緑内障は失明を引き起こすこともある怖い病気。実は自覚症状がほとんどなく、健康診断ではじめて気づく人が多いという特徴があります。ビジネスにおいてもっとも活躍できるといわれるのが40代ですが、じつはこの40代の5%の人が緑内障を発症しているとのデータもあります。生涯のキャリアプランのためにも、知らず知らずのうちに進行する緑内障に注意し、早めに対策したいところです。

この記事では、緑内障の症状や仕事・日常生活への影響、金銭的な負担、具体的な対策について解説します。

緑内障は失明原因の2割を占める怖い病気

緑内障
(画像=stock.adobe.com)

緑内障は少しずつ視野が狭くなり、最後には失明にいたる怖い病気です。視野が狭くなっても、人間は両目で景色を見ているため、すぐには視野の欠損に気づけません。そのため、知らないうちに症状が進行してしまうケースが多いのです。

日本眼科学会のデータによると、緑内障は失明原因の第1位となっており、失明原因のじつに21.0%を占めています。また、日本緑内障学会のデータによると、40歳以上の緑内障有病率は5%で、20人に1人が緑内障ということになります。

一方で、日本アルコン株式会社が実施した「緑内障に関する意識調査(2015年)」によると、「日本の失明原因の第1位が緑内障」と知っているのはたったの20.8%で、約8割が緑内障の失明リスクを認識していないことがわかりました。

また、同調査では自覚症状もなく緑内障が判明した人が79.1%でした。多くの人が自覚症状なく、緑内障が発覚していることがわかります。

40代は知らずに進行する緑内障に注意

緑内障は、眼圧が高くなることで起こります。眼球内にある液体「房水」は、通常は役割を終えると血液中に排出されます。しかし、目詰まり等で房水が排出されなくなると、目の中に房水がたまり、眼圧が上がって視神経が傷つきます。そのため、視野が狭くなったり、目がかすんだりといった症状が表れるのです。

目詰まりは多くの場合、数十年にわたって少しずつ進行していきます。そのため、急激に症状が表れることがなく、初期は自覚症状がほとんどありません。ですから、40代で多く発覚する緑内障も、じつは30代のうちにいつの間にか進行していることもありえます。

一度傷ついた視神経は、二度と回復しません。40代になって視野がかけ始め、違和感を覚えて病院を受診したとしても、現状維持がやっとです。欠けた視野が戻ることはありません。

また、視野が欠け始めても、両目で見て日常生活を送っていると、発見が遅れてしまうことも多々あります。その結果、病院を受診した時には手遅れになっているケースもあります。

40代以上の20人に1人が緑内障だとお伝えしましたが、最近では、30代から緑内障を発症する人も増えてきました。緑内障の発症プロセスを考えると、30代のうちから専門性の高い検査を定期的に受け、緑内障リスクに備えることもぜひ検討したいところです。

緑内障になるとどうなる?

続いて、緑内障の主な症状や仕事・日常生活への影響、金銭的な負担について解説していきます。

●緑内障の主な症状は

緑内障では、最初に目の疲れや肩こりなどの症状が現れます。その後、暗点と呼ばれる視野の欠損ができ始めます。しかし、両目でみていると、なかなか視野の欠損に気づくことはできません。

さらに症状が進行し、暗点が拡大していくと、視野がかけていることに気づいたり、物が二重に見えたり、視野がかすんだりします。視力が悪化することもあり、日常生活に支障をきたし始め、自覚症状が生まれます。そのまま治療せずに放置すると、最終的には失明に至ります。

緑内障の症状の進行の仕方はさまざまで、場合によっては目の痛み、充血といった症状が現れることもあります。また、頭痛や吐き気などの全身症状をともなうこともあります。

●仕事や日常生活に大きく影響する緑内障

緑内障の症状が進行すると、視野が欠けることから、仕事や日常生活に悪影響が出ます。仕事内容や症状の度合いによっては、休職や退職を余儀なくされることもあるでしょう。休日に外出したり、趣味を楽しんだりすることも難しくなれば、人生のQOLは大きく低下します。

また、症状が進行していないケースでも、継続的に緑内障の治療をしなければなりません。緑内障の治療は、点眼治療やレーザー治療、手術などです。緑内障の症状にもよりますが、数週間など長期の入院が必要になるケースもあります。そうなれば、職場に事情を説明し、仕事を調整する必要が出てきます。

さらに、手術をすればそれで安心というわけではありません。手術をしたあとも、再び眼圧が上昇すれば、再手術が必要になることがあります。手術の際に、感染症や、角膜の内側で出血する前房出血、眼球の内側の網膜がはがれる網膜剥離などが起こる可能性もあります。

このように継続的な治療が必要になり、たびたび手術で仕事を休まざるを得ないという状況になれば、配置換えや転職を検討しなければならないケースも。40代で治療を継続しながらの配置換えや転職では、厳しい結果となることも予想されます。

●金銭的な負担も無視できない

緑内障の手術は、片目でも数万円の自己負担が発生します。手術の種類によっては、片目で10万円の治療費がかかることも。そうなると、治療にかかる経済的な負担も無視できません。

また、緑内障の症状や治療の影響で休職や退職を余儀なくされた場合、生活は大きく変わります。休職や退職にいたらなかった場合も、評価や昇進に影響し、生涯所得が減少する可能性も否定できません。

健康が損なわれると、経済的な負担も増加するのです。

40代から考えたい健康投資

健康リスクに備えるコツは、早期発見・早期治療です。緑内障も、欠けた視野を元に戻すことはできません。そのため、少しでも早く早期発見することが重要です。

緑内障は、健康診断や人間ドックの一般的な検査では発覚しないケースがあります。「特に症状がないから」「健康診断を毎年受けているから」という理由で、安易に緑内障でないと判断するのは危険です。

自覚症状がなくても、40代になったら専門機関が実施する精密な健康診断を受けることを検討しましょう。精密な検査を受けることで、会社の健康診断や人間ドックでは発見できない緑内障リスクに気づける場合があります。早くから治療をスタートすれば、緑内障の進行を遅らせることが可能です。

また、「最近、目がかすむ」「なんだか視野が狭くなったかも……」、など気になる症状のある人は、速やかに医療機関を受診しましょう。

40代からは、適切な健康投資を行い、忍び寄るさまざまな健康リスクについて知ることが大切です。早期発見・早期治療に努めれば、50代・60代になっても健康を維持し、心身ともにゆとりある老後生活を送れる可能性が高まるでしょう。

健診による早期発見・早期治療が重要

早期発見のためには、会社の健康診断や人間ドックだけに頼るのではなく、精密な検査をしてくれる健康診断を受けることが大切です。さまざまな角度から検査結果を分析することで、緑内障をはじめとした「見えない病」を発見できる可能性が高まります。

緑内障になった場合の経済的な負担を考慮すれば、予防のための健康投資は、コストパフォーマンスが高いと判断できます。

人生100年時代といわれる今、この先の人生について真剣に考え、後悔のない選択をしてください。