クラシックカーやワインと共に、高額資産投資対象として富裕層を魅了し続けるアート。その魅力はコロナ禍でも色あせることがない。いかなる状況下においても富裕層に愛されるアート投資の魅力とは、果たしてどのようなものなのだろうか。

目次

  1. コロナ禍、オンラインセールスが総売上高の約4割に
  2. コロナ禍でも富裕層を魅了し続ける4つの理由
    1. 1.趣味を兼ねたコレクター投資の醍醐味
    2. 2.長期投資に向いている
    3. 3.「家時間」が増え、趣味を楽しむ機会が増えた
    4. 4.オンラインで気軽に購入できる時代に
  3. アート投資はデジタルの時代へ

コロナ禍、オンラインセールスが総売上高の約4割に

アート投資がコロナ禍でも富裕層を魅了し続ける4つの理由
(画像=Gorodenkoff/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各地で経済活動が著しく低下した2020年上半期、アート市場も大きな打撃を受けた。

世界最大級の現代アートフェアー・アートバーゼルとUBSが2020年7月、世界60ヵ国・地域のギャラリーを対象に実施した共同調査によると、全ギャラリーの総売上高は平均で前年同半期36%減。特にアジア地域への影響が強く、世界3大アート市場の一つである中国の売上高は55%減、全体の売上高は41%減となった。

そのような状況の中、ギャラリーや会場でのオークションに代わり急増したのがオンラインセールスだ。オンラインセールスがギャラリーの総売上高を占める割合は、37%に上昇した。

また、世界最古のオークションハウス・サザビーズのオンラインセールスの売上高は、2020年の最初の7ヵ月で前年同時期比540%増と驚異的な成長を記録している。全44のカテゴリーで180以上のオンラインオークションが開催され、総額2億8,500万ドル(約295億8,711万 円)以上を調達した。

特に、コンテンポラリーアートの売上高は1,370万ドル(約14億2,207万円)と、サザビーズのオンラインオークションの新記録を達成した。

コロナ禍でも富裕層を魅了し続ける4つの理由

同レポートによると、高額投資家の59%が「パンデミックがアート収集への関心を高めた」と感じており、31%が「大幅に関心が高まった」と回答している。

また、各地の国境封鎖や行動規制などにかかわらず、82%が「国内・国外の展示会やアートフェアなどの訪問を積極的に計画している」、57%が「今後12ヵ月以内に訪問したい」と、アート投資への情熱を維持している。

ではここで、コロナ禍でも減退することのないアート投資の4つの魅力を見てみよう。

1.趣味を兼ねたコレクター投資の醍醐味

アート投資が長年にわたり根強い人気を誇っている理由は、購入した作品を鑑賞する楽しみと、価値を熟成させる楽しみの両方を得られることにある。

既に名の知れたアーティストの作品を購入して、さらに価値が上がるのを待つ、あるいは将来的に価値が上がると見込んで、無名のアーティストの作品を購入するなど、株式や不動産など他の投資では味わえない、コレクター投資ならではの醍醐味といえる。

2.長期投資に向いている

アート投資のデメリットとして、流動性が低く価格形成が不透明な上に、市場の関心が移り気な傾向がある点が挙げられる。また、投資した作品の価格が絶対に上昇する保証もない。

このようなデメリットは、時としてリスクにもなり得る。しかし長期投資としての観点から見ると「株式投資などより投資効果が高く、安定した金融資産になる」との意見が多い。

例えば、大手不動産コンサル企業・ナイトフランクの「高級品投資指数(Knight Frank Luxury Investment Index)」によると、2019年第4四半期までの過去10年間のリターンは、ワインが120%、高級時計が60%であるのに対し、アートは141%と一部のコレクター投資商品より高リターンが期待できるとの結果が報告されている。

3.「家時間」が増え、趣味を楽しむ機会が増えた

昨今、外出自粛やリモートワークにより自宅で過ごす時間が増えた。「家時間」が増えたことから、趣味として、そして自宅により心地よい空間を演出するための装飾品として、アートが再び注目されている。

4.オンラインで気軽に購入できる時代に

他の多数の産業同様、アート市場にも既に押し寄せていたデジタル化の波が、コロナ禍によりさらに加速した。

前述のサザビーズや、それと肩を並べる老舗オークションハウス・クリスティーズなど大手に限らず、中小規模のオークションハウスやギャラリーも、従来の対面式の売買スタイルのオプションとして、オンライン販売への移行を図っている。

ギャラリーや会場に足を運ぶ必要がなく、自宅にいながらデジタルカタログで作品を鑑賞したり、ライブ中継のオンラインオークションに参加できたりするという利便性の高さから、今後、需要がさらに拡大すると予想される。

アート投資はデジタルの時代へ

デジタル化が進んでいるのは、オークションやカタログだけではない。

「アート投資は素人には敷居が高い」と言われる理由の一つとして、作品の真贋(しんがん)鑑定や複雑な取引プロセスが挙げられる。このような「敷居」を取り払い、より幅広い層にアピールする手段として注目されている技術がブロックチェーンである。改ざん耐性が極めて高く、一度記録したものを永久的に保存することを可能にする技術で、ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術としても広範囲に採用されている。

そしてこのブロックチェーン技術の特徴を生かすことで、作品や作者、所有者情報など、取引に関連する全ての情報を記録・追跡できる。

この他、コンピューターで作成された「デジタルアート」も、最先端の現代アートとして確固たる地位を確立しつつある。アイルランドのアーティスト、ケビン・アボッシュの作品「Forever Rose(永遠の薔薇)」のように、100万ドル(約1億393万円)相当の仮想通貨で落札されたものもある。

デジタル化とコロナにより転機を迎えたアート産業は、今後も長きにわたり、世界の富裕層を魅了し続けるだろう。それと同時に、例えばサザビーズがオンライン限定で提供する、低価格帯の作品を中心とするオークションなど、より幅広い顧客層にアピールする機会が増えることにより、アート投資の未来はさらに多様化していくはずだ。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部

(提供:BUSINESS OWNER LOUNGE