肥満の人や1日の摂取カロリーがオーバーしている人は、糖尿病のリスクに注意する必要があります。糖尿病を発症すると生涯にわたり医療費が高い状態が続いてしまいます。そうならないために、大切なのは予防の意識を持つこと。

今回は、糖尿病による経済的な負担と予防対策について詳しく解説します。

糖尿病患者の治療費は年間数万円程度

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(画像=PIXTA)

糖尿病の治療方針は、重症度や患者のライフスタイルによって「投薬なし」「飲み薬のみ」「飲み薬と注射製剤」の大きく3パターンに分類されます。糖尿病情報センターが公開している糖尿病患者の1ヵ月あたりの医療費を参考にそれぞれのパターンの医療費について詳しくみていきましょう。

●投薬なしは年間2万円程度

糖尿病医療費
引用:糖尿病 情報センター「糖尿病とお金のはなし」

投薬が不要でも定期的な診察と検査が必要です。1回の診療には、3割負担で2,000円程度の医療費がかかります。通院頻度には個人差がありますが毎月通院する場合の医療費は年間2万4,000円程度です。

●飲み薬のみの場合は年間4万円程度

糖尿病医療費
引用:糖尿病 情報センター「糖尿病とお金のはなし」

糖尿病の治療に投薬が必要な場合は、別途飲み薬代と処方料がかかります。飲み薬が1種類の場合の医療費は、毎月2,000円程度が目安です。投薬なしの場合と比べて年間プラス2万円程度かかり糖尿病が重症なほど飲み薬の種類が増えて医療費が高くなります。

●飲み薬と注射製剤を併用する場合は年間15万円程度

糖尿病医療費
引用:糖尿病 情報センター「糖尿病とお金のはなし」

糖尿病が重症化するとインスリン自己注射治療が必要になる可能性があります。飲み薬とインスリン自己注射を併用する場合の医療費は、毎月1万2,000円程度です。年間の医療費の目安は、診察料や検査料と合わせて約15万円となり飲み薬のみの場合の医療費と比べて10万円以上も高くなります。

早く発症すれば治療費も積み重なる

医療費が1割負担になる75歳以上で糖尿病を発症するのと、それまでに発症するのとでは、生涯の医療費に大きな差が生じます。糖尿病を発症すると生涯にわたり定期受診が必要になるため、若く発症すればするほど生涯でかかる医療費が増えていきます。また糖尿病が重症化すると疲労感や目のかすみ、感染症リスクの増加などさまざまな問題が起こります。

仕事をしながら糖尿病の治療を続けることが負担になり、働ける時間が短くなることで収入が減る可能性もあるでしょう。

早いうちから生活習慣を改善することで経済的負担を削減できる

糖尿病治療にかかる医療費を抑えるには、若いうちから糖尿病予防に努める必要があります。そもそも糖尿病とは、血糖値が急激に上昇するような生活習慣を続けることで、すい臓が疲弊し血糖値を正常な値に戻すインスリンの分泌が慢性的に低下する病気です。

健康な人は、食後にインスリンが分泌されて血糖値が元の値に戻ります。しかし糖尿病患者はインスリンの量が少なかったり作用が弱まったりしているため、血糖値が高い状態が続いてしまうのです。その結果、血管がダメージを受けて動脈硬化が促され、心筋梗塞や脳梗塞を発症し命を落とす危険性もあります。糖尿病を防ぐには、次のような対策によってすい臓への負担を抑えることが重要です。

●カロリーを摂りすぎない

カロリーの過剰摂取や早食いは、血糖値の急激な上昇を招きます。身体活動量や基礎代謝から適正な摂取カロリーを算出したうえで食事のメニューや食べ方を見直しましょう。1日の摂取カロリーの目安については、医師に相談することをおすすめします。

●普通体型を目指す

肥満の状態では、インスリンが効きにくいため、すい臓からのインスリン分泌が増加します。その結果、すい臓が疲弊してインスリンをうまく分泌できなくなります。そのため、現時点で肥満の人は、普通体型を目指してダイエットすることが大切です。ちなみに、下記の計算式で求めるBMIが25以上の場合に肥満となります。

・体重(キログラム)÷(身長(メートル)÷身長(メートル))

●適度に運動する

有酸素運動によって筋肉への血流が増えるとエネルギー源のブドウ糖が細胞に取り込まれた結果、インスリンの効果が高まって血糖値が下がります。適度な運動は、インスリンの働きをサポートすることですい臓への負担を軽減できるため、長く続けることが大切です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を1回15~30分、1日2回行いましょう。

また筋力トレーニングを行うことも有効とされています。背中や腰、足などの大きな筋肉を中心に全身の筋肉を鍛えましょう。週2~3回の筋力トレーニングを1セット10回程度行ってください。ただし重度の糖尿病や心臓病、高血圧などがある人は、筋力トレーニングによって心臓や血管に負担がかかる恐れがあります。運動を始める前に、必ず担当の医師に相談しましょう。

生活習慣の改善で糖尿病を予防できれば経済的な負担を抑えられます。年齢を重ねるにつれて糖尿病に限らず、さまざまな病気を発症する可能性は高まります。予防のための知識を蓄え、実践することで健康とお金の両方を守ることができるでしょう。