新型コロナウイルスの影響で増加した在宅勤務ですが、慣れない勤務形態によって体調不良を感じる人が増えてきています。

今回は、在宅勤務で体調不良になる要因を解説し、体調不良を改善するための具体的な対策実例を紹介します。

記事を読み終わるころには、体調不良の要因と、どのような対策をとるべきかが理解できているでしょう。

在宅勤務が増えている背景

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(画像=PIXTA)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、多くの企業がテレワークを導入しました。テレビ会議ツールが浸透し、自宅に居ながらにして参加できるオンライン会議やオンライン飲み会も開催されています。

また、在宅勤務が増えている背景として、IT機器の普及や政府の働き方改革の影響があります。

最近では、クラウドによって複数の機器からファイルにアクセスできるようになりました。業種を問わず、タブレットやパソコンを支給する会社も増えてきています。

こうした背景によって、在宅勤務という新しい働き方が、急速に浸透しているのです。

在宅勤務で体調不良が増える要因とは?

一方で、在宅勤務による体調不良を感じる人が増えてきています。在宅勤務で体調不良になる要因を紹介します。

通勤しなくなる

在宅勤務では、自宅で仕事をするため、通勤の必要がありません。

これについては、「勉強する時間が増えた」「家族との時間が増えた」「満員電車のストレスから解放された」といったポジティブな意見をよく聞きます。

しかし、通勤がなくなると、運動不足に陥ってしまうケースがあります。

「通勤だけなら大した運動量ではない」と考える人がいますが、出社すれば、会議室へと移動したり、別のフロアに行ったりと、何かと身体を動かします。時には重い荷物を運ぶこともあるでしょう。

しかし、在宅勤務であれば、こういった運動の機会もすべて失われるのです。

ほんの少し体を動かさないだけで、人間の体力は一気に衰えるといわれています。通勤がなくなることの影響は、想像より大きいことを知っておくべきです。

運動不足が続けば、メタボリック症候群 になるリスクも高まるため、甘くみずに早めに対策を打ちましょう。

メタボリック症候群は、虚血性心疾患や脳血管障害、動脈硬化性疾患など、命にもかかわる深刻な病気をもたらす恐れがあります。

生活リズムが乱れる

在宅勤務になったことで、つい生活リズムが乱れてしまったという人も多いのではないでしょうか。

生活リズムの乱れは、自律神経失調症 を引き起こすことがあります。自律神経失調症になると、下記のようなさまざまな症状が出てきます。

・めまいや耳鳴り、立ちくらみ。
・息苦しくなる。
・動悸がする。
・肩こりや腰痛が長引く。
・おなかの調子が悪い。
・便秘。
・手足がだるい。
・寝起きが悪い。
・気候の変化に弱くなる。

ひとつひとつは些細に思えても、全身にこのような不調が表れ始めると、仕事にも集中できなくなります。

生活リズムの乱れはさまざまな症状を引き起こすので、上司に定期報告をする、朝の時間にミーティングを入れるなど、生活リズムが乱れない工夫を取り入れることが大切です。

間食が増える

在宅勤務だと、つい間食をしてしまうという人は多いのではないでしょうか。

適度な間食は集中力を高める場合もありますが、いきすぎると糖尿病のリスクを高めることになります。

糖尿病というと「甘いものが悪い」と考える人も多いですが、実はおせんべいやおかきにも多くの糖質が含まれています。

また、パンやごはんなどの炭水化物を中心に簡単に昼食をすませている人も要注意です。炭水化物は糖なので、とりすぎは糖尿病リスクを高めます。

パソコンの画面を見ている時間が長い

パソコンを長時間見ていると、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群になるリスクが高まります。勤務時間は変わらないからと油断してはいけません。

出社していると、同僚と会話したり、上司に呼ばれたりで、パソコンから一時的に目を離す時間が意外と多くあります。

しかし在宅勤務の場合、そのような外からの刺激がないため、長時間ずっとパソコン画面を見続けることになります。

VDT症候群の主な症状は、下記の通りです。

・目の疲れや痛み。
・目の乾き。
・目がかすむ、ぼやける。
・視力の低下。

悪化すると、肩こりや腕の痛みが表れることもあります。

また、全身倦怠感やしびれなど、広範囲に症状が広がっていきます。さらには、イライラや不安感などの精神症状も現れ始めます。

コミュニケーションが不足する

「コロナうつ」とあわせて、在宅勤務によって生じるメンタルヘルス障がいも、産業医の間では深刻な問題として認知されています。そもそも、生活スタイルが一変すると、人間はそれだけで不安やストレスを感じます。

意識していなくても、無意識に疲労が蓄積する場合もあります。

加えて、コミュニケーションが不足することで、緊張状態がずっと続くことになります。同僚と5分ほど会話しただけで、肩の力が抜け、集中力が戻った経験がある人も多いのではないでしょうか。

在宅勤務では、こういった「ほっと息をつく時間」を生み出すことが困難です。

また、同じフロアにいる場合と比べ、上司への報告・連絡・相談の仕方に悩みがちだという事例もあります。対面で報告する時は相手の表情や口調がわかりますが、文章だとそうはいきません。

在宅勤務になり、報告のタイミングやメールの文面に頭を悩ませている人はたくさんいます。

こういった在宅勤務特有のむずかしさが、メンタルヘルス障がいのリスクを高めてしまうのです。

在宅勤務の影響で幸福度が低下?

慶應義塾大学とNIRA総合研究開発機構が実施した意識調査によると、仕事全体の満足感が下がった人は26%生活全体の幸福感が下がった人は36%でした。

仕事全体の満足感が上がった人は4%生活全体の幸福感が上がった人は4%なので、満足感も幸福感も下がった人がはるかに多いことがわかります。

また、オムロンヘルスケアの調査では、「テレワークによってどんな不調を感じていますか?」という問いに対し、「精神的なストレス」と答えた人は61.3%にものぼりました。

多くの人が在宅勤務によってストレスを抱え、仕事のみならず生活の幸福感まで下がってしまっている状況が読み取れます。

在宅勤務による体調不良を防ぐために――企業の対策

続いて、企業が行っている在宅勤務による体調不良を防ぐための取り組みを紹介します。

勤怠管理で長時間労働を防ぐ

在宅勤務の勤怠管理では、基本的には自己申告制になります。しかし、アクティビティログを集計できるITツール等を活用することで、従業員の働きすぎを防ぐことが可能になります。

運動不足解消の施策

運動不足解消のため、体操動画を配信したり、オンラインヨガ教室を開催したりといった取り組みをしている企業もあります。

コミュニケーションの活性化

従業員の孤独感を解消するため、オンライン飲み会を積極的に開催している企業もあります。オンライン花見など、少し変わった取り組みも。

また、進捗管理アプリを導入することで、報告・連絡・相談をしなくてもお互いの進捗を把握できるようにすることも、コミュニケーションにまつわるストレスを軽減することにつながります。

在宅勤務による体調不良を防ぐために――個人の対策

続いて、個人ができる在宅勤務による体調不良を防ぐための取り組みを紹介します。

デスク環境を整える

腰痛や肩こりがひどい人は、まずはデスク環境を見直してみましょう。

正しい姿勢で仕事をしていないと、腰痛や肩こりが悪化してしまいます。ノートパソコンスタンドを活用して猫背にならないようにしたり、お尻の形にフィットする腰痛対策用のクッションを購入したり自分なりに工夫しましょう。

食事を整える

間食が増えてしまった人は、間食のとりすぎを防ぐため、3食きちんと食べるとともに、お菓子の代わりにナッツ類やチーズなどを食べましょう。

ジュースをたくさん飲んでしまう人は、牛乳や飲むヨーグルトに置き換えたり、アイスが好きな人は、ヨーグルトを凍らせたり、一工夫するだけで糖質のとりすぎを抑えることができます。

運動習慣を身につける

運動不足解消のため、散歩やストレッチをする時間を設けましょう。毎日の習慣にしてしまえば、ストレスなく継続できます。

目の負担を減らす

目の負担を減らすには、1時間ごとに目を休めるため休憩をはさむことが大切です。ホットアイマスクをつけるのもおすすめです。

また、パソコン画面を見ているとまばたきの回数が減るため、目が乾きやすくなります。

そんな時は、目薬をさしましょう。目の疲れに敏感になり、「一区切りつけてから……」と思わずすぐに休憩をとることが大切です。

生活リズムを整える

生活リズムを整えるには、起床後に太陽の光を浴びたり、眠る2時間ほど前に入浴したり、継続できる習慣を取り入れましょう。また、昼寝は生活リズムの乱れのもとなので、眠気を感じたら散歩に出るなど、昼間に眠らない工夫をしてください。

家族の理解を得る

オンライン飲み会などで同僚とコミュニケーションをとる機会があればいいのですが、なかなかそういった機会がない場合、家族とのコミュニケーションをとりましょう。

家族には、在宅勤務において集中力を高めるうえでコミュニケーションが重要だと説明し、理解を得るようにしてください。

また、逆に家族の声で集中できないといったケースでは、在宅勤務スペースを変更したり、防音パネルを取り入れたりしましょう。

健康的でパフォーマンスが上がる環境づくりが大切

在宅勤務による体調不良は、工夫次第で防ぐことができます。

企業、社員それぞれが、健康が仕事のパフォーマンスに大きく影響することを理解し、健康に対する意識を高く持つことが大切です。

社員の健康は、いい仕事を生み、企業の業績アップにつながります。業績が好調で昇給やボーナスに反映されれば、社員の幸福度も上がります。企業と社員がお互いにいいサイクルに乗るカギは、社員の健康にあるといえるでしょう。

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