毎年2〜3月は確定申告のシーズンだ。控除申告を適切に行えば、場合によっては税額を抑えたり、払いすぎた税金の還付を受けることができるが、手続きをせずに損をしてしまっている人も少なくない。今回は、確定申告の際に活用したい5つの控除制度を解説する。

特定支出控除

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(画像=takasu/stock.adobe.com)

「特定支出控除」は、通勤のための交通費や転勤に伴う転居のための費用といった「特定支出」を所得金額から差し引くことができる制度だ。国税庁ではこの特定支出に該当するものとして、以下の7項目を例として挙げている。

・通勤費
・職務上の旅費
・転居費
・研修費
・資格取得費
・帰宅旅費
・勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等)

研修費については、「職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出」と説明されている。帰宅旅費は、単身赴任先から自宅への交通費などが相当する。

全ての特定支出が控除されるというわけではなく、特定支出の合計額から「給与所得控除額」(※給与収入の金額から算出されるもの)の2分の1の額を差し引いて残った部分が、控除の対象となる。

医療費控除

自分や家族の医療費の支払いが前年1年間で多かった人は、特に「医療費控除」についてはしっかりと理解しておきたい。

医療費控除の対象となる医療費は「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費」とされ、一定の範囲内で本人以外の医療費も含まれることがポイントだ。そして医療費控除の上限は200万円で、以下の式で控除額が決まる。

1年間で支払った医療費の合計額 − 保険金などで補てんされる金額 − 10万円

上記の式を踏まえると、1年間で支払った医療費の合計額が10万円以下だと合計額がマイナスとなるため、実質的に医療控除を受けることができないことになる。

ただし総所得金額などが200万円未満の人の場合は計算式が少し異なり、最後に差し引く「10万円」にかわって「総所得金額等の5%の金額」が差し引かれる。そのため、医療費の合計が10万円以下でも医療費控除の対象になってくる。

なお医療費控除における「医療費」には、病院での治療費だけではなく、医薬品の購入費や診療を受けるための通院費なども含まれる。

扶養控除

「扶養控除」は、納税者本人に扶養親族がいる場合に対象となる。納税者の扶養親族となる要件としては以下の4つ挙げられ、これらの要件に全て当てはまる必要がある。

・配偶者以外の親族又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でない

ここでいう「配偶者以外の親族」とは、6親等内の血族と3親等内の姻族のことを指し、親であっても扶養控除の対象になる場合があることを覚えておきたい。納税者本人から見て親は「1親等」にあたるからだ。

扶養親族の対象となるのは16歳以上で、控除額は年齢や条件によって異なり、38〜58万円となっている。

生命保険料控除

「生命保険料控除」は、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に対象となる。控除可能額は年間の支払額によって異なり、例えば支払額が2万円以下の場合は全額が控除対象となり、支払額が8万円以上の場合は控除額が一律4万円となる。

こうした控除制度があることから、生命保険に加入することは節税方法の1つとして認知されている。しかし、上記のように控除額には上限が設けられているため、節税のために保険料が高い生命保険にやみくもに加入すれば良いというわけではない。

例えば年間の支払額が20万円でも10万円でも、控除額は上記の通り一律4万円だ。控除割合でいえば年間支払額が10万円の方が良いだろう。こうしたことを知った上で、加入する生命保険を選ぶことが重要だ。

上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

株式投資で譲渡損失を出してしまった場合は、配当などで得た利益分と損益通算できる。また、利益分を超える損失を1年間で出してしまった場合は、超えた分で以後3年間の譲渡益や配当と損益通算することも可能だ。このことを「繰越控除」と呼ぶ。

株式投資においては、「源泉徴収ありの特定口座」を利用していた場合、自動的に税金が源泉徴収されるため確定申告が不要だ。しかし、1年を通じて損失を出していた場合は確定申告をすることにより、払いすぎていた税金の還付を受けることができる。

上記のようなケースで還付を受けるためには、口座を開設している証券会社から送られてくる「年間取引結果報告書」を使って確定申告する必要がある。ただし、一般NISAやつみたてNISAでは、そもそも投資利益が課税対象ではないため、損失が出ていても還付の対象とならない。

控除申告をしないと税負担の度合いに大きな差

こうした控除制度は、知っているか知らないか、控除申告するかしないかだけで、大きく税負担の度合いが変わってくる。難しい制度に感じるかもしれないが、理解してしまえば自分だけで十分に控除申告が可能だ。節税につなげるためにも、しっかりと頭に入れておこう。