配偶者との離婚時に問題となるのが、これまで2人で築いてきた共有財産の分け方だ。特に熟年離婚の場合、会社の退職金も分与の対象に含まれる可能性があり、分与方法は慎重に協議する必要がある。

今回は、財産分与における退職金の扱いと、財産分与の対象となる退職金の計算方法を詳しく解説していく。

目次

  1. 退職金も財産分与の一部になるか?
  2. 退職金が財産分与の対象になる場合とは?
    1. すでに退職金を受け取っている場合
    2. 退職金を受け取ることがほぼ確実である場合
  3. 退職金の財産分与の計算方法
    1. すでに退職金を受け取っている場合
    2. まだ退職金を受け取っていない場合
  4. 財産分与の決め方は?
    1. 話し合い
    2. 調停
    3. 離婚調停でもまとまらなければ、離婚裁判!
  5. 退職金の財産分与についてもしっかり話し合うことが大切

退職金も財産分与の一部になるか?

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(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

夫婦が離婚する時は、協力して築いてきた共有財産を「財産分与」という形で公平に分けるのが一般的だ。その際、状況に応じて退職金も財産分与の対象になる可能性がある。

退職金には給与の後払いという性質があり、在職中に受け取った給与と同じく、夫婦の共有財産とみなされるのだ。

だが、定年退職まで長い期間がある若年夫婦や、退職金を受け取れるかどうかが不確定な場合など、離婚時に退職金を財産分与の対象としては不都合なケースも多々ある。その場合、退職金が財産分与の対象とならない可能性もあることに留意しておきたい。

退職金が財産分与の対象になる場合とは?

ここからは、退職金が財産分与の対象になる可能性が高い状況について、詳しく解説していく。

すでに退職金を受け取っている場合

すでに定年をむかえ、退職金を受け取った後の離婚なら、退職金が財産分与の対象に含まれる可能性が高い。財産分与の対象となるのは、退職金全額のうち、婚姻期間に応じた割合だ。

たとえば、退職金を受け取った会社での勤務期間と婚姻期間がすべて重なっていれば、退職金の全額が分与の対象となる。しかし、婚姻期間と重ならない勤務期間や別居期間がある場合は、その分を差し引いて計算する。

また、定年退職から時間が経っている場合など、すでに退職金を使い切って手元にない状況では、財産分与の対象にならないこともある。

退職金を受け取ることがほぼ確実である場合

退職までの期間が短かったり、勤務状況などから退職金を受け取るのがほぼ確実とみなされる場合も、退職金が財産分与の対象となる可能性がある。退職金を受け取ることがほぼ確実であるかどうかは、下記のような要素を加味しつつ、総合的に判断される。

・退職までの期間
・会社の規定における退職金支給の有無
・会社の経営状況
・勤務状況や勤務態度

退職金の財産分与の計算方法

次に、財産分与の対象となる退職金の計算方法を詳しく見ていこう。

すでに退職金を受け取っている場合

すでに退職金を受け取っている場合、下記の計算式をもとに財産分与の対象となる金額を算定することが一般的だ。

財産分与の対象となる退職金の金額=退職金の金額 ×(婚姻期間-別居期間)÷ 勤務期間

まだ退職金を受け取っていない場合

まだ退職金を受け取っていない場合、退職金の財産分与の計算方法にはさまざまな考え方があり、一律に定められたルールはない。ここでは、代表的な計算方法を2通り紹介する。

・別居開始時(離婚時)に退職したと仮定して退職金を計算

1つ目は、別居開始時(別居期間がない場合は離婚時)に会社を退職したと仮定して、会社の規定などを参考に退職金の金額を計算する方法だ。退職金の金額がわかったら、下記の計算式に当てはめて、財産分与の対象となる退職金の金額を計算できる。

財産分与の対象となる退職金の金額=退職金の金額 ×(婚姻期間-別居期間)÷ 勤務期間

・定年退職時に受け取る退職金の金額をもとに計算

定年後に受け取れる退職金の金額を計算し、婚姻期間外の労働分と中間利息を差し引いて財産分与の対象となる退職金の金額を求める場合もある。中間利息とは、簡単にいえば、将来受け取るはずの退職金を本来の時期より先に受け取ることで生じる利息のことだ。

財産分与の決め方は?

最後に、離婚時の財産分与の決め方について解説する。

話し合い

まずは、夫婦で話し合って財産分与の割合を決めていく。この時、1/2ずつ分けるのが一般的だが、夫婦それぞれの寄与分を考慮して自由に割合を決めてもよい。

話し合いで合意が得られたら、内容を公正証書にまとめておくと安心だ。公正証書は、全国の公証役場で公証人が作成する公的な契約書であり、裁判になった際の証拠としても役に立つ。

また、相手が約束通りにお金を支払わない場合に、裁判なしで強制執行(差し押さえなど)ができるというメリットもある。

調停

話し合いで意見が対立してまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになる。調停では、調停委員が双方から事情を聴き、解決案の提示や必要な助言を行う。

調停では、当事者の間に調停委員が入ることで、客観的な意見を取り入れながら話し合いを進められるのがメリットだ。

離婚調停でもまとまらなければ、離婚裁判!

調停も不成立に終わった場合、離婚裁判に進むことになる。裁判では、当事者の合意は必要なく、証拠をもとに裁判官が財産分与についての審判を下す。裁判について不安や疑問が残る場合は、弁護士のような専門家に相談することも視野に入れておくとよいだろう。

退職金の財産分与についてもしっかり話し合うことが大切

配偶者との離婚時、すでに退職金を受け取っている場合や、退職までの期間が短い場合は、退職金も財産分与の対象になる可能性が高い。財産分与の割合は双方1/2が基本だが、話し合って自由に割合を決めることも可能だ。

財産分与について双方の意見がまとまらない場合、調停や裁判に進むこともある。自分の望む結果を得たいなら、財産分与の方法をしっかり理解し、準備をしておくことが大切だ。