執筆者:辻 章嗣
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NISA,ロールオーバー
(画像=new-africa/stock.adobe.com)

自分の身に何かあったとき、自分だけでなく家族のためにも役立つのが生命保険です。生命保険は、支払う保険料と給付される保険金との関係で「掛け捨て型」と「貯蓄型」に区分されることをご存知でしょうか。ここでは、生命保険の種類ごとに、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

目次

  1. 生命保険の概要
  2. 掛け捨て型と貯蓄型
    1. 掛け捨て型
    2. 貯蓄型
  3. 生命保険はおもに4種類
    1. 死亡保険
    2. 医療保険
    3. 介護保険
    4. 生存保険
  4. 目的に応じて使い分けよう

生命保険の概要

保険,生命保険
(画像=oatawa/stock.adobe.com)

生命保険は、大勢の加入者があらかじめ公平に保険料を負担し合い、人が死亡したりけがをしたりした場合など、偶発的な事故によってお金が必要になった人が給付を受ける仕組みです。

そして、必要なお金を準備する方法としては、保険のほかに貯蓄がありますが、その違いは必要なお金の額を準備するために必要な時間です。この関係は、「貯蓄は三角」、「保険は四角」と言われています。

保険,生命保険
(金融広報中央委員会のサイトをもとに筆者が作成)

すなわち、貯蓄は必要な金額を準備するために時間が掛かりますが、保険は契約期間内であればいつでも必要な金額を受け取ることができます。

したがって、偶発的な事故の発生に対処できる資金がすでに貯蓄で準備できている方には、保険は必要ありません。むしろ、貯蓄が少ない方は、保険を活用して偶発的な事故の発生に備えることが大切です。

掛け捨て型と貯蓄型

保険,生命保険
(画像=jfunk/stock.adobe.com)

それでは、生命保険の「掛け捨て型」と「貯蓄型」の違いについて見てみましょう。

掛け捨て型

「掛け捨て型」の生命保険は、契約期間中に定められた保険料を支払い、契約期間内に支払い条件を満たす偶発事故が生じた場合に限り、保険金が支払われる保険です。したがって、契約期間内に事故が発生せずに保険金を受け取ることがなければ、支払った保険料は掛け捨てることになります。

「掛け捨て型」の生命保険は、本来の保険の仕組みに沿った保険で、多くの人から保険料を集めて条件を満たす限定的な事案に対して保険金を支払いますので、安い保険料で大きな保障を受け取ることができます。

貯蓄型

一方、「貯蓄型」の生命保険は、契約期間内に支払い条件を満たす偶発事故が生じた場合や契約期間を満了した場合に支払った保険料に見合った額の満期保険金などを受け取ることができる保険です。支払った保険料は、将来保険金として戻ってきますので「貯蓄型」と言われ、貯蓄に保険の要素を加味した商品と言うことができます。

「貯蓄型」の生命保険は、「掛け捨て型」と違い必ず保険金を支払いますので、その支払いに対応した保険料を徴収する必要があります。また、貯蓄とは違い、契約期間中に偶発事故が発生した場合には、それ以降の保険料を徴収することなく保険金を支払う必要があります。

したがって、「貯蓄型」の生命保険の保険料は、「掛け捨て型」と違い自分自身の保険金を自分自身で準備する必要があることと、偶発事故に対する保険金の支払いに備える必要もあります。そのため、「掛け捨て型」に比べて保険料は必然的に高く設定されています。

生命保険はおもに4種類

保険,生命保険
(画像=sewcream/stock.adobe.com)

生命保険には、おもに「死亡保険」、「医療保険」、「介護保険」、「生存保険」の4種類があります。それぞれの保険について、「掛け捨て型」と「貯蓄型」の違いを分析し、そのメリットとデメリットについて解説します。

死亡保険

死亡保険は、契約期間中に被保険者が死亡したときに死亡保険金が支払われる保険で、おもに「定期保険」、「収入保障保険」、「養老保険」、「終身保険」の4種類があります。

定期保険一定の保険期間内に死亡した場合のみ死亡保険金が受け取れます。
収入保障保険死亡したとき以後、契約時に定めた満期まで年金が受け取れます。
養老保険一定の期間内に死亡したときは死亡保険金が、満期時に生存していた時は満期保険金が受け取れます。
終身保険死亡した場合に死亡保険金が受け取れます。保険期間は一生涯続きます。

このうち、「定期保険」と「収入保障保険」は、「掛け捨て型」の保険で、比較的安価な保険料で大きな保障を得ることができます。遺族の生活費や教育費など多額の保障が必要となる若い夫婦などに適している保険と言えます。

「終身保険」と「養老保険」は、「貯蓄型」の保険になります。「終身保険」は、死亡時の葬儀代や相続人が納める相続税にあてるために利用すると良いでしょう。一方、比較的短期間の保険期間で満期保険金を受け取ることを目的とする「養老保険」は、低金利時代にあってそのメリットは少ないと言えるでしょう。

医療保険

生命保険会社などが提供する医療保険は、病気やけがで入院したり、所定の手術を受けたりしたときに給付金を受け取ることができます。

医療保険には、一定期間を定めた定期タイプと一生涯保障する終身タイプがあります。ただ、死亡保険の終身保険とは違い、たとえ終身タイプの医療保険であっても給付要件に定められた日数の入院や所定の手術を受けない限り給付金は支払われませんので、医療保険は基本的に「掛け捨て型」の保険ということができます。

日本の健康保険制度では、保険が適用される治療については、原則3割(年齢と所得によって1~2割)の一部負担金を支払うだけで医療が受けられます。

また、長期入院などで1ヵ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた部分が払い戻される「高額療養費」制度もあります。したがって、「掛け捨て型」の医療保険に頼らずに貯蓄で備えるという考え方もあります。

介護保険

生命保険会社などが提供する介護保険は、所定の要介護状態になった場合に、給付金を受け取ることができます。介護保険には、医療保険と同様に一定期間を定めた定期タイプと一生涯保障する終身タイプがあります。

いずれのタイプでも所定の「寝たきり」や「認知症」の状態が所定の期間継続しなければ給付金は支給されませんので、「介護保険」も「掛け捨て型」の保険になります。

わが国の公的介護保険制度では、被保険者が、介護が必要と認定されると介護サービスを受けることができ、原則1割(一定以上の所得がある人は2~3割)の自己負担金を支払うことで、要介護度に応じた限度内の介護サービスを利用することができます。

そして、健康保険と同様に、1ヵ月の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた部分が払い戻される「高額介護サービス費」制度もあります。生命保険会社などが提供する「掛け捨て型」の介護保険に頼らずに、介護に必要な資金を貯蓄で準備できれば、仮に要介護状態にならなければほかの用途に使うこともできます。

生存保険

生存保険は、一定の期間満了後に、被保険者が生存している場合に一定の保険金が支払われます。そして、代表的な生存保険として、「個人年金保険」があります。個人年金保険は、契約時に定めた一定の年齢から年金が支払われる保険で、主として「終身年金」、「有期年金」、「確定年金」の3種類があります。

終身年金被保険者が生存している限り終身にわたり年金を受け取ることができます。
有期年金契約時に定めた年金受取期間中、被保険者が生存している限り年金を受け取ることができます。
確定年金生死に関係なく契約時に定めた一定期間、年金を受け取ることができます。

なお、「終身年金」と「有期年金」には、生死に関係なく年金を受け取ることができる保証期間を付けた「保障期間付終身年金」や「保障期間付有期年金」があります。

また、年金受け取り開始前に被保険者が死亡した場合は、支払った保険料に応じた死亡保険金を受け取ることができますので、個人年金保険は、その種類にかかわらず「貯蓄型」の保険になります。

したがって、「貯蓄型」の個人年金保険の保険料は、決して安くありませんので、あくまでも公的年金制度を補完するものと考えると良いでしょう。

目的に応じて使い分けよう

必要な資金を準備する方法には、「貯蓄」と「保険」があります。また、生命保険には、支払う保険料と給付される保険金との関係で「掛け捨て型」と「貯蓄型」があります。「掛け捨て型」は、保険の本質を体現した安い保険料で大きな保障を得ることができる保険で、代表的な例として「定期保険」や「収入保障保険」があります。

一方、「貯蓄型」の生命保険は、貯蓄に保険の要素を加味した保険で、その例として「個人年金保険」があります。生命保険を利用する際には、保有する貯蓄額の多寡と保険に加入する目的に応じて「掛け捨て型」と「貯蓄型」を使い分けるとよいでしょう。

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辻 章嗣(つじ・のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表 CFP®、社会保険労務士 元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP®、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社や社会保険労務士法人でセミナーの講師等を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター®」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。

(提供:UpU

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