新型コロナウイルスの影響から一足早く脱却したかのように見えた中国。しかし、社債デフォルト(債務不履行)が増加している。とりわけ、国有企業の社債デフォルトが増えていることは中国経済の現状で何を表すのか。

目次

  1. 増加する国有企業の社債デフォルト
  2. 中国躍進の象徴!半導体大手「紫光集団」も危機的状況に
  3. 国有企業のデフォルト増加の背景
  4. 中国政府が推し進める国有企業改革
  5. ドル建て債務の不履行も追い打ちに
  6. 「暗黙の政府保証」の是正。2021年の中国経済にどう影響するのか

増加する国有企業の社債デフォルト

密かに経済危機が叫ばれる中国。頻発する社債デフォルトから現状を読み解く
(画像=luzitanija/stock.adobe.com)

世界中がコロナ禍にあえぐ中、いち早く経済を立て直した中国。しかし現在、中国では社債デフォルトが増加している。2020年2月には急増の30件となり以降は20件以下で推移するものの、11月には49件と大幅な増加がみられ、結果として2020年1月~11月までの社債デフォルトは196件に上る。そのうち国有企業は77件だった。 特徴的なのは、この国有企業の社債デフォルトが多い点で、2019年の国有企業の社債デフォルトが16件だったことを考えると5倍近い数字となった。

中国躍進の象徴!半導体大手「紫光集団」も危機的状況に

2020年12月、紫光集団(北京市)もデフォルトに陥った。紫光集団は中国の半導体大手。習近平国家主席の母校であり、理工系の最高学府としても知られる清華大学を母体とする。中国における半導体国有化の旗振り役ともいえるべき企業だ。

しかし紫光集団は社債の利息を期日どおりに支払えないことを発表、13億元分の社債がデフォルトに陥った。また同日に傘下の紫光国際が海外で発行した社債もデフォルトに陥ったと発表、国内外でデフォルトが重なったことになる。信用格付けが最高ランクに格付けされていた企業のデフォルトにより社債投資を敬遠する動きもあり、企業の資金繰りが懸念される事態となった。

国有企業のデフォルト増加の背景

中国の国有企業は守られた存在で、国有企業が危機的状況になった際には政府が支援するという「暗黙の政府保証」があった。過去にも銀行からの資金調達が行われてデフォルトを免れたことが度々あったという。しかし、こうしたケースが続くことにより、国有企業の経営の健全化が成り立たなくなり、債務負担が膨らみやすくなるというが問題点だった。

構造改革を進める中国では、こうした国有企業の是正は一つの課題だったが、現在の国有企業のデフォルト急増の背景には、中国経済がコロナ禍からの回復基調に向かったことで、国有企業への資金繰り支援を縮小したことにあるといわれている。

中国政府が推し進める国有企業改革

おそらくどこの国にも国有企業には資金面の甘えがある傾向にある。中国も例外ではなく、過剰債務や不良債権などの課題は多くあったものの、政府の支援により国有企業は守られてきた。

中国では2014年から社債デフォルトを容認しているが多くは民間企業だった。しかし、今回国有企業の社債デフォルトが急激に増えたことは国有企業改革へ中国政府が本腰をいれ始めたことが理由と考えられる。「暗黙の政府保証」の是正という大きな課題に対しメスを入れ始めた中国だが、経済へのマイナスの影響は避けられないはずだ。 これまで「暗黙の政府保証」に期待して投資を続けてきた投資家にとっても痛い局面となるだろう。

ドル建て債務の不履行も追い打ちに

中国では多くの企業が新型コロナウイルスの影響を打破するために大規模な資金調達を行い、過去最悪の債務水準と言われている。前述の通り国有企業の資金調達が多く行われているものの、デフォルトは増加している。 さらなるマイナス要因として、中国の民間企業はこれまで巨額のドル資金を調達しているが、ドル建て債務が不履行になるケースも増えている。当初、バイデン政権の誕生は中国にとって好機と考えられていたが、実際ふたを開けてみれば中国にとって厳しい状態は続くようで、米国を筆頭にした海外からの投資が減っていけば、国有企業・民間企業を問わず、破綻が増える危険性がある。

「暗黙の政府保証」の是正。2021年の中国経済にどう影響するのか

世界経済が危機的状況に追い込まれている中、圧倒的な速さで危機的状況を打開したかのように思えた中国経済。しかし、その道のりは平坦とは言えないようだ。「暗黙の政府保証」の是正という大きな改革のもと国有企業の再編は進んでいくだろう。

連鎖破綻といったシステミックリスクにいたる可能性は低いとは言われるものの、経済へのマイナス的影響は避けられない。一説には、2021年の中国企業のデフォルト数は2020年を上回るという話もある。かつて投資家にとっても安全な投資先だった中国国有企業。投資家にとっても信用不安が広がる。

国有企業のバランスシートの調整や事業再編にリストラなど改革は必須となってくるだろう。デフォルトの連鎖を防ぐためにも個々の企業の再建や持続化できる企業に体制を移行していくことが必須となる。2021年の中国経済はどう動いていくのだろうか。注視したい。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部

(提供:BUSINESS OWNER LOUNGE

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