30代でも少なくない、そして40代からはおなじみの話題となる「高血圧」。生活改善や治療をせずに放置していると死のリスクもあるほか、もし脳卒中になれば、その後遺症で仕事に多大な悪影響が出る可能性もあります。亡くなってしまったら、残された家族についても大きな問題となってきます。「血圧が高いんだよな……」という程度の意識で、甘く見るのは厳禁です。高血圧とビジネスリーダーの関係について、考えてみましょう。

30代における高血圧の人の割合は?

血圧リスク
(画像=stock.adobe.com)

高齢になると高血圧になる人は増えますが、30代の働き盛りのころでも高血圧に悩んでいる人は少なからずいます。ではまず、高血圧とはどのような状態を指すのか、説明していきます。

日本高血圧学会では、血圧値を「正常域血圧」と「高血圧」に分類しており、家庭の血圧計で測った場合は「最高血圧135以上または最低血圧85以上」、診察室などで測った場合は「最高血圧140以上または最低血圧90以上」であれば、高血圧とされます。

この分類を基にして日本国民の血圧の状況を調べている調査があります。厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」です。この最新版の「令和元年版」では、高血圧とされる人(I~III度高血圧の合計)は30〜39歳で4.3%、40〜49歳だと16.9%に上っています。

▽厚労省「国民健康・栄養調査」による30-49歳の血圧の状況

   総数 至適血圧、
正常血圧
 正常高値血圧  Ⅰ度高血圧  Ⅱ度高血圧  Ⅲ度高血圧
  人数  % 人数  % 人数  % 人数  % 人数  % 人数  %
 30-39歳  185  100  171  92.5  6  3.2  5  2.7  1  0.5  2  1.1
 40-49歳  344  100  242  70.3  44  12.8  45  13.1  10  2.9  3  0.9

引用:令和元年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果 第22表の1 血圧の状況 - 年齢階級,日本高血圧学会による血圧の分類別,人数,割合 - 総数・男性・女性,20歳以上〔血圧を下げる薬の使用者含む〕

30〜39歳の4.3%という数字は少なく感じるかもしれません。ただ、正常域血圧の範囲内ではあるものの血圧が高めの人も3.2%おり、こうした高血圧予備軍も含めると7.5%まで割合が増えます。つまり、30代であっても高血圧と無縁というわけではないのです。

世界の偉人たちも高血圧に悩んでいた

偉人とされる歴史上の人物の中にも、高血圧が原因で倒れた人は多くいます。

例えば、第二次大戦下のアメリカをリードし、史上唯一の4選を成し遂げたアメリカの第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは63歳で亡くなり、死因は高血圧が原因の脳出血とされています。亡くなる前には最高血圧が250を超えているときもあったと言われています。

日本では、織田信長が高血圧に悩んでいたと言われています。また、上杉謙信も高血圧だったとされ、トイレ中に脳出血で倒れ、その後亡くなりました。48歳での死去でした。上杉謙信は酒と梅干しが大好きで、摂取過多が高血圧を招いたとされています。

フランクリン・ルーズベルト、織田信長、上杉謙信と、それぞれ強いリーダーシップに逸話を持つ偉人達です。彼らも高血圧で悩んできたと考えると、現代のアクティブなビジネスパーソンも他人ごととは思えないことでしょう。もし高血圧が原因で倒れれば、彼らのように、まだまだやりたいこと、やるべきことがあっても、亡くなってしまうこともあるのです。

高血圧が身体に及ぼす影響

では具体的に高血圧は身体にどのような悪影響を及ぼし、どういった病気を招くのでしょうか。

まず高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれていることを知っておきましょう。自覚症状として表れにくいため、血圧計などで定期的に血圧を測っていないと、病気になってはじめて自分が高血圧であることに気づくケースもあります。

高血圧になると徐々に腎機能が低下していき、動脈硬化も進行します。こうしたことにより、腎臓病や心筋梗塞、脳卒中などが引き起こされるリスクが高まります。

高血圧が仕事や生活に及ぼす影響は?

高血圧が原因で脳卒中などになると、後遺症によっていままでどおりの生活や仕事がむずかしくなるケースが出てきます。脳卒中の後遺症は脳の損傷部位によるので、身体の運動機能に影響が出るだけでなく、失語症や視力を失ったり記憶障害となることもあります。仕事に関しては、業務をこなすのがむずかしくなり、職場を辞めざるを得ないこともあることでしょう。収入面では大きな打撃です。

亡くなってしまった場合、残された家族の問題も出てきます。一家の稼ぎ頭である男性が亡くなった場合、生命保険などに入っていれば当面の生活費は心配ないかもしれませんが、ゆとりのある生活は難しくなります。

また、家族の精神的ショックは大きく、残された妻の子育ての負担も一気に増えます。

高血圧で困らないためには?

では高血圧で困らないために、私達が日常的にできることは何でしょうか。やはり普段の食生活などの生活習慣の改善と、定期的な血圧と自分の健康状態の確認が重要となります。

●生活習慣の改善

とくに気をつけたいのが食塩の過剰摂取です。また肥満も高血圧につながります。そのため、減塩や運動、節酒、食生活の改善などが求められます。数字の目安で言うと、塩分は1日6グラム未満、BMI(体格指数)は25未満、運動はウォーキングなどを毎日30分以上、といった具合です。

●定期的な血圧測定・検診を

前述の通り、高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれています。そのため、自分が高血圧なのか、家庭用血圧計で定期的に確認したり、病院で検診を受けたりすることが求められます。早期に高血圧であることがわかれば、治療もしやすくなってきます。

定期的な検診や高血圧の治療は、リターンの大きい「健康投資」

この記事では高血圧について説明してきました。30代のビジネスパーソン・ビジネスリーダーであれば、健康管理も仕事のうちです。「きっと自分は大丈夫」と高をくくらず、定期的な血圧チェックをマストなタスクとして自分に課しておくことが無難です。

定期的な検診や高血圧の治療には多少の時間と費用もかかりますが、脳卒中や心筋梗塞を予防できるという大きなリターンを期待できる「健康投資」です。将来設計が崩れてしまわないためにも、しっかりと30代のころからこうした健康投資を心掛けましょう。