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5. 仮払いによる払戻しを依頼された…

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「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」―いわゆる「仮払い制度」は各相続人が当面の生活費・葬儀費用の支払いなど払戻しが遺産分割の終了を待てないような比較的急がれている場面で活用されるものです。

仮払い制度はあくまでも「仮」の手続きです。したがって、相続預金の払戻しの相談を受けた際には、正規の相続手続きを案内する一方、急ぐ事情等がある場合は低額による簡略手続き、あるいは仮払い制度を案内して対応します。仮払い制度の利用申し出を受けた場合、以下の内容について確認したうえで対応をします。

①遺言書や遺産分割協議書の有無について確認します。遺産分割協議書の作成中や協議中であるかなどについても確認します。

②払戻可能額は最大で自身の法定相続分の3分の1までで、かつ、150万円までとなることを説明します。ここで、払戻可能概算額を提示します。なお、これは当該申出人(相続人)における自行庫(他の支店の預金も合わせた金額)での払戻可能概算額です。

自行庫以外の他金融機関での払戻可能概算額と併せても提示した概算額が払戻希望額に満たない場合は、家庭裁判所の判断を得ることで払戻しが可能となることも説明します(後記⑤)。ただし、この場合、家庭裁判所へ遺産分割の審判や調停の申立てがされていることが前提となります。