高血糖や脂質異常症になってしまうと、生活や仕事で思わぬ悲劇を招きます。働き盛りの30代のビジネスパーソンならなおのこと、キャリアプランに支障が出ないよう、いますぐ検診を行い、高血糖や脂質異常症にならないよう生活習慣を改善しましょう。

高血糖や脂質異常症って何?原因は?

定期健診スコアチェック
(画像=stock.adobe.com)

高血糖と高脂血症はともに食事や運動不足などが原因で起きる状態・症状です。こうした状態・症状を放置しておくと、命に関わる重大な病気を発症するリスクが高まります。

●高血糖:「血糖値」が高い状態、糖尿病につながる

高血糖とは、血液中のブドウ糖の量を示す「血糖値」が高い状態であることを指します。本来ブドウ糖は、わたしたちが生きていくために欠かせないエネルギー源です。食事により体内に取り入れたブドウ糖を、体を動かし脳を働かせることでどんどん消費していくならば、問題はありません。しかしこの体や脳の消費量以上にブドウ糖の量が多くなると、血液中にブドウ糖の濃度が高くります。これが高血糖といわれる状態です。

遺伝的な要因で高血糖になることもありますが、過食や肥満、運動不足、ストレスなども高血糖の原因となります。過食は糖の取りすぎにつながり、運動不足だと糖が消費しきれなくなります。ストレスが多い状態だと血糖値を上げるホルモンが多く分泌されます。

高血糖状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞などになりやすくなるほか、糖尿病の発症リスクも高まります。糖尿病を患ってしまうと、神経障害が原因で足を切断しないといけなくなったり、網膜症によって失明したり、腎不全になって人工透析が必要になることもあります。

厚生労働省が発表した「令和元年国民健康・栄養調査」によれば、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、30〜39歳の男性で1.6%、同じく女性で2.6%に上っています。とくに男性は、40代でその割合が6.1%に急上昇している点に注意が必要です。糖尿病は、長期にわたる高血糖状態も要因となることから、30代の仕事と生活のスタイルが大きく影響していることがうかがえます。

▽厚生労働省の調査による「糖尿病が強く疑われる者」の割合(20歳以上、性・年齢別)

「糖尿病が強く疑われる者」の割合
「糖尿病が強く疑われる者」の割合
引用:厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

●脂質異常症:脂質代謝に異常をきたした状態、脳梗塞などにつながる

脂質異常症は、以前は「高脂血症」と呼ばれていました。厚生労働省は脂質異常症について「中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態」と説明しており、そのままの状態を放置すると、動脈硬化、そして脳梗塞や心筋梗塞につながります。

脂質異常症も高血糖と同じようなことが原因になりえます。すなわち、脂肪分の多い食事や過食、運動不足、ストレスなどです。近年は欧米の影響もあり、日本人も動物性脂肪の多い食事が増えたことも要因となっていると言われています。

具体的には、脂肪分の肉や卵、バター、チーズ、即席麺などの摂取過多に要注意です。「令和元年国民健康・栄養調査」によれば、30〜39歳で「脂質異常症が疑われる者」の割合は7.4%に上っています。男性は19.4%に上っており、その食生活に注意が求められそうです。

▽厚生労働省の調査による「脂質異常症が疑われる者」の状況

   20-29歳  30-39歳  40-49歳  50-59歳
人数 人数 人数 人数
総数 脂質異常症が疑われる者  1  1.0  13  7.4  23  7.1  59  17.1
 上記以外  99  99.0  163  92.6  303  92.9  287  82.9
男性 脂質異常症が疑われる者  1  1.9  12  19.4  19  16.4  27  21.3
 上記以外  53  98.1  50  80.6  97  83.6  100  78.7
女性 脂質異常症が疑われる者  05  0.0  1  0.9  4  1.9  32  14.6
 上記以外  46  100.0  113  99.1  206  98.1  187  85.4

引用:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果 第56表 「脂質異常症が疑われる者」の状況 より抜粋掲載

病気の発症による仕事への影響は?

高血糖が原因で糖尿病、脂質異常症が原因で脳梗塞などになると、発症してしまうと、その治療や後遺症などで仕事への影響が出てきます。

例えば、糖尿病によって足の切断や失明を余儀なくされると、業務を以前のように効率よくこなせなくなり、当然、キャリアアップや給与などに影響が出てきます。脳梗塞は、損傷する脳の部位によりますが、運動機能のみならず、認識や記憶など、考える能力にも大きな影響を与えることがあります。担当している業務内容によっては、転職せざるを得ない状況になることもあるでしょう。

つまり、それまで立てていたキャリア設計が崩れてしまうことになります。こうしたことを避けるためにも、定期検診は必須であると言えます。

定期検診で着目すべきスコアは?

では、高血糖や脂質異常症の予防のための定期検診では、どのような数値・スコアに着目すべきでしょうか。

●高血糖の予防:「HbA1c」の数値に着目

高血糖から糖尿病になるリスクを把握する際には、「HbA1c」(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が指標として使えます。HbA1cは血糖値の直近1〜2カ月の平均の指標で、5.6%以上であればメタボ検診の指導対象となり、6.5%以上だと糖尿病が強く疑われます。

会社の健康診断は、その検査項目が年齢によって変わるため、30代のビジネスパーソンの場合、HbA1cの検査は健診項目に含まれていないこともあります。ご自身の健診結果を確認してみましょう。もし検査項目がない場合は、病院であらためて検査を行う必要があり、費用は2,000円程度が多いようです。最近では、大手薬局でも一部の店舗にてHbA1cの検査が可能で、価格も比較的安く、検査結果も10分程度でもらえるなど、利用しやすい状況が整ってきています。検討してもよいでしょう。

●脂質異常症:「LDLコレステロール」などに着目

脂質異常症の場合は、「LDL(悪玉)コレステロール」「HDL(善玉)コレステロール」「中性脂肪」の数値が基準となります。LDLコレステロールの場合は140mg/dl以上、HDLコレステロールの場合は40㎎/dl未満、中性脂肪の場合は150㎎/dl以上で、脂質異常症と判断されます。これらは会社の健康診断において必ず検査している項目なので、ご自身の健診結果を確認してみましょう。

ちなみにLDLコレステロールが140mg/dl以上だと「高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロールが40㎎/dl未満だと「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が150㎎/dl以上だと「高中性脂肪血症」だと診断され、1つでも当てはまると脂質異常症という診断を受けます。

「健康投資」という視点を持とう

高血糖や脂質異常症が原因で糖尿病や脳梗塞を発症してしまうと、仕事に多大な影響が出てきます。「まだ若いから大丈夫」と慢心せず、定期的な検診を受けつつ、食生活や運動などの生活習慣を改善することが重要です。

面倒だと思っても「健康投資」だと思って、若いうちから上記のことに努めておけば、自分が描いている将来設計に影響が出る可能性も低くなります。働き盛りの30代、資格やスキルの取得のための投資だけではなく、健康投資も重要なのです。