4月から入社から半年以上経過し、新入社員もそろそろ業務に慣れてきたころでしょう。

社会人になると、先輩から薦められたり、会社の課題図書として自己啓発本やビジネス書を読む機会も増えます。ビジネスマンとしての心得、業界の基礎知識やマナーが書かれた書籍を読むことは有益でしょう。

しかし、一部のビジネス書で目にする「マルチタスク」という言葉には注意が必要です。今回はマルチタスクの弊害について解説していいます。

実は精神的な負荷に繋がりやすいマルチタスク

マルチタスク,弊害
(画像=PIXTA)

マルチタスクとは、複数の作業を同時に行うこと。1人が複数の作業を同時並行で進めることができれば、会社全体の生産性も向上し、より多くのサービスや商品を提供できるようになるなどと言われることもあります。

一方で、マルチタスクを行うことで、精神的な負荷を増大させてしまう危険性もあると、専門家は指摘しています。実際に、「Eメールや電話によって気を散らされたときビジネスパーソンのIQは低下しており、徹夜明けの数値とほぼ同等である」というロンドン大学の研究 もあります。

KRD Nihombashiの田中岳史院長は人間の脳がマルチタスクに向いていない理由を以下のように語ります。

「人間の脳、動物の脳はシングルタスク、一点集中で進化を遂げてきました。獲物を捕ること、果実を摘むこと、食べること、生殖行動をすること‥。そうでなければ自然界では生きていけずまた子孫を残すこともできなかったのです。

脳の神経細胞は千数百億個あると言われていますが、それぞれがセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質によってスムーズに情報交換をし、脳全体として機能しています。それは一つの目標に向かって働いているため、マルチタスクになってしまうと情報が錯綜あるいは途絶してしまい、加えてストレスホルモンといわれるコルチゾルが増加し、神経伝達物質のバランスが崩れます。

すると集中力や意欲の低下、不安感、抑うつなどの脳の機能低下が起こり、ひいては自律神経失調や鬱病など精神障害を引き起こしてしまうこともあります」

マルチタスクを避けるにはどうすべきか?

コンピュータであればマルチタスクを行うことが可能ですが、人は機械的に作業し続けることは困難です。マルチタスクを避けるためには、どうすればよいのでしょうか?

・集中を妨げるものを遮断する チャットやメールの通知をオフにするなど集中を妨げる要素を遮断することで、マルチタスクを防ぐことができます。仕事を始める前に、徹底的に目の前の作業に集中できる環境を整えましょう

・TODOリストを作成する

TODOリストを作成することも集中力を高めるには効果的です。リストには、タスクだけではなく、消化にかかる時間なども記入しておくと良いでしょう。

・優先順位を確認する

自身が集中していて作業を進めていても、周囲から様々な案件が割り込んでくると言うこともあるでしょう。そうした際に混乱しないように、タスクに優先順位をつけておくことが重要です。TODOリストと組み合わせることで、より効果的なタスク消化が実現できるでしょう。

健康リテラシーを高めることがキャリアップにもつながる

一見良さそうに見えて、実は心身に悪影響を与えていることは、マルチタスク以外にも存在します。そのため、自身の脳や身体の仕組みを理解し、日々の生活に生かすことは非常に重要と言えるでしょう。

健康リテラシーを高めることは、日々の体調管理や日常業務の生産性を向上させることにもつながります。多くの成功したビジネスマンが「若い頃は読書や人との出会いなど自分への投資を惜しんではならない」と語っていますが、「健康リテラシーを高めること」も投資の一つと言えるのではないでしょうか。