歯の話題の中心となる虫歯や歯周病ですが、なかでも歯周病は、意外なほど「死のリスク」もはらんでることは前回にてお話をしました。30代、自覚症状がないまま進行し、50代、60代になるとある日突然、歯が抜けてしまう。さらに、歯周病菌が死に至る病へも大きく影響を与える――。「歯周病」はほおっておくと本当に怖い病気です。

この歯周病の予防のため、毎日のブラッシングとあわせて重要なのが、歯科医による定期的な健診です。この記事では、KRD Nihombashiで歯科のアドバイザリーを務める、東京医科歯科大学名誉教授、総合南東北病院オーラルケア・ペリオセンター長の和泉雄一氏にお話をお聞きし、歯を健康に保ち、生活習慣病を予防したいと考えている人に向けて、歯の健康診断における検査内容や検査でわかることを詳しく解説していきます。

▽教えてくれた人

和泉雄一
和泉雄一(いずみ ゆういち)先生
東京医科歯科大学 名誉教授、総合南東北病院オーラルケア・ペリオセンター長。KRD Nihombashiアドバイザリー。専門は歯周病治療、歯科保存治療、歯科インプラント治療。歯周病と全身との関わり、歯周組織再生治療、歯科レーザー治療を専門とし、多数の難治症例を手掛ける。歯周病学・歯周治療学の第一人者。

目次

  1. 顔や頭の形は30代・40代でも変化し続ける。当然、口腔環境も変化する
  2. KRD Nihombashiの詳細な歯の検査でわかること
    1. 口腔内写真撮影
    2. 歯周病の精密検査
    3. 口腔粘膜
    4. 舌検査
    5. 咬合力(噛む際に必要となる力)検査
    6. 唾液検査(オプション)
  3. 経済的なダメージも?インプラント治療にひそむリスク
  4. KRD Nihombashiでは歯・血・目にフォーカス
  5. 歯のリスクに備えることは、生活習慣病予防の第一歩

顔や頭の形は30代・40代でも変化し続ける。当然、口腔環境も変化する

専門医に聞く健康投資#03
(画像=KRD Nihombashi)

30代は、自覚症状なく歯周病が進行する時期です。悪化すると、40代以降に歯がグラついたり、ポロッと抜けてしまったり、取り返しのつかないことになります。

また、最近の研究では、歯周病が全身疾患と密接なかかわりがあるとわかりました。歯周病は全身疾患のリスクファクターの1つであり、50代・60代以降になると、死に至る全身疾患の発症につながるケースがあります。このあたりは前回までに詳しくお話をしたところでした。

【参考】30代は見えない危険信号に注意!知られざる“歯”と健康リスク-専門医に聞く健康投資#01
【参考】「歯のリスク」は「死のリスク」につながる?歯周病が及ぼす全身疾患への悪影響とは-専門医に聞く健康投資#02

とくに歯の形状やかみ合わせは、歯周病の発症に影響を及ぼします。顔や頭の形は、30代、40代と年齢を重ねるごとに変わるものです。自然と変化する顔や頭の形のために、強くかみ合わせる位置が変わってしまうことがあります。これにより歯の摩耗の仕方が変わるだけでなく、歯の汚れの付き方が変化し、歯周病の発症も変化していくのです。ですから、歯のリスクを正しく予防するには、口腔環境の経年変化をみることが大切です。

1回の検査で、すべてのリスクを見極められるわけではありません。経年変化を見て、自然な加齢現象と照らし合わせる中で、その人固有の口腔環境のリスクが見えてきます。

ですから、最低でも3年間は連続して健康診断を受けることで、より正確な診断結果が得られるでしょう。

KRD Nihombashiの詳細な歯の検査でわかること

歯および目、血液に注目し、詳細な検査を行うKRD Nihombashiでは、1人ひとりの身体の状態をデータによって「動態管理」しています。その検査は、歯と口腔環境の検査だけでも、大きく6項目にも及びます。KRD Nihombashiの歯の検査の項目と、検査によってどのようなことがわかるかを解説します。

口腔内写真撮影

写真撮影によって、歯肉(歯ぐき)の炎症の状態、歯の動き、歯並び、噛み合わせ、歯肉の着色など、基本的な歯の情報がすべてわかります。経年変化をみる上でも、写真は欠かせません。入念に撮影をし、口腔の正面拡大写真、上顎、下顎の歯列の写真等、最低3景の半規格口腔内写真を撮影し、患者さんの基本データとしています。

歯周病の精密検査

歯周病は、歯肉(歯ぐき)と歯の間にポケットと呼ばれるすき間が生まれ、そこに細菌が繁殖することで悪化していきます。歯周病の精密検査では、歯1本1本のポケットの深さを測ります。この深さが3ミリだと危険信号、4ミリ以上は急ぎ治療が必要なレベルです。

一方で目視での確認や、ポケットを測ったとしても1カ所だけだったりすると、歯周病を見落としてしまう可能性が高まります。

KRD Nihombashiの検査では、1本の歯につき4点を測っています。さらに、歯を支えている骨の吸収状態、歯肉からの出血や排膿の状態、歯の異常な動揺などを検査します。そのため、より正確に歯周病リスクの診断ができます。

口腔粘膜

口腔内にがんの病変がひそんでいないかを確認します。口内炎が、がんの前触れということもあります。50代以上となれば特にがんのリスクが高まります。KRD Nihombashiでは、粘膜と⾆に異常がないかを 視診や触診によって確認しています。

また、食いしばりの症状がある人は、頬の内側に特徴的な噛み跡が表れます。そのため、歯ぎしりや噛み合わせ検査の必要性も確認することができます。

舌検査

舌の裏側は、がんができやすい場所です。特に虫歯治療で歯に金属を入れていると、金属が舌にあたり、傷ができてがんを発症しやすくなります。

舌がんは現在非常に注目されており、KRD Nihombashiの検査では、舌の左右や裏側も視診や触診によってしっかりチェックし、がんの予防に努めています。

咬合力(噛む際に必要となる力)検査

咬合力検査では、噛み合わせの力や左右の噛み合わせのバランスを確認できます。噛み合わせのバランスが悪く、特定の歯に負荷がかかっていると、その歯の歯周病リスクが高まります。また、噛み合わせの力が基準値よりも低いと咀嚼機能不全や摂食嚥下障害につながる口腔機能低下症の発見にもつながります。

唾液検査(オプション)

唾液検査によって、虫歯菌や歯周病菌を検査します。歯周病は軽症の歯肉炎と重症の歯周炎に分けられますが、歯周炎になると細菌の叢が変わるため、唾液検査によって歯周病の重症度を診断できます。

また、唾液検査によって、歯周病が進行していなくても、歯周病菌が見つかることもあります。その場合、その口腔環境は歯周病リスクが高いことがわかります。

歯周病の約95%は20~30年かけてゆっくり症状が進行します。30代では自覚症状がなく、40代になって歯がグラつき始め、いずれポロッと抜けます。

しかし、20代30代でも急速に悪化するケースがあります。その場合、1~2年で症状が進行し、歯が抜けてしまうこともあるのです。

唾液検査をすることで、こういった特異なケースも早期発見できる可能性が高まります。早めに治療に着手すれば、歯が抜けてしまうのを防ぐことにつながります。

経済的なダメージも?インプラント治療にひそむリスク

歯周病が重症化すると、歯が抜けてしまいます。そこでよく用いられるのがインプラント治療です。歯を失った場所にチタン製の歯根であるインプラントを埋め込み、人工の歯を補うことで歯を再建する治療法です。

このインプラント治療のときに、しっかり歯周病の治療をしないままインプラントを埋め込んでしまうことがあります。また、歯周病菌は、歯の付近に見当たらなくても、舌や頬の裏側といった粘膜に住み着いていることがあります。もし、口腔環境が改善せず、歯周病菌が残っていた場合、埋め込んだインプラントの周囲が歯周病と同じ症状になるインプラント周囲炎が発症し、せっかく治療、再建したインプラントがまた抜けてしまう事態となることもあります。

インプラント周囲炎になると、インプラント周囲の歯肉から出血がおき、膿んだり腫れたりします。インプラントは一度感染すると、完治しないことも少なくありません。そうなると、何度もインプラント治療を繰り返すことになり、経済的に大きな負担を負うことになります。

歯周病菌は、ポケットのみならず舌や粘膜などの口腔環境全体に潜むしつこい細菌です。しっかり歯周病の治療を終えてからインプラント治療をすることが大切です。

KRD Nihombashiでは歯・血・目にフォーカス

30代・40代では、深刻な体の不調を感じる機会はまだ少ないでしょう。そのため、会社の健診結果しか見ていなかったり、忙しいからと会社の健診すら受けていなかったりするケースがあります。

しかし、自覚症状がなくとも、体内で少しずつ症状が進行しているケースは多々あります。自分自身の体の状態を知り、正しく対処するためにも、30代・40代のうちから健康投資を始めましょう。

KRD Nihombashiでは、歯・血液・目にフォーカスした検査を行っています。それぞれの検査結果の情報はドクター同士で共有され、すべての情報を踏まえたアドバイスを受けられます。

自己判断でサプリを飲んだり、テレビで見た健康法を試したりする人がいますが、身体の状態を知らずにやみくもに手を出しても意味がありません。せっかく健康投資をするなら、最も重要な「自分の体の状態を知る」健康診断にお金を投じましょう。

歯のリスクに備えることは、生活習慣病予防の第一歩

外食や飲み会の機会が多かったり、日々の売上達成のプレッシャーからストレスがたまったりと、活躍し続けるビジネスパーソンには、生活習慣病になりやすいリスクが多いです。とくに最近は在宅ワークも増えて通勤もなくなり、運動不足になるケースも増えていることでしょう。生活習慣病のリスクはますます増えており、もしかしたらあなたの健康も20代、30代のうちからリスクが高まっているかもしれません。

この健康リスクに対処するために、歯磨き(ブラッシング)は、とても効果的です。たとえば、夜寝る前だけだったブラッシングを、朝起きてすぐ行うようにする。朝のブラッシングは脳の覚醒につながるといわれています。毎食後はかならずうがいをし、くちをゆすぐ。これだけでも習慣化できれば、あなたの生活習慣は変わり、健康への意識も高くなります。誰もが毎日行えることだから、行動変容につながりやすく、続けてしまえば継続も苦になりません。

そして、定期的な歯の健診も重要です。年代とともに変化する口腔環境を多角的にデータ化し、専門家により客観的に把握する。ブラッシングによるセルフチェックとあわせて定期的に行うことで、糖尿病や心疾患などの「死の病」にいたるまで、リスクを知り、予防を始めることができるのです。

人生100年時代に、長く活躍し続け、充実した人生を送りたいと望むなら、生活習慣病予防の第一歩として「歯」に目を向けましょう。「歯」のリスクに備え、健康意識を変えることで、仕事にも私生活にもいい影響があるはずです。日々のブラッシングと歯の健診は、健康への投資と捉え、積極的に行っていきましょう。

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※KRD Nihombashiは健康保険の使用ができない、自由診療の健診施設です。 健診は、スタンダード、ライト、「歯・目・血」、プレミアム、レディースの各コースをご用意しており、 料金はスタンダードAコースで13万7500円、Bコースで12万1000円、プレミアムでは男性コース22万円、 女性コースは24万8000円となっています。各コースともに、70項目以上の検査項目を実施し、 受診者さまの健康管理をサポートいたします。料金の詳しくは以下をご確認ください。
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