開業医の人たちは、医療法人によりクリニックを運営しているケースも多いのではないでしょうか。そこで医療法人の理事長が法人の有効活用として不動産投資を行うことケースもあるかもしれません。しかし医療法人が不動産投資を行うことは原則禁じられています。医療法人とは、医療行為を行うための法人です。

医療という非常に公益性が強い行為を行うため、原則営利を否定する「医療法」に基づいて作られた特別な法人と位置づけられます。その性質上、医療行為以外で利益を追求することは認められていません。開業医の場合「自宅兼クリニックの建物に賃貸用の部屋を作りそれを貸して賃料をとる」といった営利活動はできません。

自宅兼クリニックで賃貸経営を行う方法

医療法人と不動産投資は別法人で
(画像=崇正 魚谷/stock.adobe.com)

このように医療法人で不動産経営を行うことは禁止されていますが資産管理法人など別法人を作って賃貸経営を行うことは可能です。クリニックを所有している場所が賃貸経営に適した場所というケースも多く見受けられます。その場合、医療法人と別法人として資産管理会社を作る方法が有効です。では、賃貸経営を法人化するメリットを見ていきましょう。

1.税率の優遇

法人税と所得税の税率の違いです。個人で収入を計算する場合、累進課税制度となっていますので、収入が大きくなれば課税される金額も大きくなります。その税率は5%~45%と大きくなっています。医療法人の理事長の平均年収といわれている3,000万円の税率は、40%の所得税率です。これに不動産所得が加われば所得はさらに大きくなり合計所得が4,000万円を超えた場合は45%になります。

このように所得税は個人の所得が増えれば増えるほど多額の税金がかかる仕組みです。法人を設立した場合はどうなるでしょうか。法人税や地方法人税、法人住民税、法人事業税を合わせた実質的な負担率「実効税率」は、東京都かつ800万円超の場合は約33.5%となっています。

2.相続税がかからない

アパートやマンション、さらにはクリニックが入居している収益物件などを法人化することで、相続税の概念から外れます。個人の場合、Aさんがビルを所有して死亡した場合、配偶者や子どもは不動産の評価額や金融資産の合計が基礎控除額を超えている場合、相続税を支払う必要があります。また妻が亡くなったときには、子どもは2次相続としてさらに相続税を払う可能性があるでしょう。

これはビルの所有者が「Aさん→配偶者→子ども→孫」と変わっていくからです。しかも相続税は、代替わりするたびに原則課税されます。しかし法人所有にした場合は、孫やひ孫の代までずっと法人所有は変わらないため、相続税はかかりません。

3.所得の分散効果

家賃収入などの収益は、法人化によって、関係している家族に所得分散ができるというメリットがあります。本人や親族などを役員や従業員とすることで役員報酬や給与として支払うことができるため、不動産投資における利益を合法的に家族・親族に分けることができます。支払った役員報酬や給与は、法人における「経費」として計上できるため、収入を家族・親族に分散しながら、所得税と比較して低い税率を使うことで、大きな節税効果が期待できます。

個人所有の場合、前述の通り所得税率は収入の増加に比例する累進課税制度のため、個人オーナーだけが多額の給与を受け取るよりも親族に分散して所得税率を低くしたほうが節税効果は高くなります。

4.経費の計上

法人化することで、個人で不動産投資を行う場合と比較して損金計上費用が増えるため、多くの費用を経費に計上して節税することができます。例えば個人経営の場合は生命保険や個人年金、介護保険など全体で所得税12万円、住民税7万円が控除の上限(新制度の場合)です。しかし法人で生命保険に加入した場合は、保険の種類にもよっても異なりますがより多くの控除を受けることができます。

また家族を社員や役員にした場合、その給与や役員報酬、退職金を経費計上して、一定の金額を損金として落とすことができるため、大きな節税効果が期待できます。

5.融資の受けやすさ

一般的に個人よりも法人のほうが融資における信用力が高いため、「融資の審査が通りやすくなる」「適用される金利が低くなる」「融資上限額が大きくなる」といったメリットがあります。また個人の場合はオーナーが亡くなったときに相続が発生するため、融資対象物件の権利が分割されたときなど金融機関側もさまざまな対応をしなければなりません。

しかし法人の場合には相続による余分な手間が発生しないため、金融機関側も法人への融資を好みます。

6.減価償却費の任意償却

個人経営の場合は、経営状況にかかわらず毎年減価償却費を必ず計上しなければいけません。しかし法人は、不動産購入代金の任意償却が認められており法人の決算状況によって自由に償却することができます。

7.損失の繰越期間を任意決定

個人では、損失の繰り越しは3年です。しかし法人は収支が赤字になった場合でも損失を最長原則10年まで繰り越すことができます。このことも不動産投資を法人化する大きなメリットの一つです。また不動産投資を法人化すると個人と不動産投資における収支をそれぞれに切り離して管理することができます。そのため不動産投資のパフォーマンスが把握しやすくなることは大きなメリットです。

法人化すると個人部分と収支を切り離して管理することになるため、不動産投資の収支がすぐにわかり、「投資が順調か」「問題点はないか」といういわゆるPDCAを迅速にとることができます。

診療所からの家賃収入を計上するメリット

医療法人からの賃料を売上として計上することで別法人に所得移転をすることができます。医療法人では、医療にかかる経費を計上し不動産管理法人では不動産管理にかかる経費だけ計上するなど経費を分散させながら税金を抑えることが可能です。ここで注意すべきポイントは、医療法人の理事長は、不動産管理会社の代表には原則としてなることができません。

そのため医療法人と不動産管理会社を設立する際、不動産管理会社の設立費用を抑える観点から合同会社で作った場合、投資家と経営者が一致してしまうため、注意が必要です。この場合、不動産管理会社を株式会社で設立、出資者と経営者を別にしたほうがコーポレートガバナンス上望ましいでしょう。このように不動産管理会社を法人化するメリットは多い傾向です。

しかし設立にあたっていろいろと注意したほうがよい点も多いため、専門家の意見も聞きながら慎重に検討する必要があります。

(提供:THE Roots

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