「ESG投資」「SDGs」といった言葉を最近よく見かけたり耳にしたりする人は多いのではないでしょうか。しかしこれらの違いや注目されている理由がイマイチ分からない人もいるかもしれません。ESG投資とSDGsが今後、ビジネスや投資において必須のキーワードになっていく可能性は非常に高いです。本記事では「ESG投資」「SDGs」の概要や違いについて解説します。

いざというときに困らないようESG投資とSDGsの基本を抑えておきましょう。

もはや「ESG投資」と「SDGs」は日経新聞の常連キーワード

投資のトレンドワード「ESG投資・SDGs」 この2つはどう違う?
(画像= metamorworks/stock.adobe.com)

ESG投資とSDGsは、経済メディアで頻出のキーワードになっています。日本経済新聞で検索すると2020年12月9日だけでも「ESG」という言葉が絡む記事は6本、「SDGs」絡みの記事は7本掲載されました。他の経済メディアもESG投資とSDGsが頻出している傾向です。このようにESG投資とSDGsというキーワードを見かける機会は、非常に増えてきています。

「SDGs」の認知度は2年間で約2.7倍になっている

経営者や広報担当者などの認知度が高いといわれるESG投資とSDGsですが、一般の認知度はまだ低い傾向です。朝日新聞が2017年から継続的に行っている認知度調査では「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人は全体の3割程度です。

投資のトレンドワード「ESG投資・SDGs」 この2つはどう違う?
(画像=引用:朝日新聞「2030 SDGsで変える」)

3割というのは、あくまでも耳にしたことがある割合なので言葉の意味を知っている人はごく一部でしょう。ただ注意したいのは、最近になって認知度の割合が急激に高まっている点です。2018年2月段階で12.3%だった認知度は2020年3月には32.9%と約 2.7 倍に上昇しています。このペースで認知度が高くなれば、SDGsという言葉が身近なものになる日は近いでしょう。

一方でESG投資の認知度はどうでしょうか。2020年6月に一般財団法人 経済広報センターが約1,500人の多様な職種・世代を対象に行った調査によるとESGについて「内容を知っている(6%)」「内容をある程度知っている(29%)」という人は合わせて35%でした。ESGという言葉を「聞いたことがあるが内容は知らない(22%)」を含めると57%と半数を超えSDGsを上回る認知度となっています。

ESG投資とは?SDGsとは?

時代を象徴するキーワードになりつつあるESG投資とSDGsの意味や背景を深掘りしていきましょう。

「ESG」と「SDGs」は連携する関係にある

ESG投資とSDGsを独立した言葉や概念のように感じる人もいるかもしれません。しかし両者は対の関係にあります。投資家が「ESG投資」をすることで企業が「SDGs」を推進しやすくなります。また企業は「SDGs」による課題解決で生まれたビジネスチャンスでリターンを生み出し、投資家に還元する構図です。これを分かりやすく説明しているのが下の図式です。

投資のトレンドワード「ESG投資・SDGs」 この2つはどう違う?
(画像=引用:GPIF「2019年度 ESG活動報告」)

ESG投資とは?

ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」それぞれの頭文字をとった言葉です。ESG投資が広まるきっかけとなったのは、2006年に国連が提唱した「PRI(責任投資原則)」。これは、機関投資家に向けてESGを投資活動に組み込むことを広く求めたものです。その背景には、世界が発展する中で環境問題や労働問題、企業統治の問題などが表面化し、これまでの経済発展の延長線上では持続の可能性が懸念される状況になってきた事情があります。

以前は、投資家が株式などに投資する際の指標は、数字で把握しやすい定量的な財務情報が中心でした。しかしESG投資では、非財務情報となる「環境・社会・企業統治」への配慮も投資の際の重要指標とします。よくある勘違いは「ESG投資は社会貢献だから儲からない」というものです。たしかにESG活動は、短期的なリターンを生むには不向きといえるかもしれません。

しかし「長期的な安定したリターンで考えると有利」という実証研究の結果もあります。

SDGsとは?

SDGsは、Sustainable Development Goalsの略で和訳すると「持続可能な開発目標」です。2015年に国連サミットで採択されたアジェンダには、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として17のゴール(目標)と169のターゲット(具体目標)が設定されました。これらをトータルでとりまとめるキーワードがSDGsです。

投資のトレンドワード「ESG投資・SDGs」 この2つはどう違う?
(画像=引用:国際連合広報センター)

例えば17のゴールでは、「1貧困をなくそう」「2飢餓をゼロに」「3すべての人に健康と福祉を」などの目標があり、それぞれの目標ごとに5~10程度の具体目標があります。一例では「1貧困をなくそう」の具体目標には「2030年までに、現在1日1.25米ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」が掲げられているといった具合です。

なお17のゴールと169のターゲットは、こちらのユニセフの公式サイトで紹介されています。ちなみにESG投資は、どちらかというと企業や投資家向けの考え方です。しかしSDGsは「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」を合い言葉に世界のすべての人を対象とする点が異なります。

「ESG」と「SDGs」をより実感できる身近なトピックス

ここまでの内容でESG投資とSDGsの意味は理解できたのではないでしょうか。さらにこれらの考え方を実感できる身近な話題を紹介します。

日本人の大半が気付かないうちに「ESG投資」をしている

一般的に日本は、欧米などに比べてESG投資の意識が低い傾向です。ただ日本は世界のESG投資をけん引する役割を担っています。私たちの年金積立金の運用・管理を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2020年3月末時点で約151兆円を運用する世界最大級の年金基金です。GPIFは、100年スパンで運用を考える世界有数のユニバーサルオーナーですがESG投資も行っています。

GPIFのESG指数に基づく直接的な運用資産額は約5兆7,000兆円で広義のESG投資になるとさらに巨額になるでしょう。つまり私たちが納めている年金保険料の一部はESG投資にすでに投下されているのです。日本人の大半が気付かないうちに「ESG投資をすでに実行している」といっても過言ではありません。 GPIFだけでなく企業の年金運用でもESG投資への取り組みが進みつつあります。

2020年8~10月に日本経済新聞社と格付投資情報センターが行った日経企業年金実態調査によると「今後ESG投資を採用したい」と意思を示した企業は4割と前年から倍増しています。今後ESG投資が長期投資のトピックになる可能性は高いといえるでしょう。

SDGsをテーマに活動する有名人が増えている

最近では、国内でもSDGsをテーマに活動するタレントやアーティスト、モデルなどが増えてきた感があります。なかでもかなり早い段階で「サスティナブル(持続可能な社会)に関わる啓蒙活動」を始動し継続してきたのが音楽プロデューサーの小林武史氏です。サザンオールスターズやMr.Childrenなどの楽曲づくりに参加してきたことで知られています。

小林氏は、音楽家の坂本龍一氏らとともに2003年、非営利団体「ap bank」を設立。環境問題に取り組むプロジェクトなどを支援し続けているのです。また2020年からは世界的な金融機関UBSがバックアップする国連のSDGs活動において日本のアンバサダーとして起用されています。今後もSDGsの注目度がますます高まる中、持続可能な社会をテーマに活動する有名人の増加が予想されるでしょう。

もちろん「商売のためのパフォーマンスなのか」「本気度の高いライフワークなのか」といった見極めを行うことも必要になりそうです。

ESG・SDGsも私たちの投資活動も早いタイミングで進めるほど有利

ESG投資とSDGsは社会のために役立つ活動ではなく現在の社会(世界)を持続させるために避けては通れない活動です。一般の投資活動との共通点は、早いタイミングで進めるほど有利に展開できること。投資活動もESG・SDGsも後回しにせず少しずつ勉強したり行動したりすることが肝心といえるでしょう。

(提供:THE Roots

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