「フィンテック」という言葉が一般的になりつつある。世界レベルではここ10年でフィンテックへの投資額が10倍になった。そういった中、日本でもここ数年のうちに異業種からのフィンテック事業への参入が増えている。なぜ、異業種のフィンテック参入が盛り上がっているのだろうか。

目次

  1. ますます高まるフィンテック熱
  2. ここ数年で様々な業種がフィンテックに参入
  3. 実は昔から異業種の金融業参入はあった
  4. フィンテック参入を後押しする銀行のオープンAPI化
  5. 異業種のフィンテック参入は実は金融機関にもプラス?
  6. 異業種のフィンテック参入は金融業界にイノベーションを引き起こす?

ますます高まるフィンテック熱

フィンテックは金融機関のものではない?異業種参入組がフィンテックを盛り上げる理由とは?
(画像=Andrey Popov/stock.adobe.com)

フィンテック業界が盛り上がって久しい。もはや「フィンテック」という言葉は当たり前のものになりつつある。FinTech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。日本語では、「金融IT」や「金融テクノロジー」などとも呼ばれる。その言葉が表すように、金融とテクノロジーをかけ合わせて新たなサービスや技術を提供することで注目を浴びている。

世界での盛り上がりと同様に、日本のフィンテック業界も、かつてないほどの成長を見せている。東証マザーズ時価総額上位のfreeeやマネーフォワードはフィンテック企業であり、最近では100億円以上の資金調達を行う非上場企業も増えつつある。新型コロナウイルスで一時期に勢いが衰えた一方で、ECの活況が追い風になるなど、まだまだ勢いはとどまるところを知らない。

ここ数年で様々な業種がフィンテックに参入

このフィンテックの盛り上がりの背景には、実は2つの大きな流れがある。1つはフィンテック企業の台頭で、日本だとfreeeやマネーフォワードがそれに該当するだろう。

もう1つの大きな流れは、異業種からのフィンテック参入だ。たとえば、2017年にはJALとSBIが共同でフィンテック企業を作り、プリペイドカードなどのビジネスに参入すると発表があった。ほかにも、SNSを手掛けるLINEが、みずほ銀行と組んで銀行業に参入を表明するなど、ここ数年さまざまな企業がフィンテック事業へ参入、または参入を模索している。

世界レベルで見ても、アップルがクレジットカード事業に参入したように、異業種からのフィンテック参入は一つの大きな流れになりつつあるのだ。

実は昔から異業種の金融業参入はあった

とはいえ、実は異業種からのフィンテック参入というのは、実は見えていた流れかもしれない。というのも、異業種からの金融業参入は日本においても昔からあったからだ。

よく知られているのは、ソニーやセブンイレブンの金融業への参入だろう。ソニーはソニー銀行やソニー生命、セブンイレブンはセブン銀行を立ち上げ、今ではグループの中核会社として存在感を放っている。もともと顧客基盤や顧客接点を多く持つ企業が金融業を立ち上げることで、初期の顧客獲得コストを下げ、そしてそれを強みに成長していったケースだ。

また、改札という経営資源を活用したSUICAなど経営資源を活用するタイプの新規参入もあれば、家電量販店の保証サービスのように、リスクの引き受けに強みを持ったタイプの新規参入もあった。このように、実は多く企業が昔から金融業に参入しており、ここ数年はそれがテクノロジー化したものだと考えることができるだろう。

フィンテック参入を後押しする銀行のオープンAPI化

フィンテックへの参入が過熱したのは、過去のこういった金融業への参入があったことに加え、2017年に行われた銀行法の改正が理由として挙げられるだろう。

2017年の銀行法改正では、電子送金サービスや口座管理サービスからなる「電子決済等代行業」を定義し、これらを営む事業者を「電子決済等代行業者」として、登録制による規制を課した。その上で、オープン・イノベーションを進めようとする銀行に対しオープンAPIに係る体制整備の努力義務を課したのだ。つまり、銀行とほかの事業者が、より密接に連携しやすい関係を作ったといえるだろう。

これにより、家計簿サービスやQRコードサービスが金融機関と直接つながり、より利用者にとってメリットのあるサービスが提供できるようになった。このこともフィンテックの盛り上がりを後押ししたといえる。

異業種のフィンテック参入は実は金融機関にもプラス?

実は、このオープンAPIが、フィンテック企業や参入企業だけでなく、銀行にもメリットをもたらすかもしれない。

オープンAPIが広がるということは、金融機関はそれだけ多くのタッチポイントを顧客と持つことになる。つまり、より多くのビッグデータが手に入れられる可能性があるのだ。つまり、オープンAPIは、銀行にとってもイノベーションを起こしうる起爆剤になりえるといえるだろう。もちろんコスト面での増大などデメリットはあるが、最終的にもっともいい思いをするのは、既存の金融機関かもしれない。

異業種のフィンテック参入は金融業界にイノベーションを引き起こす?

昔からソニーの金融業への参入をはじめ、異業種からの金融業参入はあった。それが、ここ数年、銀行のオープンAPI化などもあり、フィンテックへの参入として盛り上がりを見せている。

銀行のオープンAPI化により、フィンテックへの参入は以前より簡単になるだろう。銀行側はコスト負担こそあるものの、多くのビッグデータを得ることができるなど、メリットも多い。異業種がフィンテックに参入することで、金融業界がイノベーションを起こす可能性もあるのではないだろうか。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部

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