タバコは無駄な出費を増やすうえに、健康にもよくありません。「今すぐ禁煙するべき…」といった主張は、タバコに対する評価としてすでに巷にあふれているものです。しかし、頭ではわかっていても、簡単にやめられないというのも、愛煙家の言い分でしょう。

ただ、タバコによる経済的損失に目を向けると、タバコの購入費用だけではない負担が明らかになっています。タバコ代以外の負担には、タバコの吸いすぎによって病気を患ってしまい、その医療費や要介護になってしまったときの介護費用なども含まれます。

もちろんすべてがタバコに起因するものではないともいえますが、タバコを吸い続けることによって何が起きるか、タバコ代以外の経済的な損失がどれだけ大きいのかを理解しておくことは重要なのではないでしょうか。

値上がりを続けるタバコ

タバコ,経済的損失
(画像=PIXTA)

タバコを吸い続けている人であればすでに感じていることだと思いますが、タバコの販売価格は20年以上にわたって上がり続けています。JT(日本たばこ産業)の主力商品である「メビウス」の1985年からの価格推移を見ると、1985年は1箱あたり200円(当時は「マイルドセブン」)だった ものが2021年1月には540円 にまで値上がりしています。その価格差は、なんと2倍以上です。

これと同時期、日本経済は「失われた20年」と呼ばれる長期的なデフレ局面 でした。デフレという物価が下がっていく現象の中でもタバコだけは値上がりを続けてきているのはいったいなぜでしょうか。

その答えは、税金です。タバコ自体の価格にそれほど大きな変化はないと思われますが、たばこ税は長らく増税が続き、その分が転嫁されてタバコ代は年々上がり続けてきました。平成30年以降だけを見ても、毎年のように増税されているのがわかります。

たばこ税等に関する資料
出典:たばこ税等に関する資料(財務省)

2021年現在、1箱540円のタバコ代のうち税金がどれだけを占めているのかというと、国のたばこ税と地方たばこ税、さらにたばこ消費税、そのうえに消費税を合計すると333.97円です。実に61.8%が税金 なので、タバコを吸うということは「余計に税金を払うこと」と言っても過言ではないかもしれません。

タバコ代だけではない経済的損失

タバコに対して否定的な考えを持っている国民が多いこともあって、タバコへの増税には反対意見が出にくいことを踏まえると、今後もタバコの増税は続くと考えたほうがよいでしょう。

また、タバコを吸い続けることによる経済的な負担はこれだけではありません。先ほど触れた健康への悪影響による負担増も想定する必要があります。厚生労働省の調査では、2015年度のたばこによる経済総損失は2兆500億円 に上るそうです。これにはタバコが原因と考えられる病気や介護の費用負担、さらにはタバコの不始末による火災の損失も含まれています。

さらにこの調査結果を詳しく見ると、最も多いのはタバコを吸う本人の医療費です。これが1兆2,600億円 になるため、全体の過半数です。タバコを吸うと病気のリスクが高まり、病院のお世話になることで費用負担がかさむことは紛れもない事実なのです。

国全体の経済的損失がこれだけ大きいということは、必然的にタバコを吸う1人1人の負担も相当なものになることが理解できるでしょう。

タバコ代を投資に回したら、どうなるのか?

健康への悪影響だけでなく、「タバコをやめる」ということを経済の視点から考えてみましょう。1箱540円のタバコを毎日1箱吸う人は、1か月が30日とすると「540円×30日=1万6,200円」のタバコ代を負担しています。これが1年になると12倍なので、19万4,400円になります。約20万円をタバコ代に費やし、しかもそのことによって自身の健康リスクを高めているわけです。

これだけでも割に合わないことだと感じますが、さらにこの年間20万円を投資に回したらどうなるでしょうか。毎月のタバコ代に相当する1万6,000円を積み立て、それを年利3%で運用し続けたとします。それを20年続けると、20年後には約525万円の財産となります。

こちらが、金融庁のシミュレーションツールを用いた試算結果です。

資産運用シミュレーション
出典:資産運用シミュレーション(金融庁)

これは、タバコを吸い続けたら手に入らないお金です。しかも禁煙をしてからの20年後なので、タバコによる健康リスクもきわめて低くなっていることでしょう。健康と500万円を超える財産が手に入ることを考えると、「お金」の観点からもタバコはとても無駄とリスクが多く、禁煙することで得られるものが多いことは明らかです。

タバコに対しては今後も社会的な風当たりがさらに強まっていくことでしょう。タバコ代を投資に回すことで得られる効果は、投資期間が長いほど大きくなります。先ほどのシミュレーション結果にあった黄色部分は運用益ですが、長期投資には複利効果があるのでタバコをやめる日(投資を始める日)が早いほど将来の財産も大きくなります。

健康と経済という二つの側面から自分の将来を考えれば、なるべく早く禁煙をするのがよいという結論になるのではないでしょうか。