
(画像=PIXTA)
現政権で初めて成立した経営統合の形に、上場をめぐる予測も飛び交う。
菅政権で「地銀再編」に注目が集まる中、経営統合が実現した。1月14日、福井銀行と福邦銀行が資本提携の基本合意締結を発表。福井銀行が福邦銀行の株式を引き受けて子会社化する。
資本提携に伴って両行のブランドを統一するという選択肢もあるが、福井銀行と福邦銀行がそれぞれに築いてきた取引先との関係を尊重するため、あえて2ブランドを維持する方向で決定した。それぞれの強みを活かしながら経営シナジーの創出を目指す。
福井銀行は福邦銀行の子会社化を視野に入れているものの、その成否は引き受ける株式の金額によって決まる。現在の引受予定額は50億円。実際の金額は、まず福邦銀行が公的資金60億円を自力で完済した後で必要な自己資本を協議し、5月中旬の最終契約で決定する予定だ。
もっとも、両行は2020年3月に包括提携で合意しており、「Fプロジェクト」と称して連携する取組みを進めてきた。一部の福井銀行の営業店では、店内に福邦銀行が営業店窓口を構える店舗内店舗の形式で運営している。一部システムの共同利用も実施しており、連携を通じて経営の効率化を進めてきた。
今後は両行の人材交流を増やしたり、両行の取引先を紹介し合って事業承継・M&Aを進めたりと、営業面での連携も加速させる考えだ。
菅政権以降、地銀の経営統合を後押しする政策が相次いでいる。日本銀行は、経営統合する地銀の当座預金に金利を付与する政策を導入し、金融庁はシステム統合費用に補助金を拠出する「資金交付制度」を設けた。福井銀行は、両制度の条件を精査したうえで、可能なら活用を申請するという。