限で済むでしょう。

・弱み×脅威

エリアによっては、駐車場がないことで当該物件が検討対象から外れることもあるかもしれません。しかし昨今では、マイカーの保有率が下落傾向です。そのため駐車場がないことが致命的な弱点にはならない可能性もあるでしょう。物件によっては、近隣の駐車場との提携や賃料を駐車場代込みにするなどの工夫が大切です。

マイカーを所有しているユーザーの取り込みなどを検討してみても良いかもしれません。

まとめ

ここまで「SWOT分析を不動産投資戦略の立案にどのように活用するか」について解説しました。ポイントは、投資対象の物件所在地の特性や地域性を理解して「どんな属性の入居者に向いている物件なのか」を客観的に分析・把握することです。投資物件が入居者ニーズに応えられるものであればおのずとその物件は選ばれていきます。

そのためには、不動産投資会社をうまく活用して不動産市況・競合物件・エンドユーザーのトレンドなどの投資意思決定に必要な情報を効率よく収集することがポイントです。

(提供:THE Roots

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