毎年2月22日の「猫の日」には、日本全国でさまざまな猫関連のイベントが開催されている。2021年は新型コロナの影響で中止や延期が予期されるとはいえ、「アベノミクス」をもじった「ネコノミクス」という造語が生まれるほど、日本は空前の猫ブームだ。今回は、ネコノミクスについて探ってみよう。

目次

  1. 「ネコノミクス」の効果、年間2兆円以上!
  2. 猫カフェ市場拡大!英国には猫パブも
  3. コロナの影響?新たに猫を飼う人が前年比16%増
  4. 猫が人気の理由とは?
  5. 「世界猫の日」は8月8日
  6. 中国でも猫ブーム 「エア猫投資詐欺」も浮上

「ネコノミクス」の効果、年間2兆円以上!

ネコノミクス
(画像=Happy monkey/stock.adobe.com)

「ネコノミクス」とは、猫関連の商品やサービスが生みだす経済効果のことだ。関西大学宮本勝浩名誉教授の試算によると、2015年の 1 年間の経済効果は約 2 兆 3,162 億円だったという。残念ながら直近のデータは見当たらないが、インターネットの普及拡大に伴い、その影響はさらに広範囲な産業に拡大しているものと推測される。

近年は、写真集やイラストなど猫をモチーフにした商品から、オーガニック・キャットフードや洋服、アクセサリーといった猫ケア関連商品なども登場している。また、猫愛好家専用マンションや猫トリマーなど、猫と飼い主の生活をより豊かなものへと向上させる商品やサービスが急増している。

さらにYouTubeやTikTokなどの動画アプリ、Facebook、TwitterなどのSNSは猫をテーマにした配信で溢れ、ネコノミクスに貢献する広告の役割を果たしている。

猫カフェ市場拡大!英国には猫パブも

店内でお茶を飲みながら猫と触れ合える「猫カフェ」も、自宅でペットを飼えない人や猫好きの人、あるいは動物に癒しを求める人の間で人気急上昇中だ。

猫カフェ協会の調査によると、2005年には全国で3店舗だった猫カフェは、2015年には約300店舗にまで増加しているという。営業形態も従来のカフェスタイルから、保護猫の里親募集や子猫の販売を兼ねたものまで多様化している。

このような猫カフェ文化は世界各地に広がっており、猫カフェ発祥の地といわれる台湾のほか、米国やオーストラリア、スペインでも人気を博している。英国では猫と触れ合いながらアルコールを楽しめる猫パブも話題だ。

コロナの影響?新たに猫を飼う人が前年比16%増

経済効果の拡大と共に、2018年以降は猫の新規飼育数も拡大傾向にある。ペットフード協会(東京)「全国犬猫飼育実態調査」によると、特に2020年はコロナの影響で「癒し」をペットに求める人が増え、新たに猫を飼い始めた世帯の飼育頭数は前年比16%増の48万3,000頭だったという。また、猫の飼育頭数は合計964万4,000頭にのぼったことも明らかとなった。

一方、猫と並んで人気の高いペットである犬も、新たに犬を飼い始めた世帯の飼育頭数は46万2,000頭と前年から14%増えた。しかし、総飼育頭数は848万9,000頭と年々減少傾向にある。2016年の総飼育頭数と比較すると猫が3.6%増加したのに対し、犬は9.2%減となった。

猫が人気の理由とは?

数あるペットの中で、なぜ、これほどまでに猫が経済効果をもたらしているのだろうか。

猫特有の魅力について、猫の飼い主の意見を聞いてみると、「フワフワしていて可愛い。癒される!」「つらいときにそばにいてくれる」といったアニマルセラピー(ペット療法)効果を挙げる飼い主も多い。また、マイペースで気ままなところに魅力を感じるという飼い主もいる。

また、犬のように散歩に連れて行く必要がなく、鳴き声で近所から苦情がでることも少ないため、比較的飼う手間がかからない点も人気の理由だろう。加えて、ペットフード協会(東京)「全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の医療費等含む1ヵ月当たりの平均支出額は7,252円と犬より約4,800円少ない。そのため、家計の負担になりにくいところも魅力の1つといえるだろう。

前述の実態調査では、猫を飼った動機として「生活に癒し・安らぎが欲しかったから(45.2%)」「過去に飼育経験があり、また飼いたくなったから(27.7%)」「周りの人が飼っているのを見て羨ましいと思ったから(15.4%)」と回答した。

「世界猫の日」は8月8日

日本では、「2=にゃん」という語呂合わせから2月22日が「猫の日」に制定されているが、世界にはそのほかにもさまざまな「猫の日」がある。

たとえば、8月8日の「世界猫の日(International Cat Day)」は、2002年に国際動物保護団体「IFAW(国際動物福祉基金)」が、里親を必要とする猫への意識を促すことを目的に制定したものだ。

また、米国では3月28日に人間にとって最古のペットに敬意を払う「猫を尊重する日(Respect Your Cat Day)」、8月17日(英国では10月27日)には黒猫の美しさを讃える「黒猫の日(National Black Cat Day)」が制定されている。

中国でも猫ブーム 「エア猫投資詐欺」も浮上

ネコノミクスが拡大しているのは日本だけではない。隣国の中国でも都市部を中心に猫ブームが起こり、猫関連消費は2018年の時点で1,000億元(約1兆6,123億円)を突破している。

新華社ニュースによると、現在も米コーヒーチェーン大手スターバックスが中国で発売した「猫の手カップ」が、通販サイトの淘宝網(タオバオ)などを介してプレミア価格で取引されるという。

しかし、このような消費者心理に便乗し、猫に癒しを求める消費者をターゲットにした「エア猫投資詐欺」も報告されている。これは、仮想猫を育てて転売するアプリ「喵喵」が、2020年8月に突如として運営を停止したことから発覚した事件だ。「元本と最低10%の利息を受け取れる」という謳い文句に騙された被害者の数は6,000人を超え、被害総額は数億円にのぼる。

ネコノミクスが消費喚起や需要拡大に一石を投じていることは疑う余地はない。しかし、今なお安易に捨てられるペットが多いことも事実だ。ネコノミクスが動物の命や権利、そして飼い主の責任について、沢山の人が見直す機会となれば、経済効果やビジネスチャンスだけではなく、社会的効果にも大きく貢献するのではないだろうか。